第12話 フィールド制限を解除せよ
第四位階上位
一回の修復にはそう多く時間が掛かる訳でも無いが、数が多い上必要な魔力量が膨大である。
特に紅騎士ゴーレムと門の前に転がっていた白騎士ゴーレムは、使われている金属が強力な物なのか、修復もとい変形させるのに必要な魔力量が尋常ではなかった。
それでも、アンデット軍団を殲滅した時に補充した分の魔石で事足りたので……問題無し!
「よし、これでこの遺跡のゴーレムは全部かな」
「ああ、見た範囲ではこれで全部だ」
図らずも大量のゴーレムを配下に加える事となった。
殆どがワーカーゴーレムで、その種類は多様だ。
スミスやコック、ファーマーなどがいて、命令内容や溜め込まれた情報量がかなり複雑だったので欠損情報の補填には難儀したが、総合的には中々面白かった。
時間はまだまだあるので、この遺跡の周辺を探索してみようと思う。
この周辺の立地はそれなりに把握している。
嬉しい事に、この遺跡には図書館があったのだ。
時間が経って脆くなっている本は多いが、ここらの立地について書かれている本は何とか無事だったので、少し読む事が出来た。
それによると、此処は小さな島らしい。
遺跡は周囲を森に囲まれており、南には広い砂浜がある。
東は崖になっていて、その先は海。
西は広大な敷地で作物を育てていた様だ。
北には、少し進むと草原があり、更に進むと大きな山がある。
差し当たりその山を目指して進むつもりだ。
「タク、僕はちょっとあの山の方まで行ってみるけど、タクはどうする?」
「ん、そうだな、行くよ。俺もあの山には行って見たかったからな」
「行ってなかったの?」
「ああ、フィールド制限を解除出来なくてな」
「ぬ?」
それはつまり、まだフィールド制限は解除されていないと言う訳ではなかろうか?
「……βの時はどこまで進んだの?」
「今思うに、東の森と南の浜、北の草原のボスは倒した筈だ」
「つまり、西のボスがまだ生きている、か。それなら西に行こう」
方針が決まったので、西の畑へ向かう。
遺跡を抜ける際に、門の場所と同様不思議な魔力を感じた。
この遺跡も安全地帯になっている様だ。
◇
レッサーラビット LV5
レッサースライム LV5
レッサーシードリング LV5
レッサーアースワーム LV5
森に出てきた魔物はこんな所だ。
シードリングは苗木、歩く苗木である。
アースワームはミミズ、でかいミミズだ。
それらを次々と倒して進み、畑についた。
そこは、畑と言うより荒地である。
そこら中に壊れたゴーレムが転がっていて、畑らしきところには雑草が生い茂っている。
取り敢えずゴーレムを修復、回収しつつ、タクが出てくる魔物を打ち倒して進んだ。
畑に現れる魔物は、主に植物系で、先のシードリングを筆頭に——
大きな種の魔物、ビッグシード。
蠢く荊の魔物、バインドソーン。
毒の花粉を振りまく巨大な花、ポイズンフラワー。
——などが出てきた。
レベルは高い物で10程、特に苦戦する事もなく進み、遠目に見えていたそれに辿り着いた。
ジャイアントトレント・亜種 LV84
一見すると唯の大樹だが、大地にしっかりと根を下ろしたそいつは、地中から魔力を吸い取り周辺一帯に振り撒いている。
「こんな立派な木はなかった筈だが……」
「これ、魔物だしね」
「は? こんなでかいのが魔物? ……そういえばドラゴンとか巨人とかもでかかったな……」
目の前にいるのに、一向に襲い掛かってくる様子のないその魔物。試しにと触れてみた。
「ふむ」
すると、触れた場所から、魔力を伝って意思の様な物が伝わってくる。
何やら喜んでいる様だ。
「どうするんだ?」
「こうする、『下級契約』」
倒すのか? と問うてきたタクに返事をしてテイムした。無事成功。
「むむ」
「どうした? 失敗したか?」
「いや、成功だよ。ただ、アナウンスが無い。当てが外れたかな?」
取り敢えず大樹にそれとなく意思を聞いてみた所、どうやら遺跡の地下に何か嫌な気配を感じるらしい。
大樹の根は、遺跡まで続いている様だ。
それと、魔力の流れから見て、この大樹が周辺に魔力を放っているせいで魔物が発生している様なので、それを止める様にも言っておく。
本には入れない。
もし入れたら、ここら一帯の地面が陥没するかも知れないからね。
大樹にはずっと此処にいて貰おう。
「タク、遺跡に向かうよ」
「分かった」
◇
襲い掛かってくる魔物達を駆除して、遺跡へ戻ってきた。
地下があり、そこに魔物がいるならば、直ぐ近くに兵士がいる筈だ。そう当たりをつけ、兵舎に向かう。
石造りでゴーレムサイズの建物の中、狼人化して注意深く辺りを窺うと、一部空気の流れがおかしい場所を発見した。
良く見ると、その部分の石壁が動かせる様になっている。
見た目よりも軽い石壁の石材をひょいひょいと退けた先には——
——暗い洞窟が口を開けていた。




