第14話 山の頂にて
第四位階上位
地上に戻る頃には、空は暗くなり始めていた。
タクは夜、勉強中の女子四人と狩りに行く事になっているらしい。
先に王都に帰ると言う事なので、手に入れた武器を渡しておく。
古の不死賢王の闇骨剣はセンリに、今手に入れた光精金属の大剣はミサキに。
「頼んだよ」
「おう、それじゃあまたな」
「うん、また」
そう言うと、タクは光に包まれ転移して行った。
「『召喚ウルル』」
タクが帰った後、直ぐにウルルを召喚する。
僕がログアウトしている間の護衛としてである。
「ウルル、僕の体をお願いね」
「ウォン!」
ウルルを撫でつつ座らせて、その体に寄り掛かかる。
「クローズゲート」
ログアウトするや、直ぐに夕食を食べ、雑事をこなし、寝る準備を終えてログインする。
一週間もこんな感じでやっていると慣れたもので、手早く出来る様になってきた。
更にログイン時間が伸び、現実が希薄になって行く。
と、思いきや、なぜかいつも絶好調である。
やはり、脳をちゃんと行使出来ているからだろうか?
体の調子を見ても、特に害は無い様なので問題無い。
◇
ログインし、瞼を開く。
襲撃があった様子は無い。一安心である。
「よしよしよーし」
「クゥーン、ワフ」
「むぎゅう」
……ウルルと一頻り戯れると、早速目指すは北の山。
どうやらウルルは僕の狼人姿がお気に召した様なので、狼人化状態である。
幸い、魔物でも召喚獣はプレイヤー側に認識される様で、結界は何事も無くすり抜けた。
それからはウルルのハイスピードで森を抜け、草原を駆け抜け、山道を駆ける。
道中出てくる魔物はやはりレベルが低く、高いもので15程、僕が降りるまでも無くウルルに一蹴されている。
一度の休憩も無く、山を駆け抜け——
——徐々に木が低くなり。
——低木になり。
——遂には雪に変わった。
此処からだと遺跡の全域が見渡せる。
あの遺跡から此処までは、なんと一時間掛かっていないのである。
快速ウルル便は何故だか絶好調だ。
……僕に耳と尻尾が生えているからだろうか?
ともあれ、このゲーム内では初めての雪原である。
出てくる魔物も初めて見るもので——
アイススピリット LV50
スノーゴーレム LV25
アイスゴーレム LV35
レッサースノーウルフ LV15
スノーウルフ LV20
スノーウルフリーダー LV30
全体的に白くて、冷たい印象を受ける魔物集団である。
先ず、アイススピリットは、エレメント達とは違って光の粒では無く完全な実態を持っている。
形状は双角錐、青っぽい色をしたクリスタルの様な魔物だ。
周囲の雪からゴーレムを生成し。
本体からは氷属性の光線が発射され、それに当たると様々な物が凍りつく。
本体の強度は魔力で防御力を上げているらしく非常に強固であり、多少罅を入れても周囲の雪を吸収して回復すると言う厄介な輩だった。
接近して魔力を強奪すると、たちまち小さくなって消えて行ったが、本来の討伐方法は周囲の雪を溶かしてから潰すのではなかろうか?
尚、体の構成は氷では無い様子。氷の様な物、だ。
次は件のゴーレムであるが。
姿は氷と雪、ゴツゴツとした体をしており、パワーも十分。
普通なら厄介なのだろう。
雪のゴーレムは簡単に爆散し、回復は早いが、その前に核を抜き取ってしまえばそれで終わりである。
氷のゴーレムは雪のゴーレムに比べると硬いが、アイススピリット程では無い。此方も叩いて壊して核を奪えば討伐完了である。
スノーウルフ達は、白くてモッフモフな狼だ。
ロードまで進化すれば僕くらいなら毛の中に潜り込む事が出来そうな程である。
取り敢えず、攻略してから捕まえよう。
◇
並み居る敵を薙ぎ払い、ようやく山の頂上へ到達した。
そこで僕等を待ち受けていた者は
水色の髪に水色の目、透き通る様な白い肌、それよりも更に白いドレスを纏っている人型。
雪精姫 LV?
更に詳しく説明すると……水色の長い髪をツーテールにし、綺麗な水色の目を苛立たしげに吊り上げた美少女である。
纏っているドレスは白を基調にし、所々に青いクリスタルの様な装飾がつけられている。
中々に豪華なドレスだが、多分雪と氷で出来ているのだろう。
その少女は僕達を目を細めて良く見ると、不機嫌そうな顔を和らげた。
どうやらちゃんと感情があるらしいな。
これなら会話、交渉の余地がある筈だ。




