第7話 選定
第七位階上位
エデンの4人組は、掃除とか整備とか言って忙しくしているので、とにかく片端からやって行く様に指示を出した。
掃除なんて一瞬で終わるだろうと思わなくも無いが、そう言う設定なのだろうし、エデンはエデンでのんびりやって行こう。
傭兵達の方は、特別な魂を持つ英雄以外の下級英雄と傭兵でパーティーを組ませて、インスタントダンジョンの探索をさせている。
傭兵達はそれぞれにレベル制限が掛けられている他、マレビトと違って加護も無いので経験値の取得量も少ない。
また、その存在自体が魔法生物の様な物なので、経験値の取得量にすら制限を掛ける事が可能だ。
今後やって来る9万人のマレビトに傭兵として貸し出す事を考えると、レベルは出来れば10前後に抑えておきたいので、経験値制限システムはしっかり利用させて貰う。
そのかわり、インスタントダンジョンを探索している傭兵達には称号スキルを装備させ、傭兵達が取得した経験値は全て称号に行く様に設定した。
まぁ、称号スキルは着脱可能で進化も出来るので、レベル上げが不要な傭兵達に鍛えさせるのは至極当然の事と言えるだろう。
称号スキルの序でに騎士団レベルもあげさせておいた。
マレビト招致に向けた都市の建設、再整備も9割程終わったし、後は選別した住民の要望を聞くくらい。
設置する迷宮の中身は各種引換券を使った上位迷宮と同じ物。
それに少し手を加え、魔物の分布を調整し、エリア毎の難易度を定め、レベル1から150まで楽しめる様に設定した。
鍛錬島にある本物の上位迷宮は、最低でもレベル100程が必要で、150もあれば浅層を探索出来る。
中層からはレベル200が群れて来るので、プレイヤーにとってレベル100から200までがストレスの溜まる時間になるだろう。
各種物資の生産ラインも、元β島のスノーにて黒霧が建設済み。
レベル100にも満たない下等生物共に相応しい廉価品なので、大量生産しても大して懐は痛まない。
金の都市のガチャやなんかで販売する予定のレアアイテムは、レアアイテムと言っても所詮レベル100以下向けなので、一個作る分のコストも量産品の数倍程度。
都市の整備、迷宮の整備、物資の生産、その他クエスト設定や商品設定も問題なし。
アップデートやイベントに向けて幾らか微調整する事もあろうが、マレビト招致に向けた準備はほぼ完了したと言って良いだろう。
それじゃあ次は、目下最大の絶対重要案件。
配下への神権の付与を行うとしよう。
◇
現状弄れる神権は、僕が持つ物と配下が持つ物のみ。
神権のリストみたいな物があれば分かりやすいんだけど……まぁ、多分概念の数だけあるだろうし、実質星の数程もあると考えておいて良いだろう。
実際、僕の保有する神権は100を越えている。
狼や猫等の種族系から、青や白等の色。光や雷等の属性。愛や勇気、勝利等の概念的な物等々……そりゃ盛り過ぎれば魂がバグって崩壊するよねー。
ちょっと浮かれて調子乗り過ぎた……。
ともあれ、僕だからこそ壊れずに済んだのだと考えると、配下に神権を付与する時は、各々の神格と方向性を同じくする神権を10個以内とかに制限する必要があるだろう。
大雑把な目安は今のレベルで判断するとして、600なら8個以内。700なら14個以内。800なら20個以内……とかで当面は様子を見よう。
それに……おそらく物によっては並みの神権10個分とかの力を持つ物とかがあるだろう。
例えば、支配領域が海の無い山奥しか無い状態で海の神権を得ても大した信仰、神力は得られない。
その理論で行くなら、常に生物が接している概念はより強い信仰を受けている事になる。
それはつまり……三大欲求から来る『食欲』『睡眠欲』『性欲』だ。
それに加え、瞬間的に爆発する様な欲求も、瞬間的に大量の信仰を得られると言う事なので、割と強い力を持つだろう。
三大欲求から派生する欲求も存外強い力を持つかもしれない。
後は、力=攻撃力と考えた場合、概念的に他より強い神権もある。
代表的なのは戦の神権だが、亜種として軍の神権とかもある。剣や槍等の武器系の神権も強いだろうし、切断や破壊等の概念的神権も強い力を持つだろう。
魂魄を考慮するなら前者の神権には細心の注意を払う必要があるし、後者の神権なら他の弱めな神権と組み合わせて戦力を強化する事が出来る筈である。
さてさて、神権に想いを馳せて現実逃避していたが、ここでしっかりと先を見通す為にも、その現実を直視する事としよう。
そう……配下の殆どがレベル限界に到達したと言う現実を。
………………いや、そもそも皆が皆レベル600代まで殆ど止まる事なく成長出来ていた方がおかしかったのか。
何せ、僕の計算によると、並大抵の生物のレベル限界は300前後。
200後半で止まる者も居れば、300後半に届く者もいる。
その点僕の配下は優秀で、中には生後20日とかの者もいるのにレベル600まで成長出来た。
それは多分金の神や僕の加護も関係しているだろうが、何より濃厚な日々、激戦の連続と押し込まれる無数の情報群が彼等をこの高みまで押し上げたのだ。
機神との戦いで上がった分ももう追い付いてしまったし、未だレベル限界が訪れていない者も間もなく止まってしまうだろう。
激戦苦戦等の戦いの経験も必須ではあるのだろうが、それだけでは神霊の高みには至れないと言う事か……。
……今までは量を増やして力を増して来たが、今後は個々の質を極めて行く必要に迫られるだろう。
つまり、誰かを拾い上げる為に誰かを切り捨てる事となる。
この神権の付与こそが、正に剪定の刻の始まりなのだ。




