第181話 宝物殿
第五位階上位
シュタ公国の支配は、昼食が始まる前に完了した。
現在は、シュタ、シャンズ、ユーグランスの三国に上級端末と交代した下級端末6人がバラバラに向かい、書物の読解や警邏、魔物や迷宮の再捜索を行なっている。
一刻も経てば完全な捜索を終えるだろうし、ターザハルダと帝国の境界を守る魔物達から一部を迷宮探索に向かわせる様に指示を出しておいた。
その後、新顔を他の子達に紹介し、アウラがシャルロッテに抱き着くと言う一悶着があったりし、優雅にのんびり昼食を済ませ、宝箱の開封を行う事にした。
◇
宝物殿と言うアイテムは、鍵の形をしていた。
ユースの鍵は太陽の中心に赤い宝石が付いた装飾の鍵で、グァランは満月に白い宝石、ラノンは半分が三日月でもう半分が太陽、桃色の宝石が中心に輝く鍵だ。
鑑定に従いユースの鍵を宙で捻ると、現れたのは大きな扉。
後ろから上がる歓声を聞きつつ、扉を観察する。
赤色の金属で出来た扉には、縁に幾つもの赤色の宝石が煌めき、中央にはユースを象ったと思わしき目のある太陽が装飾されている。その瞳は大粒の赤い宝石だ。
危険は無いとは思いつつも、警戒しながら赤い取っ手を回して扉を開くと——
ユース宝物殿の番人 LV300
ユース宝物殿の守衛 LV150
——なんかいた。
円形の大広間の中心に、ユース神をそのまま模した様な、燃える翼を持つ赤い眼球が浮いており、それとバッチリ目が合ってしまった。
出口と次の部屋への入り口には、2体ずつ、計4体の人竜型を模したゴーレムが配置され、それらのゴーレム達は太陽の槍と似た槍を装備している上に片目が赤い宝石で出来ている。
地図の表記や見た性質から、非敵性だとは分かるので、取り敢えず入ってみたが……。
「にゅ? にゅにゅ……入れて欲しいの〜」
「だ、駄目ですか……?」
その後に着いて来たうーたんとめーたんが守衛に阻まれた。
どうやら、許可の無い者は守衛に阻まれ、それでも入って来た者を番兵が迎え撃つ仕様らしい。
完全に入れない仕様になっていない所がいやらしい所だ。
「入れて良いよ」
そう指示を出すと、2人は通された。が……。
「あれ? あ、あぁ、主よ! どうか私もお側に……!」
次に続こうとしたロッテが守衛に阻まれる事となった。
彼女の実力なら番兵も倒して着いて来れるだろうが、仕方ないので全員に許可を出しておいた。
色々と周囲を観察し、緻密な細工や壁画を考察しながら広間を通り過ぎて、次の部屋への扉に手を掛ける。
開いた先にあった物は——
「お、おぉ……! 宝の山さね!」
「キンキラキンだぞ」
「……そ、総額幾らになるのかしら」
「ははっ、おいらでもこんな光景見た事無いや。こりゃぁ一種の絶景だね」
——金銀財宝の山である。
これだけだとハズレもハズレ、大ハズレだ。
そもそも、金銀なんて僕の中では同量の鉄塊と同じ程度の価値しかない。
ただし、ハズレの山の中には大当たりが幾つか混じっている。
つまり、この金銀財宝は宝箱の装飾と同じ、当たりを彩る為の装飾なのだ。
勿論、世に出せばそれなりのお金になるだろうがね。
差し当たって大当たりだけ念動力で集めた。
「あとのは要らないから自由に持って行って良いよ」
片や遠慮がちに、片やおどおどしながら、或いは積極的に宝物殿に入って行く皆を見つつ、装備の解析を始めた。
◇
入手したアイテムは『太陽王シリーズ』『月光王シリーズ』『冥王シリーズ』の武具。
王冠、王笏、玉座、服、旗、武器の計6種、18個の武装である。
それぞれ、太陽王をあーたん。月光王をぐーたん。冥王をしゅーたんにあげる事にした。
王権シリーズと同じ様な性質を持っているので、何なら休憩用の椅子とか移動用に使って貰って構わない。
聖人の宝物箱は、執行者シリーズの武装三点で、白のローブと白の十字架を模した盾槍とベール。
ロッテの装備は永きに渡って瘴気に晒されていたので、新しい物と交換した。
残念ながら盾も槍も扱う技術が無いので、槍の柄を持って盾を鈍器として使う様に指示した。
3つある樹精の宝箱は、『白塵の双角』『テンペスト・ブレス』『ヴォーテクス・ブレス』『アブソーブ・ブレス』『トランスファー・ブレス』。
どれも、植物且つ風と水の力を持つ原始ユー・ランスァのララと相性が良い装備だ。
ララの力量なら、次の進化で相性が良いこれらの装備を纏めて取り込む事が出来るかもしれない。
また、各種クエストクリア報酬は、太陽の雫をネックレスにしてアニスに渡し、槍はハーカの副装として預けた。ランプと砂時計は性質が合うララに渡し、剣はノゥ。巨人の腕を出せる腕甲はネィにあげた。
結局、皆は宝物殿から財宝を持って行く事は無かったので、僕の方から適正に分配する事とした。
昼食や色々な雑務を終えたので、東方の制圧に戻る事とする。
精霊帝や仙人達が復帰したので、侵略は半日と掛からず終わるだろう。




