第11話 遺跡にて
第四位階上位
見知らぬ遺跡は、蔦が生え、所々朽ちている。
「ここでβテストをやったのかい?」
「いや……こんなに酷くは無かった」
地図を確認したが、場所は全く不明、同じ大陸では無いのだろう。
タクがゆらゆらと進んでいく、その先にあるのは、一際巨大な建造物と、同じくらい巨大なオブジェである。
道中、商店の様な場所があって大きな岩が置いてあったり、周囲には何も無いのに大きな岩が転がっているのが見えたので、試しにと鑑定してみたら——
壊れたワーカーゴーレム・マーチャント LV15
壊れたワーカーゴーレム・クリーナー LV15
壊れたゴーレム・ソルジャー LV30
——全てゴーレムだった。
永い時間が経って風化したのだろう。
軽く弄れば動かす事は出来そうである。
タクが進むのに付いて行くと、タクは巨大な建造物の中に向かって行った。
狼人化すれば直ぐに追いつけるので、僕はオブジェの方を見る事にする。
巨大建造物の前には広場があり、そこには四足歩行で上半身の部分が人っぽい形をした金属製の巨大オブジェがある。
体はやたらとメカメカしく、至る所に魔法陣や魔法文字、砲身やら何やらが付いており、胸の部分には大きく弓のマークが描かれていた。
そのオブジェの前には、転移門と同じ様な作りの貯金箱の様な物があり、その中に魔力がある物を投入すると、オブジェに魔力が貯まる仕組みらしい。
そして——
「うわぁ……」
そのオブジェを鑑定して見た結果がこれである。
? LV?
明らかに格上。
体に刻まれた魔法陣や魔法文字は、分かる部分の方が少なく、その分かる部分はもっぱら遠距離攻撃関係の物である。
言うなれば、魔導兵器か。
精霊を燃料にして空を飛ぶ要塞は敵対する国に多大な被害を撒き散らしたらしい。
精霊の魔力を大量に使って、放たれた砲撃は山をも削り取ったと言うが……。
この兵器は予備動作無しでその規模の攻撃を連射出来る様に作られている様だ。
これの製作者はこの兵器で何と戦うつもりだったのだろうか?
疑問は尽きない。
が、特に動く気配は無いのでタクを追いかける事にする。
「…………ちょっと試してみようか『下級契約』」
勿論失敗した。
パッと観た所、支配の術式は相当に強固な組成で完全に阻まれている。
……ただ、穴が無い筈は無いので、もっと詳しく解析すればマスター権限を強奪出来るかもしれない。
◇
タクを追い掛けて建物の中を進むと、しばらく行った場所に巨大な門があった。
その門には、内側からは決して開ける事が出来ない様になっている強力な結界が施されていた。
しかし、その門は既に開いている。
大きな門なのでタクが一人で開けたと言う訳では無さそうである。
門の前には、大きな金属塊が転がっていて、それは騎士の形をしていた。
壊れたゴーレムガーディアン LV100
中々使えそうなので、後で直して回収してしまおう。
門の中に入ると、大きな部屋の角に蒼騎士がいて、その前には紅の騎士型ゴーレムの残骸が転がっていた。
タクがβテストでどんな経験をして壊れたゴーレムを見ているのかは知らないが、このくらいの損傷なら直せそうである。
ただし、ぶち壊れた体から露出している紅い核は、何者かに抜き取られたのか、四分の一程しか残っていない。
これを元の大きさに再生するには相当量の魔石が必要になるだろう。
……まぁ、別の方法も無きにしもあらず。
「タク、何してるの?」
「……いや、何でも……この紅いのにはβの時に助けられてな」
「ふーん、じゃあ直す?」
「あぁ……あ? 直せんの?」
間抜け顔で聞いてきたタク。
直したい様なので、早速作業に取り掛かる。
錬金術のスキル『錬成』で、ゴーレムのバラバラになった体をくっつける。
幾らか足りない所もあったが、それは描かれている魔法陣や魔法文字を崩さない様に気を付け、不要な部分から補充する。
修復が完了した頃には、重装鎧から普通の鎧にランクダウンしていた。
だがまぁ、とりあえず完了である。
後はこれをテイムして本の中にしまっておけば、核の部分が元に戻る筈だ。
……理由は不明だが、ここのゴーレムは壊れて動かなくなってもまだ生きている。だからこそ出来る事である。
そこそこ複雑な術式を解いて、二像さんと同じ様に、上から被せる様にしてテイムを施し、本にしまう。
「あー……どうなった?」
「無事完了、後は時間が経てば復活するよ」
「そうか……良かった」
何やら医者にでもなった気分だ。
その後は遺跡中のゴーレムを修復して回った。




