第142話 世界と世界
第五位階下位
先ず、日本と言う島国の形状だが……凄く見覚えがある。
と言うか冠成と同じだ。
細部は微妙に異なるが、『冠成大海溝』を3本とも無くすと日本みたいな形になるだろう。
記憶から見た感じだと、日本以外の国々は大体此方と同じ様な名前で、歴史的にもかなり似通っている。
ただし、現代周辺となると最早全くの別物だ。
ざっと見た感じ、両世界は複製された世界であると考えるのが妥当だろう。
態々同じ様な世界を作った神々の思惑は……何となくだが推測出来る。
両世界の共通した特徴と言えば、魔力が殆ど不活性化している事。
リベリオンの転生者達を見て分かる様に、魔力不活性世界からの転生者は高い確率でユニークスキルを取得出来る。
抑圧された願いが境界の魔力を受けて爆発するからだ。
思えばイヴのいた世界も、得られた情報を統合して推測すると機殻星が元々地球だった物と考えて間違いない。
この世界の歴史から見ても、数度この世界にやって来たマレビトは其々が違う地球からやって来た物と考えられる。
つまり、神々は英雄候補足る人間の養殖場として都合の良い世界を量産した。のだと思う。
更に推測を重ねると、魔力不活性世界を量産したのは……今は亡き『遊技神群』である可能性が非常に高い。
そう思った根拠は色々あるが、一番納得する理由は…………不可能が多い分妄想や想像の分野が発展し、様々な世界観を有するゲームやアニメーションが作られたから。である。
何せ奴等は『遊技神群』。
世界量産の理由が英雄の養殖ではなくゲームの多様性を増加させる為だったとしてもなんら不思議では無い。
そして、神群が全滅したからこそ複数の量産世界が邪神に喰い滅ぼされたのだろう。
……所詮量産品だから助ける気が元々なかったと言う可能性は無きにしも非ず。
日本は1都1道2府43県らしいが、冠成は1殿4宮4関10境16養。対外的には1宮4都30県となっている。
首都の位置は似通っており、冠成で言う『東関都』が東京。そこから少し北に行った所が、便宜上冠成の首都とされている『東冠宮』だ。
僕が住んでいるのはそこから更に北に行った冠成殿宮、鈴音市、鈴宮町。
都会に出るには国道の高速自動車道、御前通りを南下するか、鈴音市から各『響市』を網羅し、東冠宮の北部にちょっと繋がっている鈴宮線に乗るかしかない。
いくつかある相違点と歴史から考えるに、仮にどちらかがコピーだとしたら……僕が住んでいる世界の方が模造世界だろう。
何せ神話や伝承が歴史背景と噛み合ってない部分が散見されるからね。
神話やら他の宗教やらはまるで興味が無いから流し見していたが……疑って調べれば何処かに神の手が入った証拠を見付ける事が出来るかもしれない。
……取り敢えず本格的に調査するのはもう少し状況が落ち着いてからにするとして、今覚えておくべき事は、地球が遊技神群によって量産された世界である可能性が高いと言う事だ。
遊技神は自称大神より上の存在だし、一から作るのなら兎も角コピーするくらいならポンポン作れるのだろう。
何せ今僕がいるこのゲームもアナザーの世界をコピーした物だからね。
◇
さて、『転生者覚醒計画』はこれで一応完遂と言う事になる。
リベリオンのメンバーは東方諸国にまだいるし、それ以外の転生者勢力も存在する様なので、実験体はまだまだたくさんあるが、技術体系の構築とその成功を確認したので……技術の更新はあるだろうが取り敢えず完了で良いよね。
差し当たって覚醒転生者を『覚醒転生者』、転生者を『転生者』とし、覚醒処理を『覚醒処理』として纏めておこう。
完成した書類は、コピーして黒霧とイヴに送っておいた。
次は今後の活動を整理する。
東方面はレスタを飛ばす事で多少の情報を得ているが、その詳細は依然不明のままだ。
一応帝国の進軍とそれに抗う程々に強い勢力の存在は確認しているが、放っておいたら間違いなく侵略されてしまうだろう。
今すぐ迎えばより犠牲も少なく済むかもしれないが……現状は守る物が大き過ぎて身動きが取り辛い。
と言う訳で……目を閉じ耳を塞いでなるべく早く三国の完全支配と設備の建造、兵力の再編を行う事にしよう。
多少は心苦しい思いもあるが、私が大切なのは私の手の内にある物だけ。欲張って手を伸ばし、大事な物を少しでも損なう事があれば悔やんでも悔やみきれない。
差し当たって、急遽1億の借金を抱える事になったリベリオンには3日間の休日を言い渡し、訓練に当てる様助言した。
早速急ピッチで研究、開発、支配、発展を推し進めるとしよう。




