第108話 帝国の力
第四位階上位
残念ながらゼナード君は帝国に良い様に扱われていた様で、帝国の総合戦力に関する情報は無かった。
そんな中でも使える情報はある。
先ずは帝国十騎士。
10人いる帝国最上位戦力の内、意外にも転生者は5人だ。
最弱は雷を操る転生者『雷霆のムンディス』。
次は凡ゆる物を意のままに操る『超念力のハルソン』。
ゼナード君と同格なのが『人形劇のアーシア』。
次いで『強制支配のゼナード』。
最後が、転生者最強の称号を持つ『簒奪王・カイン』。
特に最後のカイン氏は、詳しい能力を良く知られていない。
能力を奪い取ると言う驚異的な力を持ち、様々な力を使える様だが、どんな事が出来るのかは誰も知らない。
転生者では無い5人は、その内3人がナーヤの同輩、鎚、槍、弓の仙。
その戦闘力は、転生者達とは文字通り格が違う。
それら3人から2回り程格が劣るのが、バーチス・アルディとヤカルナ・プリエール。
この5人は全員が賢神グリエルの弟子達で、後者の2人は研究者だ。
この十騎士だけでもかなりの戦力だが、帝国には更に上と思わしき三大公と言う者まで存在している。
正直十騎士はナーヤ3〜5人程と考えるとなかなか面倒くさいし、十騎士の内半分は配下を使役する力を持っているので、大軍を相手取る必要もある。
面倒くさい事この上ないのに、それらをも超える実力者が後3人もいるのかと思うと……面倒だよねぇ。
しかも帝国には負の化身が間違いなくいる。
強制支配のゼナード君が作った首輪で従えられている転生者もいるだろうし、色々と厄介極まる大戦力だ。
まぁ、今回の損失と利益を天秤にかけると利益の方が圧倒的に大きいので、白夜の失態はクラウの刑で許してあげよう。
大丈夫。クラウはちゃんと分かってて的確に物申すだけだから。
帝国戦力に関して情報を読み取った後は、ゼナード君の矯正だ。
前世は傍若無人なガキ大将、今世は何の不自由もなく贅沢三昧にわがままを通していた王様気取り。
そんな人の痛みを知らない子供には、二生分の苦しみと痛みをプレゼントしてあげなきゃね。
◇
彼が大智君だった頃に虐めていた子達の気持ちを理解させたり、ゼナード君になってから殺した人々の憎しみや怒りを延々と教えたり、逆に人から感謝される喜びと達成感を刷り込んだりした。
この際だからと実験も兼ねて記憶の追加を行い、ゼナード君を悪人から善人に変えてみた。
今までの行いを嘆き慄く彼には償いとして迷宮都市ウィゼルの階層迷宮攻略を指示し、諸々の攻略準備を整えてから転送した。
後々教育を施した人間の部隊を彼の部下として配属させようと思う。
尚、彼の持つチートスキル、仮称『強制支配』の構成を解析した所、此方もやはり複数のスキルが複雑に絡み合った特殊なスキルである事が判明している。
内訳は、『従魔術』『契約魔法』『支配』『指揮』『使役』『魔道具生成』などなど。
『強制支配』の因子を持つ血肉は採取済みなので、その他の因子に淘汰されない様に気を付けつつ培養し、色々な実験に使ってみよう。
因子は無くなっても変えが効くので、黒霧に任せてみるのが良いだろう。
流石に2人の人間との魂の交感は消耗が激しく、朝から既に眠りの世界に旅立ちそうだが、生憎と私には休んでいる暇が無い。
人間との加工が終わった後は、ダンジョンボスとの加工である。
捕らえた3体は、レッサーなミノタウロス君とオーガキング、バンドーラ。
内人型の2体は人同様ある程度の肉体的な器用さがあるので、装備をしっかり整えればその戦闘力は飛躍的に向上するだろう。
バンドーラの方は、硬い甲殻を持ち尖った鎚の様な尾を持つ大型恐竜で、見た目的にもあからさまな威圧感があるから脅しに使えそうだ。
軽く会話すると3体は直ぐに従ってくれた。やはり魔物は面倒が無くて良い。
特に迷宮産の魔物は見識も狭く、多くの場合適当に威圧するだけで従ってくれる。
まぁ、迷宮の支配から解放すると言う一番面倒な仕事をこなす事が前提だが。
お話しして配下になった新人の教育は黒霧の管轄と言う事にしている。
一部メナやゼナード君の様に特殊な事例は私が全面的に受け持つが、経験のデータは黒霧にも共有してある。
黒霧にはやがては特殊な事例にも対応出来る様になって貰い、上手い事配下教育ラインを構築出来れば、私の負担は大きく減少するだろう。
具体的には、私がやっている様に対象へ記憶を入力出来る様になれば最高だ。
現時点では夢や幻覚、催眠などを扱える精神操作系魔法で新たな記憶を入力しているが、最終的には魂に直接作用出来る様になって貰う。




