第13話 フィールド制限を解除せよ ニ
第四位階上位
兵舎と言うゴーレム安置所にこの様に隠されていては、βテスター達が気付かないのも仕方ないのかも知れない。
タク情報によると、β期間は僅か十日。参加者は千人。
その千人が攻略しに行って、たった三体のボスを倒すのが限界だった。
……と言う訳では無いらしい。
何やら複雑な事情があって、千人の内半分以上のプレイヤーが一致団結して、封印の扉の前にいた白いゴーレムを討伐したのだとか。
そして封印の扉をこじ開けると、黒い何かが溢れ出して、プレイヤーを薙ぎ倒したらしい。
タクは、その黒い何かを如何にかする為に、色々と奔走し、あの巨大なオブジェを起動した。
巨大なオブジェが宙に浮いて、破壊を撒き散らす黒い何かに光の矢を撃ち込んだ所でβ期間が終了したのだとか。
ともあれ、この島の攻略は半ばで放棄される事になったのである。
洞窟の中へと歩みを進める。
暗い坂道を進むと、途中で不思議な魔力の流れを感じた、どうやら結界の外に出たらしい。
それと同時に、此方へ駆け寄ってくる黒い津波。
レッサーマウス LV3
「似た様な光景を以前見た事がある様な気がする」
「言ってる場合か!」
「ダイジョーブデス」
あまりの多さに慌てて双剣を構え、僕にツッコミを入れたタクに適当に返事をし、カルキノスを発動させる。
インベントリから取り出したのは、鎚鋏。
それを下から上へと振り上げた。
空を切った一振りは、魔力を帯びた暴風を発生させ、迫り来る鼠の大群を纏めて吹き飛ばした。
ドラゴンゾンビ・ロードの風の攻撃を真似た攻撃方法だ。
高い殺傷力を持つ風は、鼠の群れをズタズタに引き裂き、瞬きの内に殲滅した。
ズタズタになった原因は、風に斬属性を混ぜたからである。
「うわー、スプラッタ」
「さぁ、行こうか」
鼠の死体を回収しつつ、僕等は先へと進んだ。
◇
この洞窟に出てくる魔物は、レッサーマウス、レッサーバット、レッサープチスライム、シャドウである。
シャドウとは、真っ黒なゴーストの様な物で、これ自体には戦闘力が無いらしい。
接触すると微妙な不快感があり、妨害専門の魔物の様だ。
これらの魔物は全体的にレベルが低いものの数が尋常では無く、洞窟の奥から何やら負の属性、つまり不浄の気配を感じる。
魔物を駆除しつつ進む事しばらく、何度も分かれ道があり、何度も道が合流し、地図の力を借りつつ進む事で、ようやく最深部へ到達した。
最深部はそこそこ大きな空間になっていた。
シャドウマウス・ゾンビ LV35
そこに待ち受けていたのは、ゾンビ化した鼠の大群、その中でも一番目立つ大物がシャドウマウス・ゾンビである。
「サクッと終わらせるね」
「あぁ、さっさとやっちゃってくれ」
タクは鼻をつまんでそう言った。
……悪臭耐性、持ってないんだね。
僕は鎚鋏を振り上げ鼠ゾンビの大群を蹴散らすと、ギリギリ生きていた黒鼠に鎚を振り下ろした。
——グシャッ!!
《【探索クエスト】『ボス戦闘』をクリアしました》
【探索クエスト】
『ボス戦闘』
参加条件
・ボス『レッサービックスライム』『レッサーホーンラビット』『レッサーアシッドワーム』『レッサーリトルトレント』『レッサーシャドーマウス』いずれかの討伐
達成条件
・ボス『レッサービックスライム』『レッサーホーンラビット』『レッサーアシッドワーム』『レッサーリトルトレント』『レッサーシャドーマウス』の討伐
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント1P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度40%ーー?%
・武器『光精金属の大剣』
エクストラ評価報酬
忘れられし島の攻略者
ボスの進化個体『シャドーマウス・ゾンビ』の討伐
ボスの進化個体『ジャイアントトレント亜種』の捕獲
・スキルポイント20P
・スキル『探検』
・スキル『冒険』
・スキル『探索』
全体報酬
・フィールド制限の解除
「これで山に行けそうだね」
「アナウンスが二重じゃなかったのが気になるが……取り敢えず地上に行こう、時間が心配だ」
貢献度の?%と言うのも気になるけれど、まぁ、特に害は無いだろう。
それに、時計を確認すると、タクの言う通り——
——もうすぐ夕食の時間である。




