第129話 サキュバスは面倒
※660万PV達成
第五位階下位
風の騎士団は、明日にでも戦闘に参加出来るだろう。
次に教育するのは、リムと愉快な仲間達だ。
サキュバス・クイーンのツァーリムを筆頭に、長命な悪魔種の中では珍しい若いサキュバス1000人。
彼女等から集めた情報によると、リムは魔界にあるサキュバスの国の仕来りで妹と戦う事になり、妹は姉と積極的に戦うふりをして自害。
それにブチ切れたリムは呪いで死に掛けだった母を殺害し、頭の固い先代の世代を国に放逐して選りすぐりの若い子を連れて出奔したのだとか。
幸いと言っては何だが、そのサキュバス界の大事件は比較的最近起きた事らしく……リムの妹の魂がリムの魂に憑いていたので、これを剥ぎ取り回収した。
やはりサキュバスは悪魔の近似種とは言え、悪魔程魂の感知能力は優れていない様だ。
だがサキュバス・クイーンともなると何かを感じるくらいの事はある様で『何だか何時もルムが見てくれてる気がするんだぁ』とはリムの弁である。
うん。見てるね。とは言わないでおいた。
これは所謂サプライズ。そう——サプライズ人質である。
サキュバス達の説得は、魅了した上で精気を与えると言う方法を採用した。
魅了は僕本来の姿に戻り、装備を全て外したインナー姿でやぁとやるだけ。
精気は迷宮が汲み上げた魔力を生属性に変換して注入するだけ。
流石に食べ盛りな若いサキュバスのお腹を満たすには大量の生属性魔力が必要だったが、生属性に限って言えば生成は他の属性よりも容易い。
そこそこの疲労感こそあるが、サキュバス達の色欲や食欲をバッチリ満たして昇天させたので、今後は極上の飴をチラつかせて教育をする事が出来るだろう。
まるで事を終えた後の様に幸せそうな表情でくたばるサキュバス達。
彼女等の処理や教室の掃除は黒霧に任せるとして、僕の仕事は気絶しなかったリムの処理だ。
「はぁはぁはぁ……ユキ……はぁ。い、良いわよね?」
頰を上気させ、瞳に深い欲望を宿したリムが、僕の肩を力強く握った。
発情している所悪いが、僕の体は僕の意図しない所で売約済みなのだ。
流石にリム程度の配下の為に金の加護が外されるかも知れない行為をするのはリスクが高過ぎる。
まぁ、金の粒子さんは色々と便宜を図ってくれているし、僕自体が穢されないなら大体何をしても良さそうな気もするが、万が一とあればその損失は取り返しのつかないレベルなのでやりはしない。
「ダメ」
「そ、そんな……はぁ……そんなの、あんまりよ……! ユ、ユキから誘って来たのに……」
「精気じゃ満足出来ない?」
「うっ……ぐすっ……お願い、うぇ。お願いします。ユキが欲しいの……」
……困った。
サキュバス・クイーンの色欲を甘く見ていたらしい。
まさか泣かれるとは思ってなかったし、恥も尊厳も無く懇願されるとも思わなかった。
こう言う所が銀の力があるか無いかなのだろう。僕の課題の一つだ。
……まぁ、別に白夜みたいに押しに弱い訳では無いが……桃花の一件からも分かった通り……キスくらいならしてあげても良い……かな。
「……」
「うっ、ぐす……」
……はぁ……キスが愛の証明なら、僕はウルルやアイにこそしてあげたいんだけど…………まぁ、リムともそれぐらい絆を結べば良い話か。
僕の体は安くは無いが、リムくらいの実力者なら分割払いでも良い事にしておく。
「……じゃあキスだけならしてあげるよ」
「そんな……! 酷いっ……そんなの生殺——んむっ!?」
若干絶望した様な声を上げるリムを遮り、唇を重ねた。
折角だし直接精気を注にゅ——
◇
どうやら直接と言うのが良くなかったらしい。
僕は無意識的に親愛に魂魄の力を乗せる様で、それがちょっと……まぁ凄く、リムには……サキュバスには刺激が強過ぎた様だ。
リムはぶっ倒れて怖いくらい痙攣するし、僕は転がされて色々ひっかけられてびしょびしょになるし、散々な目にあった。
サキュバスの体液が甘い匂いと味なのは魅了能力の一環だろうか? どうも発情を誘発する効力がある様だが……。
上手いこと調合すれば、媚薬や精力剤的な効果も期待できそうだし、後継に困っている貴族とかに高く売れそうだ。
サンプルは其処彼処に落ちてるし、最悪僕も今はサキュバス……まぁ……嫌だけど。
とりあえずこの分野は忘れよう。
僕が出来ない事、したくない事を仲間に強要するのは望ましくないからね。
それに何より精力増強も興奮誘発も物質体のみなら魔法で簡単に操作出来る。
そんな事の為に態々身を切り売りする必要はあるまい。
ともあれ、これでサキュバス軍団も戦力として数える事が出来る様になった筈だ。
まぁ、悪魔に類似する種族なので、悪魔達同様に表で活動させる事は出来ないが、裏方の仕事だって山積みだから問題は無い。
面倒な処理を終えた後、清浄化を掛けてお風呂にも入り、いつも通りの魅了封印武装を整えた。
そろそろリベリオンがモンデシウルに到着する頃だろう。
それまで敵戦力の再確認をしておこうか。




