第9話 深夜の怪
※1100万PV達成
第七位階上位
残りの機神は、幻想機神・ユートピアと聖戦機神・アヴァロン。
どちらも強大かつ多彩な力を持つ比較的小型の機神だ。
どちらにも最精鋭を送り込む必要があるだろう。
ユートピアは天使型の機神で、精霊で満たされた山が戦場になる。
高機動による乱戦が予測されるので、参加メンバーは精鋭の中でもスピード型等に厳選して送り込むべきだ。
参加メンバーは……先ずウルル。それからネロ。わんわん軍団に狼一家。ウルラナ。白雪のペット狼。鹿組。
彼等高機動型で機神を追い込み、イェガ、リッド、蜘蛛さん、モルド、三巨像さん等で空間を埋めたり罠や囮を用意させる。
メンバーはほぼ古参で編成されているので、連携にも問題は無い。
総合戦力的に十分機神を討てるので、見守りが黒霧だけでも問題は無い。
また、ウルルには僕の演算力と固有因子を用いて作り上げた白金色の首輪『シリウス』を装備させた。
ヴィゾープニルの尾羽を使っている為太陽の性質を持つが、太陽と月の力は異なる様に見えてその実表裏一体。月蝕狼であるウルルなら、これを使い熟せるだろう。
シリウスはレティと同じ様に完全無調整の魂魄を持つが、僕と魂を交わらせた経験のあるウルルなら、その性質的にも精神的にもシリウスを完全に使役する事が出来るだろう。
最後の一体。塔の機神アヴァロンは、竜の装飾が施された極彩色の体を持ち、おそらく今までで最強の戦闘技能を持つ機神だ。
メンバーは、メロット。アルナン。白雪。氷白。レイーニャ。桃花。プチ魔宝核ゴーレム達。クラウ一行含むオートマタ達。サキュバス姉妹。ミスティ。見守り隊長が白羅。
魔宝核ゴーレムの6体とオートマタ達13体は、精鋭が引く時の交代要員として参加する予定だ。
アヴァロンと主に戦うのは、メロット。
彼女は、膨大な力を持つ僕を半ば無理矢理受け入れた事で、やはり何か色々おかしな事になってしまったらしく……何と王級精霊を複数体受け入れられる様になっていた。
よってメロットには、アルナン、白雪、氷白の3名を投入し、膨大なエネルギーの暴力でアヴァロンと真っ向からぶつからせる。
桃花はその補助としてアヴァロンと近接戦闘を行い、レイーニャとサキュバス姉妹はその援護、ミスティは小人型の分体を各所に配置し、全体の援護を行う。
その他残った子達は、各高位迷宮の駆逐を行い、少しでも味方をレベリングさせて行く事とする。
◇
配下を送り出した所で、一時的にログアウトした。
「ふぁ……」
ふわふわと飛んで行きそうな思考を何とか維持しつつも、止められない欠伸をする。
完璧に仕上げていない物が大半とは言え、流石に高位の武具を4つも作ったのは無茶だったのだ。
特に最後のシリウスは、僕の因子を注いで完璧に仕上げた物なので、その分消耗も激しい。
と言う訳で、寝てしまわない様にちょっと深夜徘徊をする。
御鈴山はそんなに標高が高くないとは言え、やはり山の上。
夏真っ盛りと言えども夜肌寒いのは仕方がない。
体が冷えると良くないので軽く上着を羽織り、長い髪を一つに結い上げた。
さて、適当にぶらつこうか。
◇
鈴守の屋敷は広い。
人が迷う程と言えばその広さを理解できるだろう。
実際は想像の2〜3倍広い屋敷だ。
建物は山の頂上を覆う様に存在し、客間やそれぞれの私室、調理場等は勿論、地下室や離れ、倉庫、醸造所、儀式場等々様々な部屋がある。
まぁ、殆どは祭の時にしか使われないけどね。
「ふぁ……」
雲一つない空から月と星の光が降り注ぎ、中庭を照らす。
夜露に濡れた苔が月光を受けて煌めいていた。
そんな景色を見下ろしつつ、眠気覚ましのお茶を飲む。
寒ければ眠気も飛ぶかと上着を脱ぎ、ノースリーブにショートパンツな寝巻きの格好だが、依然として眠気は収まらない。
ここで寝たら流石に体調崩すよ。
「……ぅぅん……んふぅ……眠い……」
うつらうつらと船を漕ぐ。
……せめて……報酬の、確認だけでも……したか………………——
——ミシリッ。
「んぁ?」
唐突に背後から聞こえて来た音に、パチっと目を覚ます。
振り向く前に、その人物から声を掛けられた。
「ユキっ……良かった」
声の主人は、ピンクのパジャマ姿のミサキ。
いつものツーテールを下ろしているからか、何処か大人びて見える。
と言うかここ……割と奥まった所だった筈だけど、なんでいるのか……と言うかあっち、行き止………………………。
「もう、置いてくなんて……ちょっと、寝ないでよっ」
「ふぁ、寝てない……」
少し不満気にミサキが何か言ってるが、ちっとも頭が働かない。僕が寝てない事しか分からない。
……うん、これはもう駄目だな。
「……寝よう」
宣言するや僕はのそりと立ち上がり自室へ向かった。
それに当然の様にミサキも付いて来た。
折角なのでミサキにはお茶が入ったコップを押し付けておく。
「ありがと」
「んふ……」
ミサキは喉を鳴らしてお茶を飲んだ。
「……ユキのそれも、演技なの? ……ふぁ……私まで眠くなって来ちゃった……」
「んに……」
のそのそと歩く僕の横で、ミサキが眠たそうにしながら何かを言っていたが、適当に唸る事しか出来ない。
そうこうしている内に、多分僕の部屋と思わしき場所に着き、意識がぷっつり途切れた。




