第10話 独占市場
第七位階上位
深夜に始まったほうぼうの攻略は、日付けを跨いでしばらく後に終結した。
タク達は年少組の迷宮攻略を終え、僕の提案で森の迷宮の裏ボス的存在、レベル150の蛟と戦闘を開始、多少の激戦を経てコレを撃破。
その後、各迷宮の裏ボスの居場所を教えつつ、各々のペースを考慮し明日に備えて休む様に言っておいた。
まぁ、うちは人手も足りてるし、忙しいのは祭り前日と初日、最終日とその次の日くらいで、2日目、3日目はそんなに忙しく無い。
平常時と比べて忙しいのは間違いないが、今日よりはマシだろうし、個々の負担は大した物ではないだろう。
だから……徹夜組は見逃しておく。
一方コウキの軍団は、レベル100の火竜を前に、無数のアイテムを惜しみなく使い、1人の死者も出す事なく火竜を撃破した。
報酬の分配は、各種モンスターカードこそ判定に基づきそれぞれの固有因子が登録される為強制的に分配されたが、おそらくコウキ達が思っていた以上に大量に出た武具に関しては、戦闘履歴スキルを利用して分配した様だ。
強制的に分配されたモンスターカードは、クエストのエクストラと言う表記からも分かる様に、その人用の特別な報酬として出しているので、揉め事の種にはならなかった様である。
これでようやく、魔物召喚板と属性石を正式運用出来る訳だ。
その後、幾つかの迷宮で復活したボスと戦う配下を見守ってから、就寝。
……まぁ、僕明日も暇だから、徹夜しても問題ないんだけどね。
◇
朝のちょっとした運動を終え、朝食を済ませて多少の確認作業をこなし……お昼まで暇な時間が出来てしまった。
アヤ達や年少組、マヤ達は、職場体験的な意味も兼ねて、ある程度余裕のある今日は巫女達の諸業務を見学、及び手伝う事になっている。
護鈴役は、力仕事をするやや楽な仕事と、重い武器を持って境内を回るやや辛い仕事を午前と午後に分けてシフトを組み……とまぁ、暇な人間はあまりいない。
鈴巫女や鈴巫女補佐は案外暇だけどね。
……位が上がる毎に仕事の重要度が増し、その代わり暇になって行く仕様である。
これが5、6世代前なら、鈴巫女は祭りの何日も前から断食したり、そんな弱ってる状態で更に泉の水で穢れを祓うとかやらなきゃならなかった訳だが、現代になるにつれてそこら辺改善された結果、上の方が暇になる様になった訳だ。
だがまぁその実、僕は仕事を探そうと思えば山の如く見つけられる。
AIや部下や配下に任せている無尽蔵の業務も、僕の手でやれば効率良く進める事が出来るのだから。
差し当たって、アナザーの方の仕事は黒霧に経験を積ませる為にも休むとして、お祭りの方は一年に一回しか無いから……他の子達に経験を積ませる為に休むとして……僕の個人的なお仕事の方をバリバリ進めよう。
僕は本家の自室でパソコンを起動して——
「——さて……白露の調子はどうかなぁ」
◇
最近はアナザーにはまっていて中々時間が取れなかったので、国内の事にしか口出し出来ていなかったが、時間が取れた事で国外にも手を伸ばす事が出来た。
実際の所僕が全力で活動すると……サトリ達の邪魔をする事になり兼ねないし、なによりサトリ達が僕に隠してまでやっている何かを暴いてしまう事になり兼ねないので、多くの活動は白露に任せている。
僕がやっている事なんて、精々各事業の利益の計算か、市場から予測した新事業、企画の提案くらいだ。
そんな個人的お仕事をみっちりこなし、昼食の時間になって一区切り付けた。
やろうと思えばやる事は幾らでもあるし、止めるには丁度いいタイミングと言えるだろう。
さっさと昼食を済ませ、アナザーにログインした。
最初に確認したのは、配下の攻略状況。続いて、回収されたアイテムの在庫。食糧や道具の生産状況。
問題が無い事を確認した後、復活したボスとの戦闘記録を見た。
武装や道具の支援もあるし、程々に拮抗して良い経験を積ませる事が出来たと言えよう。
昨夜の戦いで始まった魔物召喚板と属性石の運用は翌日昼の今となって、そこそこの盛況を見せている。
パーティー枠を使わずに、しっかりと言う事を聞く魔物を使役出来るモンスターカードの情報は、掲示板を中心に一気に広まった。
同時に開店した店で属性石やマナ貨幣を使ってモンスターカードを強化、購入出来る話も広まり、その有用性とスキルを取得するのと比べたお手頃さから……完全に従魔術や召喚術系が地雷スキルになった。
外部掲示板にもそれらの情報は広まっている様で……新たに増える9万人の中から従魔術系のスキルを取る者は殆どいなくなるだろう。
現在魔物召喚板専門店で取り扱っているカードは、大雑把に分けて9種類。
鳥獣、水棲、昆虫、植物、不死、傀儡、魔粘体、精霊、竜龍だ。
先ずは鳥獣から確認して行こう。
鳥獣で扱っている魔物は、鳥類が『鷹』『鴉』『鶏』。小動物枠として『兎』『猫』『犬』『鼠』。中型でやや高価な『羊』『牛』『馬』。
それから、ダンジョンマスターの召喚から見て選んだ最下級動物型魔物、多毛のミニサイズ偶蹄類『チムニー』。敢えて比較するなら猫が近い四足獣『ニージャ』。一見すると鷹の様に見える謎の猛禽類?『ウォンクル』。
これら全てには仔の一文字が入り、強化しない事には戦力にならない仕様だ。
値段的には中型が高めで、小動物3種と鳥、魔物はほぼ同じ値段、鼠が格安販売だ。
続いて、水棲。
大きな蛙『ビッグフロッグ』。大きな蟹『ビッグシザー』。毒針を持つ『ポイズンシェル』。鋭い牙を持つ小魚『ショールファング』。それから中型で『イルカ』『サメ』。
現状では水中戦が殆ど出来ないので、水中でしか満足に動けない者は需要が低めだ。
次、昆虫。
巨大ミミズ『アースワーム』。巨大イモムシ『ジャイアントキャタピラー』。巨大ムカデ『ビッグセンチピード』。巨大クモ『ビッグスパイダー』。巨大バッタ『ビッグホッパー』。巨大アリ『ジャイアントアント』
まぁ、ノーコメント。イモムシは安め。
次、植物。
最大3回までしか攻撃できない寄生植物『ピストルシード』。棘の生えた体で巻き付く吸血植物『バインドソーン』。主な攻撃が頭突きの苗木『シードリング』。野菜系の中で唯一まともに魔物してる『パンプキング』。多少味方を強化出来る花『グローリーパーム』。
ピストルシードは語感からか他の植物型と比べて多めに出ている。
次、不死。
犬、猫、兎の『スケルトン』。『ゴースト』。『ゾンビ《損傷少なめ臭い少なめ》』。それから人型の『スケルトン』。
人型のゾンビは流石に……プレイヤーに倒させるのも黒寄りのグレーなのに使役させるのは冒涜的過ぎてアウトだ。スケルトンはギリギリ……OKだと思う。
僕はまぁそこら辺弁えてるから問題なしである。
次、傀儡。
パワーがあり、武器をブンブン振り回すが移動速度は遅い石製の『ゴーレム』。人並みの戦闘が出来る木製の『ドール』。幼児くらいのサイズで手先が器用な木製の『マリオネット』。
ゴーレムは高い攻撃力と防御力がある為安心感があるのか、値段が高めでも売れている。
魔粘体は『スライム』単体として、精霊は4属性其々のエレメンタル系。竜龍は、大型の『蜥蜴』『亀』『蛇』だ。
魔粘体はスライムの性質上、最も安価で強化、進化出来る様にしてある。だが今の所人気は無い。おかしい。




