第152話 休日の様な 〜2日目・午後:沈む黎明〜
第五位階上位
持てる全ての力を解放したプレイヤー達は強かった。
彼等の魔導鎧は各種属性耐性が充実しており、即死にはかなり強い耐性がある。
元々強力な上にイセポカムイの補助能力で強化された魔法耐性は、魔法攻撃を殆ど無効化してしまったのだ。
これでは狐火も活躍出来ない、最悪私まで殺される危険性まであった。
——だから此方も切り札を切った。
黒霧の端末が持つ演算力を迷宮核10個分利用し、6本の尾と手足にリング状のゲートを開いたのだ。
ついでに周囲に浮かせていたオーブを全て尾に埋め込み、仮の魔力貯蓄器官も生成した。
オーブへ無調整の魔力を一気に流し込むと、オーブの純粋さが失われてしまう危険性があるのだが、今回に限って言えばそれも仕方ない。
敵は試練の魔物を倒せる程の強者達なのだから、此方も試練の魔物を倒せる程に強くならねば戦いになる筈もないのである。
カンナカムイを発動し、1匹の雷竜となったシン君は、おそらくカンナカムイシリーズと呼ぶであろう鮮やかな黄色をした魔導鎧の剣を振るい、私の頭を両断しようとしてきた。
ヒョイっと軽やかに避け、隙だらけのシン君を噛み砕いて殺した。
放たれた雷の一閃は灼海を真っ二つに両断し、私の口内は自動防御と思われる雷撃に焼かれたが、シン君はオーブ1つ分の魔力奔流を浴びて即死した。
流石に御霊系の超強化スキルを発動されては、レベル一桁ですら噛み砕いただけでは死んでくれないらしい。
次いで、王蟹へ迫っていたイセポカムイこと四つ葉さんには念動力を使った。
流石に全身を止め様とすると魔力をごっそり使わなくてはならなくなるので、足を引っ掛けた。
派手に転倒した彼女を、神滅弾に匹敵する力を持たせた黒炎で包み込み、跡形も無く消滅……させる事は出来なかったが、黒炎を2度程打ち込んで光の粒子へ変えた。
高い魔法耐性を魔法で打ち破るのは些か消耗が大きく、シン君より100レベル程格下の四つ葉さんを倒すのには同じくオーブ1つ分の魔力を要する事となった。
一度掛けられたイセポカムイの補助効果は発動者が死んでも持続する様で、結果的にたった30人のレベル一桁を殲滅するのにオーブ10個分程の消耗を強いられる事になったのだった。
◇
《【大陸クエスト】【緊急クエスト】『黎明の機士』をクリアしました》
【大陸クエスト】【緊急クエスト】
『黎明の機士』
参加条件
・クラン『黎明旅団』と戦う
達成条件
・クラン『黎明旅団』の殲滅、撃退
失敗条件
・敗北
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント1P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度78%ーー100%
・核『魔導核・黎明式S5核『魔纏』』
・外装『魔導外装・黎明式S5魔導砲『赤乱』』
・外装『魔導外装・Kinako式S6魔導砲『Dragon roar V-2』』
・道具『魔水晶』×10
参加者貢献度選択報酬
貢献度78%ーー100%
・報酬選択権:S
・選択報酬:A
・選択報酬:A
エクストラ評価報酬
天霊の第九試練:雷古龍の試練 霊合者撃破
天霊の第一試練:大仙白兎の試練 霊合者撃破
・スキルポイント2P
・道具『雷の晶珠』
・道具『兎の晶珠』
クリア報酬
報酬選択権:S
遊技神の導き
遊技神の戯れ
遊技神の加護II
・道具『雷龍の宝物箱』
・道具『白兎の宝物箱』
・道具『白狐の財宝箱』
・道具『黒狐の財宝箱』
・道具『水牛の財宝箱』
・道具『砂塵蛇の宝箱』
・スキルポイント20P
・道具『雷の晶珠』
・道具『兎の晶珠』
・スキル『遊技神の加護I』
・スキル『遊技神の加護I:取得枠』
クリア報酬
選択報酬:A
・外装『魔導外装・Kinako式V6魔導剣『Lightning night』レプリカ』
・外装『魔導外装・シン&Kinako式V7結晶『黎明の光』レプリカ』
・道具『雷の晶珠』
クリア報酬
選択報酬:A
・外装『魔導外装・Kinako式V6兎耳『Cute rabbit』レプリカ』
・外装『魔導外装・四つ葉&Kinako式V6結晶『ウサバリアー V-2』レプリカ』
・道具『兎の晶珠』
敵を殲滅した後、半人型になってから蟹達の治療とボコボコになった周辺の整備をし、片手間に報酬を選択する。
先ずは、選択権Sから遊技神の加護Iと遊技神の加護I取得枠を取って、ちょっとした思い付きの元選択をリザーブした。
取得枠と言う謎のスキルを鑑定してみる。
『遊技神の加護I:取得枠』
我輩の加護がもっと欲しい人必見のスキル!
スキル取得で遊技神の加護Iを一回だけ取得出来る奴だぞ。略してギシュトだな!
とりあえず遊技神とニグレドの仲が良さそうな事は分かった。
説明に従ってスキル取得を確認すると、遊技神の加護Iが100Pで取得可能になっている。
……やけに高いのはシステムの神のバランスブレイクSP配給を調整する為だろうか?
一応100Pくらいなら問題なく払えるので取得しておくか。
リザーブしていた報酬選択を再度起動して思い付きの確認をとる。
「……ふむ、良いのか」
加護がIVになれば取得可能数が追加で2個増えるのではないか? と些細な企みをしたが、まさかOKだったとは……。
差し当たって雷龍と白兎の宝物箱、白狐と黒狐の財宝箱、雷と兎の晶珠を選択した。
スキルポイントは欲しいが、それはシステムの神の配給に期待しておくとして、狐の宝箱を選んだのは何かと狐に縁があるからである。
選択報酬Aは、悩みに悩んだがどちらも晶珠にした。
今の魂では純結晶を生成出来ないし、手っ取り早く宝珠を得るにはこうする他ない。
取得した晶珠は灼海の整地をしつつさっさと宝珠へ錬成した。
これで手持ちの宝珠は9個。後3個くらいあれば、邪神が復活しても戦えると思う。
全ての整備が終わったら、プレイヤー達の船に乗り込むとしよう。
◇
まるで隕石でも落ちたかの様な形をした灼海の西、そこには同じく綺麗な半円を形作っているビーチがあった。
それらは上空から見下ろすと歪なひょうたんの様に見えるだろう。
そんな白い砂浜の北、砂浜と岩場の境界付近に、プレイヤーの物と思われる巨大な船があった。
巨大と言っても、イヴが駆る山の如きそれと比べると100分の1も無いが、普通に見ると十分に巨大だ。単にイヴの船がおかしいのである。
全長はおよそ200メートル、武装は巨大な主砲が1つと副砲が4つにその他細々とした魔導外装が取り付けられ、その全てが街の守護結界に匹敵する結界で保護されている。
常時結界を張っている訳では無いだろうし、死に戻りのデスペナルティーで満足に活動出来ないから敵襲を警戒しているのだろう。
タクメールによると、デスペナの能力制限は肉体の損壊によって左右されるらしく、最長は3時間、最短30分身体を動かすと直ぐに疲れる様になるらしい。
無理矢理戦う事は出来るらしいが、常態の半分も動けないのだとか。
タク自身も伝聞らしいので、詳しい事はなってみないと分からない。
現状灼海の処理に掛かった時間は10分も無いので、連中は皆デスペナルティー中の筈、早速忍び込むとしよう。




