第13話 親類縁者が集まる日
※980万PV達成
第七位階中位
一体誰が作ったのかな?
玄関前でリナに抱き締められつつ、そんな事を考える。
アナザーで僕が作ったユキ人形並みに精巧なそれは、アヤとリンカちゃんにバレない様に確認した為、詳しい所は分からない。
しかし、一見して人形だとは思えない代物だった。
角度の都合上顔だけしか見えなかったが、一応服の様な物も着せられていた様に思う。
「すぅ……はぁ……」
僕のちっこい体を持ち上げ、胸元に顔を埋めて深呼吸するリナ。
あの人形は彼女らにはあまり見せられない。誰が作ったか知らないが、倉庫の奥に眠って貰おう。
しばらくすると、リナは僕を降ろし、額に軽くキスをしてから解放した。
そして——
「さぁ! ユキミンの次はアヤリウムをどうぞ!」
——両手を広げたアヤの胸元へ顔を埋めた。
まぁ、実際にこっちで会うのはもう4ヶ月振りになるので、こうなるのも宜なるかな。
しばらくお互いに深呼吸して、リナが満足したらアヤを降ろして額にキスをした。
改めてリナと向かい合う。
「……ただいま」
「おかえり、リナ」
リナは東冠宮の大学で人脈を広げているが、幾らアマネの補助があるからと言って、人付き合いの苦手なリナにはストレスだった事だろう。
実際、東冠宮は鈴守推しの強い鈴森家が支配しているし、サトリとマナカが新しく都市を作ったから鈴守信者が多いのだ。
それこそ、鈴守と比べると少し人数が多い鈴木ですら、名乗るとしばらく囲まれたりするくらい。
……いやまぁ鈴木は鈴森の臣下だったから鈴森の影響が強い東冠宮ではむしろ囲まれる訳だが。
「おねぇちゃんおかえり〜! ぎゅー」
「……ただいま、アヤ」
「ついでにリンカシウムもどうぞー!」
「うん……いただきます」
イチャイチャしている3人を横目に、僕はアマネの方にも挨拶しておく。
「アマネもおかえり」
「ええ、ただいま……物は相談と言うわよね?」
突然の慣用句とにこやかな笑み。
「……お給料でも欲しいの? でもリナの事好きだよね?」
「それとこれとは話が別よ……ゲート・ギアを3台都合して貰えるかしら?」
……一応僕はゲート・ギアを12台購入しているが、それには使い道があるのだ。
と言うか……。
「……アマネの事だから予約はもうしてるんだろう?」
「当然、ね」
「じゃあお金出すよ。後で請求書送っておいて」
そう言う事じゃないのだけれど。と若干不満そうな雰囲気だが……幾ら鈴守でも何処ぞの神様にコネ何て……まぁ、ない事も無いが、無いのだ。
さて、お次は待機している霧香だ。
鈴ヶ森学院の巫女の卵達は既に別館の方に向かっている様で、荷物を置いてから来るのだろう。
「久しぶり、キリカ」
「ええ、久しぶり、紗雪さん。しばらく見なかったけど……相変わらず変わってなくて安心したわ」
そう言って僕を撫でるキリカは、僕より2つ年上で鈴ヶ森学院の生徒会長等をやっているらしい。
彼女はチサトとアマネを足して二で割り、ついでに浄化した様なタイプの美人で、性格は善良にして表だけ見れば大富豪の鈴森家長女。才色兼備な女性である。
「……嗅いどく?」
「ぅぇ!?」
リンカちゃんをくんくんするリナをそこはかとなく気にしていたキリカに、とりあえず嗅がせておいた。
◇
キリカは鈴巫女補佐であり、東冠宮の神社では神楽を奉納する仕事をしている。
今年は妹の薫がお一人様デビューなので、キリカは鈴ヶ森学院の生徒と一緒に助っ人に来たのである。
彼女をお迎えしたのは、ユミ。
本来であれば鈴護の主人である命か伽夏が迎え、鈴御前で僕と謁見する事になるのだが、今回はユミと一応リンカちゃんが迎えたので、後は僕が適当におかえりというだけで良い。
他国や鈴守と直接の縁がない人達は鈴御霊に謁見しに来るが、直接縁がある人達は僕に会いに来るので、態々鈴御前に行く必要は無いのである。
尚、鈴護の両親は浩三氏含む古くからの護鈴役と共に深響の森の守霊門と言う塔を回っているらしい。
リンカちゃん曰く、今年はコイがオオイとか何とか。
コイが多い。鯉が多いなら守界の堀池の鯉だろう。恋が多いなら犯人はタクである。
だが、どちらも態々2人で見回りをする理由にはならない。……子供達に苦難を与える事で恋を愛に昇華させるのが狙いかな?
まぁ、2人がいなくてもどうとでも回せるし、問題は無い。
鈴森が来た暫く後、鈴守の偉い人《僕等》が玄関口を一方的に監視出来る様に作られた茶室の縁側で各地の翠玉茶を飲み比べしていると、来客があった。
やって来たのは西冠成の鈴守神社を統括している名家、鈴宮家。
鈴宮家は4兄弟で、今年助っ人に来たのはその中の2人。長女の鈴宮真白と、三女の鈴宮真昼だ。
彼女等は系統状マナカの姪に当たる。即ち僕の従姉妹である。
だからなのか、と言っていいかはイマイチだが……長女のマシロは僕やサトリに凄く似ている。
年齢は25歳で、胸元のクッションが大きく、ニコニコと微笑む落ち着いた雰囲気から歳以上に大人に見られがち。
僕とサトリが並ぶと姉妹と思われるが、僕とマシロが並ぶと母娘と思われる程に似ている。
対してマヒルの方は、僕と似ていると言われれば似ている。アヤとは双子と言っても通るくらいだ。
纏う雰囲気が全く異なるので、横に並べないとそうと分からないが。
そんなマヒルとは、実は初対面である。
そして、どう見てもマヒルはアナザーの大剣士、コウキの取り巻きである少女の片割れ、テルマであった。
それ以外にも見覚えのある顔が何名か……。
鈴御前では無い方の謁見室で待つとしようか。




