第18話 ユキの領域
第四位階上位
雪精姫を抱き締めつつ、片手でアイテムを回収、使用する。
思うに、このスキル結晶と言う物も、使った後は魔水晶になるが、込められている光る玉は魔力による物ではない。
使用されている力は、フィールド制限のそれと似た様な物だろう。
続いてメニューを確認する。
新しく手に入れた『支配領域』と言うのが良く分からなかったからだ。
同時に強制的に取得された、『クランマスター』と言う物が関係しているのでは無いかと当たりをつけ、メニューから鑑定する為である。
メニューを開くと、最初の頁に新しい項目が追加されていた。
・ステータス
・スキル
・インベントリ
・地図
・時計
・画像
・依頼表
・フレンド
・パーティー
・レギオン
・クラン
・クローズゲート
メニューも随分と充実して来た物だ。
追加されているのは、クランという項目、早速開いてみる。
出て来た頁の項目は、名前、御旗、団員、拠点、販売。
順に確認する。
先ず、名前。
これはいつでも変更可能らしい、スノーと付けておく。
次に、御旗。
これもいつでも変更可能らしいので、雪の結晶を描いておく。
団員だが、入っているのは僕だけ。
……当然か。
加入と除籍という項目がある。
続いて拠点だが、選択すると、『』という項目が出て来た。
これは報酬の支配領域『』、の『』だろう。
それを更に選択すると、出て来た項目は以下。
・名前
・領域
・領民ーー0
・開拓率ーー3%
名前を選択すると、クランと同じでいつでも変更可能らしいので、ここもスノーにしておく。
領域を選択すると、この島の詳しい地図が出て来た。
立体図にも出来る便利仕様で、幾つかの光点があったので選択すると。
・レッサーラビットの迷宮
・レッサープチスライムの迷宮
・レッサーアースワームの迷宮
などなど、何やら変な物があった。
更に詳しく確認すると、入り口が小さく、成長に制限がかけられているらしい。
起動と停止の項目があったので、ミミズの迷宮だけ停止しておく。
他にも、結界や水源、転移門などがあり、色々出来そうだ。
領民の項目は、団員と同じ様な物で、試しに加入を選択すると、召喚獣も入れる事が出来た。
団員と領民の両方に全員分入れておく。
続いて開拓率。
選択すると地図が出た。街の部分と畑の一部が青色になっていて、他の部分が赤色になっている。
青色が開拓された場所で赤色が未開拓の場所なのだろう。
色々と興味深いが、最後の販売に移る。
販売を選択した時に出た項目は五つ、所持ポイント。ポイントチャージ。道具。拠点。スキル屋。
遂にスキル屋発見である。
取り敢えず所持ポイントから確認する。
所持ポイントは950P。
何故か半端な数値だったが、直ぐ下にあった『ログ』をみると、レッサーアースワームの迷宮を停止した時に50P消費された模様。
……早まったか。
続いてポイントチャージ。
これは名前の通り、ポイントをチャージ出来る機能らしい。
魔力をポイントに変換する様なので、試しに、品質Aの魔力完全充填済み魔水晶分の魔力を投入してみた。
得られたポイントは1万、錬金術の合成や変換の効率を考えると、単純計算でゴキブリおよそ百体分のポイントである。
これを高いとみるか安いとみるかは……物価次第か。
そんな訳で、道具と拠点を確認したところ。
道具は本当に細かい物で、ポーションやその小瓶、使い切りの魔法の書や食器など、様々な物が販売されていた。
小瓶にも幾らか種類があり、陶器の小瓶は様々な色や形が選べて、一律ゴキ一匹分程。
複雑な形だと値段が上がり、色を追加すると更に少しだけ上がるらしい。
ガラスの小瓶はやや高めで、質の悪い物でもゴキ三匹分程、良いものでゴキ五匹分で、色や形で値段が変わる。
……と言うか、ゴキを単位にするのは気分的に余りイクナイ。兎にしよう。
冒険に役立つ物や生活道具の他に、食料品の販売も行われているらしい、幾らかの種もあり、開拓して畑を耕し買った種を蒔いて、と色々と出来そうだ。
大量に商品がある中で、『?????』と言う選択出来ない物も沢山あった。
これらはスキルと同じで何かの条件を満たすと購入出来る様になるのだろう。
拠点は、主な商品は家屋、施設だ。
結界も購入可能だが、選べる物は全く無く、殆どが『?????』だ。
その上一番安い、直径五メートルの円形で、耐久力一万という高いのか低いのか分からない物でも、価格は億単位である。
これなら自力で作った方が安い。
家屋は安いボロの平屋でも云十万とするので、買うつもりは無い。
商品には迷宮もあった。
ただし、一番安いレッサープチスライムの迷宮でも億である。それも成長しない迷宮だ。
吐き出されるレッサープチスライムを狩って、魔石を回収したのだとして、元を取るのに幾ら狩れば良いのやら。
ミミズの迷宮を停止したのはやはり早まった行いだったらしい。
兎半匹分のポイントを払って再起動しておく。
因みに、迷宮はほぼ全てが『?????』になっており、作れる物でも魔物が一種類の小さな穴だけである。
拠点の地図から、拡張が行える様だが、お高いので後にしておこう。
また、項目の中には修復、修繕、という物があり、壊れた道具や建物、施設を、ポイントを払って直す事が出来る様だ。
これなら、図書館の朽ちかけた本を読める様に戻す事が出来るだろう。
急ピッチで進める必要がある。
最後に……件のスキル屋である。
試しに覗いてみたところ。
……すっごくお高かった。
メニューのスキル欄で取得出来る物も販売されていたが、値段は概ね云千万。
検索機能でインベントリを検索してみたら、値段は0が10個くらい。
同系統の物という事で出て来たアイテムボックスはインベントリに比べると相当に安く。
特大で0が7つ程。極小でも6つ程である。
だが、良く考えると、インベントリは今のところほぼ無限に収納出来ている上に時間を停止出来るのだ。
実はこれで適正価格なのだろう。
鑑定スキルもお高めで、0が7つ並んでいらっしゃる。兎数十万匹分で購入出来る。
安めなのは言語スキル。殆どが『?????』になっているが、ルベリオン王国語は百万程である、兎一万匹分程。
今日はゲームが始まって7日目の夜になる。
最前線組は突出しているが、プレイヤーの平均レベルは15に届かない程。
果たして、99999人のプレイヤー達が7日で狩って来た魔物。その魔石の合計魔力量は、インベントリを買える値段に到達しているのだろうか?
兎一億匹分以上だが……怪しい所である。
それを考えると、あのクエストは僕が単独でクリアしたせいで相当な量の富を独占してしまったという事になる。
ラッキーと思っておこう。
残りのインベントリは3つ。
……クリアとマガネに同時にあげたら、きっとマガネはその分は働きで返すと言うだろう。
そしてクリアはそれに嫌々同意して使い……値段を知ったら泡を吹いて気絶するかもしれない。
……うむ、楽しそう。
アランにこの事を伝えたら、料理が全部タダになるかもしれない。それも良かろう。
だがまぁ、実際にどうこうするつもりは無い。
借金返済とか考えられても困るからね。
残りは新規参入のミサキとケイ、それからちっとも遠慮する気の無いマヤ辺りに渡せば良いだろう。
◇
クランや拠点の確認を終えたので、そろそろ帰る事にする。
「?」
雪精姫から離れようとしたら、抱き締められている事に気付いた。
それはもう強く抱き締められている。
寒耐性があっても冷たい物は冷たいのだが……。
羞恥心を煽れば離れてくれるタイプだと思うので、少し弄ってみる。
「……そんなに僕の事……好き?」
「……うん」
……あるぇ?
しょうがないので、直ぐに離れて貰うのは諦めて、かくかくしかじか色々と説明する事にした。
本の事や僕の事を説明しキングスノーマンもといクイーンスノーウーマンと、ウルルにお腹を見せて転がっていたスノーウルフロードを送還する。
僕と同じ身長まで縮んだ雪精姫は精神まで退行したかの様に離れたがらないので、そのまま送還するのも悪いからくっ付けたまま帰還する事にする。
「ウルル、伏せ」
「ウォン」
「ウルル、ゴー」
「ウォン!」
雪精姫を背中にくっ付けて、ウルルに跨り山道を進む。
なんだかんだ言ってウルルはほぼ無傷だった。
さて、皆を迎えに行かなくちゃね。




