第22話 C.UC.R.SR.UR...LR?
第七位階中位
ざっと見た感じだと、全ての召喚された者には基本的に種属毎の種族スキルと兵科スキルの2種類が付与されている様だ。
例えば、エルフには森林機動と言う種族スキルに加え、兵科が魔法使いなら無属性魔法、従魔使いなら魔物使役が付いている。
ダークエルフなら、種族スキルが暗黒機動と言う夜や洞窟などでの行動に特化している。
種族をエルフにし、兵科を暗殺者にしてダークエルフになったら当たりだ。
また、兵科自体にも面白い効果がある。
例えば、騎士を選択すると、人間なら普通に馬が出て来るが、ホブゴブリンの騎士になると狼。傀儡人の騎士なら傀儡系の馬、魚人は大きな魚で、屍人は骨、屍、霊体の馬が出た。
勿論、その分の魔力は消費されるし、中にはそもそも騎士を選べない種族もあった。
これらの統合で特に面白いのが、種族と兵科の完全一致で発生する特殊スキルだ。
僕が確認した所だと、例のダークエルフ『暗黒機動』と暗殺者『隠密』で、スキル『暗殺』。
酒ドワーフ『酒乱』と斧使い『斧術』で、スキル『狂化』。
屍人と死霊使い『死霊使役』で、スキル『死霊術』。
獅子人『威圧』と従魔使い『魔物使役』で、スキル『従魔術』。
等々、中々面白い組み合わせがあった。
……まぁ、種族も兵科も最高効率が一番なんだろうが、この程度の差ならレベルと訓練次第で楽々覆せるだろう。
差し当たって、銅の召集令状で限界レベルを50上げた後、残りの3793人の召喚は全てランダムで行なう事とした。
……面倒だからと言うのもある。
◇
面倒臭い面倒臭い疲れた面倒臭い。
そんな風に考えていた訳では無いが、精神力の回復も兼ねての、意識遮断型オートパイロット状態で生産を続け、全てが終わった後に気付いた。
——なんか……変なの混じってる。
この召喚と言うのは、必要分の魔力をクランマスタースキルを通して使用し、種族と兵科を選択してOKやYES等と念じる事で、兵士を生成する。
この種族と兵科の欄を空白にする事で、ほぼ完全なアトランダムで兵士が生産されるのだ。
アトランダムの理由は、生産パーセンテージが一定だった事からそうなるだろうと予測した物で、事実、生産された各種属に偏りは殆ど無い。
では何が変なのなのかと言うと……要は、2つ以上の種族が混じっている者が生成されていたのだ。
一番多いのは、各屍人と他の種族が混じった、獣人や巨人や魚人のスケルトンやゾンビやゴースト。
特殊なのは、屍人と言う大分類と傀儡人と言う大分類が混じって生成されたと思わしき、フランケンと言う魔物と、同じく屍人と鬼人が混じったと思わしきヴァンピール。
それから、獣人と魚人が混じったかもしれないイルカ、シャチ、クジラの獣人。
獣人と人が混じったかもしれない、セントール、ハルピュイアイ、ラミア。
魚人と人、或いは魚人と精霊人のマーフォークが混じったと思わしき、スキュラ。
蟲人、もしくは蟲人の蜘蛛と人が混じったかもしれないアラクネ。
巨人と鬼人が混じっただろうリトルオーグル。巨人と魚人が混じったリトルエーギル。巨人と獣人が混じったデミレッサーリトルフォモール。巨人と竜人が混じったドラーゲン等。
彼等は、特殊種族だからかレア種族だからか、種族スキルを複数所持していた。
これらの中でも、特に多くのスキルを所持していた、凄いレアな種族が……3体も混じっていた。
フェアリーのフェアリー『魔力操作』、蟲人の蝶『魅了』、大人のビックマン『腕力向上』が混じり、兵科が剣使い『剣術』で完全一致して『魔剣術』と『闘気法』を取得した種族、フェアリエル。
竜人の闇属性ドラゴニュート『闇属性魔法』、大人のビックマン『腕力向上』、屍人大分類スキル『治癒力向上』に、兵科の死霊使い『死霊使役』で完全一致した、スキル『死霊支配』と『王威』を持つ、ドラーゲン・リッチ。
蟲人の人妖蜂♀『毒属性魔法』、蟲人の人妖蟻♀『連携』、蟲人の人妖蝶♀『魅了』、人間♀『恵体』、に兵科、従魔使い『魔物使役』が完全一致した、スキル『昆虫支配』『昆虫生成』『王威』を持つ、インセクトクイーン。
これはおそらく、ランダムマッチングで特定の種族に進化出来る組み合わせが来た場合、次へ次へと種族の仮組みが行われ、見事合成条件を満たすと、こんな事が起こるのだろうと推測する。
特に最後のインセクトクイーンなんかは、12分の1の種族から蟲人Iの2種とIIの1種、人間が選ばれ、確率半々の性別を4回と確率1割の人妖を3回突破し、11種類の兵科から特定の1つを得ると言う快挙を成し遂げた奇跡の1体だ。
多分、全部♂になったらインセクトキングとかになっていたのだと思う。
もはや名簿の限界を越えているとしか思えないが、それでも……彼等彼女等のレベルは未だ10で、限界レベルは110でしか無いのだ……。
……だが、その不遇を覆す事も実は可能だったりする。
それが、アイテム——英雄の証だ。
これは、レベル限界に到達した個体に1個与える事で、その個体を一段階上に繰り上げる事が可能となるアイテムだ。
名簿でも登録簿でも紳士録でも、生成出来る種族や兵科に違いは無いので、単に紳士録の個体を武勇録に繰り上げる為か、または愛着のある個体を長く使役する為にある物だとばかり思っていたが……ここに来て召喚限界数の価値が明るみに出た形である。
要は、名簿や登録簿なんかの試行回数が多く取れる階級で生まれた超希少な個体を武勇録の英雄へ繰り上げるのが、このアイテムの主な使い道だったのだろう。
取り敢えず主要3体は英雄に繰り上げる為にレギオンに入れておくとして……何かクエストもクリアしてたみたい。
《【クランクエスト】『果報者の兵士使い』をクリアしました》
《【クランクエスト】『幸運の領主』をクリアしました》
《【クランクエスト】『豪運の領主』をクリアしました》
《【クランクエスト】『激運の領主』をクリアしました》
《【クランクエスト】『運命を手繰る者』をクリアしました》
レア兵士生成記念報酬だろうか? 何か良い物貰えるかな?




