第15話 米一粒一粒に七人のか——
第七位階中位
僕が右手を払うと、僕の様子を確認していたリンカちゃんも同じ様に右手を横へ払った。
次の瞬間、アヤ、リンカちゃん、アマネ、マシロの4人の研ぎ澄まされた気配が緩み、緊張していた場が弛緩する。
右手の払いは祓い、鈴御前では鈴を鳴らして祝福を授ける合図だが、こっちの場合は謁見の儀終了のお知らせである。
尚、個人へ鈴の祝福を与える事は、ここ三代くらいは一度もやっていない。
左手の払いは除ける意味で使い、つまりは謁見時の報告で、その話にはあまり興味ないですと伝える物。
左手を上げた時は、それ、もう少し詳しく。と言う意味になる。
右手を上げた場合は……現代では追い出せの合図だ。
遥か昔は……国外追放とか島流しとか公開処刑とかを指の数で決めていた様で、巫女が護鈴に合図を出す事でその場で処刑される事もあったらしい。
護鈴役の配置が客人の後ろなのはその為だ。
「ふぁ〜……肩が凝りますね」
マシロが伸びをすると、マヒルは目を白黒させて周りを見回した。
「ほんとに……何で私がこんな事やらないといけないのかしらねー」
「あまねぇはさっきゆっきーと取り引きしてたからねっ、仕方ないね!」
ミヨの方は、急に周りの雰囲気が変わったので頭を上げかけたところ、兄のコウキが微動だにしていない事に気付き、スススッと頭を下げ直した。
いや、上げて良いんだけどね。
薄い仕切りから彼等の方へ移動しつつ、声を掛ける。
「コウキ、ミヨ。2人とも楽にすると良い」
僕の言葉に、2人はようやく頭を上げ——
「なっ!?」
「わぁ……綺麗な人……あれ?」
——僕を見て固まった。
それに続く様にマヒルも此方を見て……。
「え、ええっ!? うそっ、私より小さい子が……!?」
いや、同じくらいだから。むしろ僕の方が年上だからね? その上本家で当主だから。と言うか今何処見て言ったよ。
「ぼそぼそ《スノー……そうか……やはり鈴守が》……成る程な」
何やらコウキが呟いたが、彼はなんでも自分で勝手に納得して判断してしまう癖がある様だ。
まぁ、話に聞く通りなら戦場家は戦術に長ける軍師の名家。己で考え最善を取ろうと動く様に教育されているのだろう。
◇
軽く歓談した所で、次のお客さんが到着した。
北冠成からは鈴平家の長女、鈴平織奈。
南冠成からは鈴代家の長女、鈴代千昌。
シキナはリナより1つ上の20歳で、寒い地方の出だからか、鈴守から血を引いた者とは思えないくらいに胸部装甲が厚い。
薄着をする事も無い様で、肌も僕と同じくらい白く、髪は長い。
対するチアキは、長身の割に真っ平らで、暑い地方の出だからか健康的な小麦肌、髪は短く切り揃えられ、一見すると男性に見えない事もない。
年齢は僕より1つ上の16歳で、高校2年生。
2人が荷物を置いてきた所で、茶室で久しぶりの挨拶をした。
「やぁ、2人とも久しぶりだね」
「半年振りやっさ〜」
「ああー! なまらめんこいわ〜!!」
「むぎゅぅ」
抱き着いて来たシキナにされるがままにされている間、チアキはやれやれと肩を竦める。
2人はいつもだいたい到着する時間が同じなので、来るたびにシキナが僕等を抱きしめ、チアキが肩を竦めるのである。
そんなコミュニケーションも終わり、これで応援は打ち止めである。
やる事は沢山あるので、各自仕事に散って欲しい。
僕は早めのお昼ご飯を食べます。
本日のお昼ご飯は、各自自由に摂る様なシステムになっている。
僕の様に偉い人や年配の人にはちゃんとしたのが出るが、今回はそれを事前に断り、皆と同じおにぎりとお茶を頂く事にした。
おにぎりの米もお茶も、境産の超高級な翠玉の物が使われているが……この機にでも使わないと次の機会は僕とかの誕生日以外に無い。
米やお茶ならともかく、足の早い物は身内が集まるお祭りの間に使い切らないと、ちょっと消費し切れないのだ。
と言う訳で、甘く美味しい米を香り高いお茶で流し込み、早速ゲームにログインする。
◇
《【探索クエスト】『楽園の鍵:獄峰』をクリアしました》
【探索クエスト】
『楽園の鍵:獄峰』
参加条件
・『獄峰』に入る
達成条件
・『獄峰』を踏破する
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント10P
・魔力:貨幣500,000
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
・武器『緋妃鏡界』
・武器『緋姫鏡界』
・道具『火杯』
・道具『楽園の鍵:獄峰』
・スキル結晶『獄炎耐性』×5
・スキル結晶『天炎耐性』×5
・スキル結晶『火属性』
エクストラ評価報酬
魔物駆逐
全ボス駆逐
戦争
ダンジョンマスター
クランマスター
・スキルポイント5P
・道具『獄峰:引き換え券』
・道具『ヒヒイロカネの大鉱脈:引き換え券』
・道具『火晶の種』×10
全体報酬
・楽園解放〔1/12〕
どうやら、獄峰の完全攻略が終わったらしい。
安全第一で味方の訓練を行いつつだったので、まぁこんな物だろう。
早速、色々と確認しようか。




