第31話 vs.ドラゴンロード・ゾンビ 二
第三位階上位
竜の一撃は大地を爆発させその先の草原をごっそりとひっくり返した。
直撃していたらと思うとゾッとする。
「ウルル、ありがと」
「ウォン!」
ウルルが体当たりしてくれなかったら僕は爆散していただろう。
どうやら拘束魔法は直ぐに解ける物だったらしく、もう体は動く。
あの咆哮が拘束を掛ける類の物だったのだろう。
そうと分かれば対策は可能だ。
全員が集まった様なので指示を出す。
「皆、翼を狙うんだ! 僕とウルルがあれの注意を引く」
「承った! 我が君!」
「任せておけ!」
騎士像さんと戦士像さんはそう言うと、それぞれ青いオーラと赤いオーラを纏って竜の左右へと走った。
「ティアと精霊さんは後ろ足を狙って!」
「わかった!」
「わかりました」
それぞれに指示を出し終わると、竜の正面にまわる。
ナイフを抜き目玉を狙って投げつける。
目玉を潰せれば儲けものと思ったが、ナイフはガキッと金属音を鳴らして弾かれる。
目が金属並みの硬さを持っているという事が分かった。
目玉は潰せなかったが、注意を引く事には成功した様だ。
後はこちらに意識を引き続ければいい。
しかし、そう上手く事は運ばなかった。
「セッ!」
「ハァァーー!! くっ、やはり硬い」
騎士像さんの青色を纏った攻撃や戦士像さんの赤色を纏った攻撃は、竜の皮膜を僅かに傷付けるだけに留まり、その傷も瞬く間に消えていく。
真銀や聖銀はアンデットや悪魔に良く効くという。その上、騎士像さんは聖属性の魔力を纏っていると言うのにその皮膜を貫く事すら出来ない。
「はっ! せぁ!!」
「はぁ!!」
ティアはひたすらに後ろ足を斬り付けているが、その様子だと大きなダメージは与えられていないのだろう。
精霊さんも水を刃や槍に整形し足を攻撃しているが、芳しく無い様子。
光の巨人は尾を攻撃している様だが……そちらも駄目らしい。
他の子達も攻撃を繰り返しているが、傷一つつける事が出来ていない。
——勝ちの目が見えない
全力の鎚の一撃は奴に届かなかった。
体の再生に魔力を使っている様だが、それを削りきれるとも思えない。
どうすれば勝てる……どうすれば……。
そう考え事をしていたからだろうか?
——竜の一撃を避け損なったのは。
「ギャン」
「ウルル!!」
僕を突き飛ばし、竜の一撃の余波を替わりに受けたウルルは、血を撒き散らし吹き飛ばされた。
「ぐっ!」
此処ぞとばかりに暴れ出した竜は尾で光の巨人を弾き飛ばし。
後ろ足でティアを蹴り飛ばした。
幸い後ろ足の攻撃は偶然当たっただけらしく、致死の威力はなかったが、ティアはこれでリタイアだろう。
森の方へ転がって行ったので、王都が滅びてもティアだけは生き残れる。
竜はそのまま、鬱陶しい虫を纏めて吹き飛ばしてやると言わんばかりに翼に魔力を込めて羽ばたいた。
そのたった一動作は尋常の威力ではなく、草原に暴風が吹き荒れ、幾つもの竜巻がうねりを上げて精霊さん達を吹き飛ばす。
「くっ、何という力、っ!?」
「化け物が! っ!?」
暴風を前に動きを止めた二像に竜は爪を突き立て、まるで発泡スチロールでと壊すかの様に容易く破壊した、二人は光の粒子に変わって消えて行く。
そして——
——竜の口には炎が宿り——
——風で動けない僕へ——
——放たれた。
死んじゃったか……。
「おいおい、諦めるのかよ?」
竜の首が消し飛んだ——




