第3話 迷宮へ向けて
第四位階上位
やってきたのは地下水路。
地下水路への入り口は、王都内部に複数あるが、図書館から一番近い何時もの場所を使った。
今は朝、空も綺麗に晴れ渡っているので、アンデットさん達は地下や洞窟などの、日の光が入らない場所で召喚する。
日の光が当たると弱体化するアンデットをわざわざ日の元で召喚する程鬼畜ではないのだ。
目的地は地底湖の更に下なので、取り敢えずウルルとデカワンワンを召喚。
召喚したウルルは、体がぐっと大きくなり、素の状態で体高が僕と同じくらいの大きさになっている。
暗闇だから良く分かるが、仄かに銀色の光を帯びていて美しい。
正に月狼と言うに相応しい姿だ。
対するデカワンワンは、此方も体がウルルと同じくらい大きくなり、体の色は赤黒い。
そろそろ皆にもしっかりとした名前を付けてあげなければなるまい。
黒いので、ネロと呼ぼう。
「お前の名前はネロだ、此れからもよろしくね」
「クゥーン、ワフ!」
しばらくネロを撫で、出発。
ウルルに騎乗し、ネロは邪魔な魔物の排除。
ウルルが巨大化したので、安定して背に乗ることが出来る。
道中現れた蝙蝠の大群をネロが赤黒い炎を吐いて消し炭にしたのに少し驚きつつ、物凄い速さで地下水路を駆け抜け、広大で複雑なその道を僅か数分で走破した。
「精霊さん、ちょっと下行くね」
「はい〜、どうぞ〜」
少女、幼女、幼女、の三人で浄化していた精霊さん達の横を、一声かけてから通り抜ける。
少女が一人幼女になっているので、相応のダメージを受けたのだろう。
まぁ、生きている様で何より。
◇
長い階段を下り、結晶の部屋に入った。
大きかった結晶は、今は二回り程小さくなっている。竜の炎の一撃による物だろう。
北の草原がどうなっているのか気になるところだ。
目的地は地底湖の端、壁にぽっかりと開いた大きな穴。
その穴は、地底湖の下に広がる迷宮に繋がっている。
◇
迷宮とは、魔物の巣窟を総称する物で、それには幾らかの種類がある。
一つ目は『自然迷宮』。
魔物が住み着いた洞窟を指し、南の鉱山にある洞窟がそれに当たる。
地底湖、地下水路、地下墓地なども同じだ。
場合によっては、森や山等のある種閉じられた空間をそう呼ぶ事もある。
二つ目は『人工迷宮』。
ゴーレムやホムンクルスなどの魔物がおり、何かを守っていたりする。
遺跡に有った塔がこれに当たる。
最後に『発展迷宮』。
この迷宮は、ある日突然現れ、長い間放置すると中から魔物が溢れでる。
迷宮の内部には多種多様な魔物が住んでおり、深く深くへと階層が続いている。
その階層は時間が経つと少しずつ増えて行くのだとか。
中にいる魔物は、兎でさえも積極的に侵入者へ襲い掛かってくる為大変危険である。
それ故、その迷宮の魔物は、名前に『メイズ』と付けられ、地上の物とは分けて呼ばれている。
迷宮で死んだ魔物は、光になって溶け崩れ、一部の素材を残して消滅する。
人間が死んだ場合も同じく、光になって溶け崩れ、素材が残る。
解体スキルのドロップと言う能力と同じ現象が起きる訳だ。
また、迷宮の最奥部には、『迷宮核』と呼ばれる巨大且つ高質な魔力結晶がある。
これを破壊、または外部へ持ち去ると、迷宮は長期間沈黙し、後に幾らかの階層が消滅して蘇る。
魔物を生み出し獲物を引き寄せ喰らい成長するこの様から、発展迷宮と呼ばれている。
この地底湖にある迷宮は、最後の発展迷宮に当たる。
長い間人が立ち寄っていなかったので、精霊さん達が入っていないのだとしたら、この迷宮はかなり深くまで続いている事だろう。
攻略するのが楽しみである。
早速アンデッドさん達を召喚しよう。




