第19話 激戦っ、ビーチバレー大か……んん?
第七位階上位
そも、何故にビーチバレー大会が開かれる事となったのかと言うと……僕のせいらしい。
並列思考スキルで色んな処理をしつつ研究して、本体の思考レベルがイエスマンでこっくりさんになってた時に言質を取られたのだ。
下手人はあいつだ。
あの神様神様言ってる割にイマイチ信仰が足りない様なそうじゃない様な変態聖女、シャルロッテの奴だ。
そして盛り立てたのは黒霧だ。
二重に裏切られた感じである。
実際の所どうなのかと言うと……僕の周りにいた白雪、桃花、ミュリア、リオンの4人を退ける為に行われた策で、配慮出来ない3人と敢えて配慮しない腹黒を除外し、それ等がいないと近寄って来る他の子達も巻き込んで……うーたんが僕とゆっくり出来る時間を稼いだ訳である。
だが、シャルロッテの様子を見た感じ、それはそれ、これはこれと言った所であろう。
では、ビーチバレー大会に参加するチームを見てみよう。
参加出来るのは人型になれる子達だけ。
この取り決めに関しては、出来れば皆には人化の術を身に付けて欲しいし、それらの後押しになるかもしれないので良しとする。
先ずは、チーム『ドレニュカです』。
ミルちゃんを筆頭に人化した真紅竜カーレスタことレスタ、それからニュイゼとレイエルのタッグを加えた竜系チームだ。
始まりの時点で既に1人戦闘不能と言う致命的欠陥を持ったチームだが、ミルちゃんは非常に優れた戦士もとい選手なので、他のメンバーは数合わせだろう。
誇り高き孤高であり孤独を良しとするのが彼女の悪い所だ。
クールだが微妙にポンコツなのは……急激なレベルアップにより手加減の仕方が下手なせいだ。
尚、チーム名は各員の名前から取られている。
次、チーム『メロンシャーベットよっ!』。
白雪、氷白、睡蓮、茉莉花。
3人の人見知りを氷白が頑張ってフォローするチームだ。
余り物同士がくっ付いたチームとも言える。
チーム名の由来は、僕が初めて白雪の体を使った時に食べた物の記念らしい。確かにメロンの様な瓜のシャーベットを食べた。
他、チーム『……ん、さいきょう』。『ハーレム作り隊なのです!』。『チーム名……ユキと愛狼。勿論私の事です』。『鬼子母神さねっ! ……えっ、意味!? え、ええと、鬼の母親が——』。『……うさ……Zzz』。『ララと愉快な仲間達だぞ!』。等々色々あるが、優勝候補はあいつだ。
——チーム『この勝利を我等が偉大なる主に捧げます』。略して『勝利を我が主に』。
メンバー、聖女シャルロッテ。光精帝アウラ。機械神の力を多少受け継いでいるエヴァ。いつのまにか人化している手しか無い筈だったアトラ。
このチームで敢えて強いのを挙げるなら……シャルロッテとアウラとエヴァとアトラだ。
…………全力で勝ちに行ってるじゃん。
尚、人化したアトラは、紫の髪を腰まで伸ばした赤い瞳のお姉さんで、その両手にはミネロラとアグリールが宿っていた。
このチームに勝つには、このチームと同じく精鋭が4人で組む必要があるだろう。
他のチームに割と遊びが入っている中で、彼女だけは本気で勝つ為にチームを編成していた。
◇
「くっぬ、はぁぁぁああっ!!」
少女の雄叫び響く。
雷を纏う球体が少女の浅黒い肌を焼き、球体に宿る破壊の仙気と少女、アニスの仙気がぶつかり合い、渦巻く魔力がビーチの砂を吹き飛ばす。
果たして、衝突の末弾かれたビーチボールは宙を舞った。——アニスの片手を代償に。
あらぬ方向に飛んで行ったそれを、使徒の精髄を核に誕生した噴禍神の使徒が拾い、ボールは空高くへと飛び上がった。
「アニスよ、良くやったっ!!」
そんな上から目線の労いを掛け、ヴェルガノンは飛翔する。
片手に宿るのは膨大な火の魔力。
——斯くして災禍は放たれた。
燃え盛る炎を宿したそれは、敢えて皆が避けた事でコートの中央に突き刺さる。
閃光——
——轟音。
ヴェルガノン率いるチーム『噴災豪炎ぞっ』の敵チームコート内が炎に包まれる。
火が消えた時、そこは泡立つ溶岩と凄まじい熱気で地獄の様なありさまだった。
人影は無い。
試合を見ていたあーたんが口元を押さえたが、彼女が想う様な、全員蒸発したとかそう言う訳では無い。
溶岩のコートに1人の少女が舞い降りる。
それと同時に嵐の如き突風が吹き下ろし、溶岩は瞬く間に固まって行った。
おそらく、彼女は空の良く冷えた空気を利用したのだろう。
確かに、現時点で上空5,000メートル程の位置であり、そこから更に5,000メートル程登れば成層圏に到達する訳だが……上限を設定していないとは言え、都市の結界を越えてまでする事では無いと思うんだ。
その後、当然のように無傷な3人が降り立ち、これで得点は3-8。噴災豪炎はようやく3点であった。
その上、敵は無傷で消耗も少ないのに対し、噴災豪炎は既にメンバーを1人失い、アニスも片手が半ばから消滅しており、もう片方は炭化している。
頼みの綱のヴェルガノンは残魔力量が半分を切り、使徒も残り魔力は心許ない。
尚、失われたメンバーと言うのは、エルフのカーニャことカーナシア・フィエルテだ。
ヴェルガノンが神名繋がりでアニスを加え、後1人を適当に決めようとした時、真っ先に立候補しようとしたハーカに先んじて立候補したカーニャ。
彼女は敵チームの弱者必滅作戦で執拗に狙われ、三度耐え切ったが閃光で目を潰され、四度目の熱線ボールで両足が蒸発して続行不能となった。
普通のスポーツなら人狙いなぞ退場待った無しだが、地力が異次元のスポーツなので、普通のサーブで落とす事は先ず有り得ない。
故に、ボールを介した殺し合、潰し合いが起きている訳である。
その後は、敵の極光球を使徒がその身を犠牲にして受けたり、それでも勢いを失わない極光球をアニスが受け、手が砕け散っても闘志を失わずに足で受け、どうにか上げたボールをヴェルガノンの豪炎球でコートに打ち込む。と言う盛り上がったシーン等もあったが、チーム『噴災豪炎』は順当に負け、チーム『勝利を我が主に』が二回戦へと進出した。
決め手は、徹底した弱者狙いである弱者必滅作戦と、強大な魔力を宿したボールを敢えて拾わない温存スルーである……とは解説の黒霧の弁。
因みに実況も黒霧。審判も黒霧。運営はほぼ全部黒霧。




