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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第?章 Another Chronicle 第一節 叛逆の追憶記

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第145話 休日? 〜2日目・午前:水精母娘の出逢い〜

第五位階下位

 



 ハイネシアさんが幼女長女さんに会いたいと言ったので、急遽魂の同期を早める事にした。


 眠りの世界で未来を記憶している幼女長女さんの魂にアクセスし、私自ら記憶の編纂と体得を行う。

 元が同じだからこそ、それは記憶を植え付けるより尚簡単に終える事が出来た。


 また、その間幼女長女さんは記憶の習熟と共に調整した魔力と魂魄を補給され、進化を繰り返した。

 実は決死の覚悟で挑んでいたらしい結晶大王蟹クリステア・アークキング・クラブとの激戦を得た彼女は、遂に長女さんへと進化した。


 そう、水精女帝ウンディーネ・エンプレスである。



 そんな光景を間近で見せられたハイネシアさんは、にこやかに細められていた目を真ん丸に見開いて、長女さんを凝視していたのだった。





「ふぁ〜……おはようございますぅ。お弟子さん……いえ、ユキ様」



 目を覚ました長女さんは、短くも長い眠りによって凝り固まった御霊をほぐす様に伸びをして、いつも通りニコリと微笑んだ。

 不具合がないかは再三に渡って確認したので、多少残っているかもしれない違和感もしばらくすれば解消されるだろう。


 祭壇から降りた長女さんに、あちらで着ていた物に似せて作ったローブを装備させた。

 まぁ、多分ミルちゃんみたいに自力で服を作れるだろうが、水精には羞恥心が足りていない。



「調子はどうかな、長女さん」

「えぇ〜。お陰様で快調ですよ〜」

「それは良かった」

「状況は理解しています。私も全力でお手伝いしますね〜」

「うむ。良きに計らえ」



 余は満足じゃ。格で言うなら何故かハイネシアさんの方が凄く上だが、人手不足の感が否めない現状、手持ちの三仙を同時に相手出来る程の戦力が加わるのは非常にありがたい。

 今いる私の配下の中で彼女は五指に入る実力者だ。


 差し当たって最初はハイネシアさんの紹介をしよう。



「知ってる筈だけど一応紹介するよ。此方、肉体的には君の母親に該当するハイネシア・アルケレーネ・ウィーナディーア・ルゥスリシュ・ナイオニスさん」

「よろしくお願いしますね〜、御母様〜」

「は、はい〜、此方こそ……」



 困惑しつつ挨拶を返したハイネシアさん。

 直ぐに微笑みを形作ったが、内心の動揺は隠せていない。



「ところでハイネシアさん、長女さんに何か用があったんじゃないかな?」

「あ、えぇと、お名前を、いえ、説明を〜——」





 困惑しきりのハイネシアさんに、遊技神含む諸々の事情を説明し、口止めもした。


 少しは疑う物かとも思っていたが、合理的な説明と精神に感応する精霊の能力のおかげ……或いは元々の性分のおかげか、話はすんなりと受け入れてくれた。

 この世界が模造品であり、自分が偽物であると言われても、それを受け入れて納得する事が出来る精神力が彼女にはあるのだ。


 勿論彼等彼女等に偽物などと言う誹りを受けさせる気は毛頭無いので、基本的にはその時が来るまで何も明かしはしない。


 ハイネシアさんに話したのは、彼女が何処ぞの神の気まぐれで簡単に消えてしまう存在であると言う事実に耐えられるだろうと確信していたからだ。



 そんな訳で、ハイネシアさんは娘が急成長した理由と、未来に妹や末妹が産まれていた事実、自分がおそらく完全消滅してしまった可能性が高い事を知った。



「……私がこの子に逢えたのは、ユキ様がいらして下さったおかげなのですね」



 そう言いながら、ハイネシアさんは愛おしげに長女さんを抱きしめた。


 長女さんは長女さんで、肉体の性質や魂の因子が似通っているのを理解したのか、ニコニコ微笑みながらされるがままになっているが、内心少し困っている様だ。

 因みに母はそれを承知で抱きしめ続けている。


 彼女等は身長的にはどちらもほぼ等しいが、狐母娘と違ってしっかり母の方が母っぽい見た目をしている。

 ただ、両者とも微笑みが似ているので同一人物にしか思えず、まるで過去と未来を表している様にも見える。まぁ逆だが。



「ところでハイネシアさん、長女さんに何か用があったんじゃないかな?」



 このまま放っておけばいつまでもニコニコしてそうなので、同じ言葉で先を促す。



「そうでした。私、この子に名前を付けてあげようと思いまして〜」



 伺う様に此方を見るハイネシアさん。

 少し不安そうだが、私としては渡りに船だ。姉妹さん達の名前はどうしようか少し悩んでいたが、母に付けて貰うのが最良だろう。



「長女さんが良ければ私は良いよ。どうかな、長女さん」

「えぇ〜、良いですよ〜。でも、出来れば妹達にも付けて欲しいですね〜」

「それは勿論、是非付けさせて欲しいです〜」



 ……変な名前じゃないと良いんだけどね。


 果たして、ハイネシアさんは長女さんを解放すると、ニコニコ緩んでいた顔をキリッと引き締め——



「貴女の名前はアルケレーネ(・・・・・・)。私の二番目に大切な名前を、貴女に贈ります。貴女が産まれて来てくれた事に、感謝を込めて」



 そこまで言った所で、ハイネシアさんの巨大な力の一部が、長女さんに移ったのを感知した。



ハイネシア・ウィーナディーア・ルゥスリシュ・ナイオニス LV?



アルケレーネ LV?



 ……成る程。ハイネシアさんの力の源が読めた。


 ハイネシアさんのたくさんある名前は、おそらく彼女が今まで呼ばれて来た名前。つまりは信仰を受けて来た名前なのだろう。

 それも、その信仰はナイオニス大清流だけの物ではない。


 ベルツ大陸に存在する水精の王がハイネシアさんなのだから、ベルツ大陸にいる全ての生き物の水への信仰がハイネシアさんに集中している物と考えられる。


 そんな名前を与えると言う事は、信仰を受け渡す事に等しい。

 個体を識別して力を付けさせる名付けとは格が違う。



 それと……帝国がアクロニスに苦戦していたのも、おそらくこの信仰の力が作用していたものと考えられる。

 アクロニスがナイオニスの名に渡る信仰の一部を受け取っていたからこそ、アクロニスは強かったのだろう。


 モンデシウルがレベルの割に強いのも、獣人達から信仰を受けているからだ。



「ありがとうございます。御母様に出逢えた奇跡に感謝を込めて」



 少し弱体化したハイネシアさんも、力が増したアルケレーネさんも、何方も嬉しそうに微笑んでいる。



 ……ふむ、ルメールもそうだったが、精神で感応する精霊種が思いを態々口に出すのは、何か理由があるのだろうか?


 まぁ、家族仲が良いのは良い事だし、私も強い味方が2人増えた。

 今回の事は万々歳のwin-win-winである。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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