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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十三節 鈴守神事の攻略

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第38話 物語を紡ぐ者

第七位階上位

 



 棺の少女が目を開き、僕に視線を向けた。



「こほん……そ、そこのお方、どうか私を助けてください!」



 声の調子を整えてから、何処となく必死さを感じさせる声音で助けを求めて来た。


 それへリヨンが待ったをかける。



「駄目よコユ……ユキ! そいつは偽物、私を騙した魔女なのよ!」



 そう言うシナリオかー。細かい事でぴーぴー喚かないで台本通りにやって欲しいよね。



「騙されないでください! 私こそ本物です! その魔女に棺へ閉じ込められてしまったのです! どうか、信じて……!」

「私が本物よ! ユキ、私の目を見てっ!」



 自信満々に胸を張るリヨンの瞳を、じっと見詰める。



「……」

「……」



 きっかり3秒後、僕は……取り敢えず棺を開けてみる事にした。



「な、なななんでぇ!? コユキは頭おかしいの!?」

「失礼な。公平なだけです」

「ユキはいたずらっ子だと報告します」



 するな。


 ともあれ、謎の超強化が施されていた棺の複雑な結界を解錠し、中の少女を念動力で取り出した。



「あ、あの、あれ? なん、どう……あれぇ?」



 混乱しきりの金髪少女は、棺を見たり僕を見たりリヨンを見たりと忙しなく視線を彷徨わせている。



「あぁぁ〜〜っ! もうっ!! あったまきた!! どうしてコユキは普通にやってくれない訳?! いい加減にしなさいよ!! 壊せない様に作ったのは壊すし! 壊さなくて良い物も壊すしっ! 開けられない様に作ったのも開けるしっ!! もう、信じらんない!!」



 キーキー怒り出したリヨンは置いておいて、冷静な少女の方に話しかける。



「ところで君はリヨンの友達?」

「え、え? あ、えっと、そんな感じです。どちらかと言うと……半身でしょうか?」



 半身。つまり、リヨンは二重人格型の魂魄を持つ神と言う事だろうか? ……いや、リヨンの性格を鑑みるに……もしかすると、2人()1つの神なのではなく、2人()1つの神なのかもしれない。


 だとすると、リヨンが神に思えないのも納得のいく話だ。


 きっと、ヤルルカと章君の様に、2つの魂が融合しているのだろう。

 ただし、その融合率はうーたんとウーラの融合に近い、切り離せない程にくっ付いている物だと考えられる。



「——だって銃でバーンとやれば直ぐに終わったのに! 壊せない様にできてんだから壊さないシナリオなんだって分かりなさいよ!」

「壊せるから壊したのだと報告します」

「こ、壊せない感じなんだから……か、感じなさいよ! こう、なんかそう言うもんなんだなって思いなさいよ!!」

「壊しても問題なかったと報告します」

「お、お城は壊す必要無いじゃない!!」

「兵装を積んだのが間違いだったと宣告します」

「ぐぬっ……そ、それにしたって……酷いわ……あんまりよっ」



 今にも泣き出しそうなリヨン。


 城も騎士も壊されシナリオも壊され、極め付けに招待状まで貰った可哀想なリヨン。

 まぁ、大部分自業自得だが。


 ……僕が思うに、主催者側の評価は結構高そうな気がするんだよね。僕の消耗率的に見て。


 まぁ、この中で一番可哀想なのは、リヨンがお茶会に招かれる為に巻き添えになるであろう金髪少女だろうが。


 と言うか……お茶会では一体何が起きるのだろうか……? 何故か身の危険を感じる気がする。恐ろしい。



 リヨンが泣き出しそうな一方、それを見てあわあわしている金髪少女に問いを重ねる。



「あうあう……ちょっと辛辣だと思うのですが」

「ところで君、名前なんて言うの?」

「え、あ、はい。私はシンデレラのエラと申します」



 こんな状況でも微笑みながらカーテシーをして見せる所、育ちの良さが透けて見える。

 いつから融合する事になったのかは分からないが……エラはリヨンよりも落ち着いている様だし、エラの方が少しは年上だろう。



「ユキ様のご活躍は予々聞き及んでおります。お会い出来て光栄です」

「エラね。よろしく」



 微笑むエラと握手した。その指はリヨンと同じで白磁の様に美しく、リヨンと比べて少し柔らかい。


 リヨンは結構鍛えてるっぽいけど、エラは純粋な魔法使いタイプなんだろう。



 それにしても、シンデレラか……。



「……シンデレラって、たくさんいるの?」



 ベルベルやジャックは1人だった。

 おそらく信仰を1つに纏める為だろうと思われるが、リヨンとエラに限っては2人いる。


 夢の世界の事情には明るくないが、信仰と言う観点から見てそれは非合理的だし、いくら魂魄が同一化しているとは言えそこに至るまでは信仰が二分していた事になる。


 まぁ、実を言うと、その信仰どうこうと言うより……フィロ・M・フィリクロが生前所属していたとされる聖人教会なる組織。その研究方針と夢の世界のシステムコンセプトが似通っている様に思える。と言う興味本位からの質問である。



 僕の問いに、エラは少し困った様に微笑んだ。



「そうですね……シンデレラに限らず、他の『原典(エピック)』の方々も歴史を紐解けば沢山います。私は『原典詩片(エピック・ピース)』の回収に失敗してガラスの棺に閉じ込められてしまいまして……それをダイヤの王女様に助けられたんです」

「ふむふむ……」



 話を聞くに、おそらく『原典(エピック)』と言うのが複合信仰の収集装置。『原典詩片(エピック・ピース)』は信仰の収集装置だろう。

 より分かりやすくするなら、『原典(エピック)』がヴェルガノンやモンデシウルで、『原典詩片(エピック・ピース)』は火や山の信仰に置き換えられるだろう。


 エラのケースは、シンデレラ信仰を主軸に……ガラスの棺信仰を取り込もうとして失敗し、棺に閉じ込められてしまったと言ったところか。


 夢の世界には創造力があるので、信仰回収のメリットが大きい反面、デメリットも大きくなるのだと考えられる。



「結果私は『原典保持者(エピック・アクター)』の資格を失いましたが、リヨンが私を受け入れてくれました。ですから、シンデレラは2人いるんです」

「成る程」



 キーキー言ってエヴァと喧嘩しているリヨンを見てはにかむエラ。


 新シンデレラと旧シンデレラの仲は良好らしい。



 そんな軽い情報収集をしていると、涙目でむすっとしたリヨンが泣き付いて来た。



「ちょっとコユキ! こいつ嫌いよ! どうにかして!」

「エヴァはリヨンの事は好きだと報告します」

「え? す……ま、まぁ……当然よね! ふふん」



 僕が何かするまでもなく、秒で仲直りした様で何よりである。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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