第103話 滅びた故郷
第四位階上位
悪魔襲撃の一件に関する書類を配った。
それに目を通すリベリオン一行を横目に、適温の紅茶を飲む。
啜る振りをして念力で飲んでいるが、肌見せNGなので多少の面倒も仕方ない。
そんな時間が少し流れ、適当なタイミングで声を掛けた。
「……何か質問があれば受け付けよう」
「……うーん……エリザはどうだ?」
「えっと……私は特に……ティアーネはどうですの?」
「全部書いてあるからないかな? リエはどうなのだ?」
「……うちも無いかなぁ? 強いて言うならスノーブラックの組織力を知りたいんだけど……」
リエはフードの中から此方をチラリと見て来た。
「その情報は金級会員になったら買えるよ」
別に無理難題をふっかけている訳では無い。
情報漏れを防ぐために必要な措置なのだ。
ふと、ユウイチが呟いた。
「成る程、マシロさんに対する質問もありなのか……」
「答えられる範囲でなら答えよう」
ユウイチは仲間達、特に転生者達に目配せすると、一拍置いて話し出した。
「俺はアオヤマユウイチ。前世は日本の東京、旭日学園に通ってたんだが、知ってるかな? 死因は多分爆死」
唐突な死因はともかくとして、取り敢えず頷いて話を促す。
「今俺達は革命に向けて色々と頑張ってる訳だが、一応前世の情報も集めてるんだわ。今分かってる事を纏めると……」
ユウイチは斜め上を見上げながら紅茶を一口飲み、話を続けた。
「……突然大爆発が起きて首都が壊滅したって事くらい……だな。爆心地から離れていて無事だったってのも何人かいたんだけど、殆ど皆その後の記憶が無いって事で……何か覚えてないか?」
「ふむ……もう少し詳しく聞かせて貰っても良いかな?」
「おう、えー……リエ」
「うん、だと思った。最初から話すね」
◇
語られた話を簡潔に纏めると、初夏のある日、唐突に旭日学園の上空で黒い爆発が起こり、首都が壊滅したらしい。
1度目の爆発で生き延びた人達も、立て続けに複数の地点で起こる爆発に巻き込まれて死亡。
都市部にいなかった何人かの転生者達は、数分前まで建ち並んでいたビル群が瓦礫の山になるのを呆然と見ていたと言う記憶が残っていたらしい。
……ただのテロや戦争ではなさそうだ。
「ふむ……残念だけど、前世の事に関しては力になれそうにない」
「そう、か……」
少々気になる話をしている間に、出発の準備が整った。
立ち上がり、全員へ向けて声を発する。
「あと30分程で此方の準備も終わりそうだ。リベリオンも各メンバーの用意をして欲しい。集合地点は南門前だよ」
「お、おう、了解」
「あまり早く来ても此方の準備がまだだと出発出来ないからね、準備万端に整えてから来るように」
念の為にクギを刺し、慌てて出て行った彼等を見送る。
「……」
改めて椅子に座り、仮面を外して窓から覗く青空を見上げた。
「ふむ……ニホンにトウキョウ、ね」
……聞いた事無い名前だな。
◇
緊急性の低い疑問はさておき、新たに作成した支給品の確認だ。
即死を防ぐ為の緊急回復アイテム『リカバリーイアリング』と限界突破の魔法符は魔結晶を使用するので、その実リベリオンに渡すよりも自前で使った方が効率が良い。
新しいアイテムは、空間拡張の魔法を施したポーチ。
実験と反復練習によるスキルアップを狙って量産した物だ。
更に『バリアエンブレム』を改造し、ポーチ内のアイテムを手元に召喚する機能などをつけ、名前を『スノー・シンボル』と改めた。
スノー・シンボルは今後ドンドン改造を加えて行こうと思う。




