第102話 戦争の始まり
第四位階上位
翌朝。
食事を終えたリベリオンのメンバーから、8名を個室へと呼び付けた。
リーダーのユウイチと彼女のエミリー。
特殊な力を持つ数人の内の4人、ティアーネ、エリザベート、リエ、アケミ。
リーダー代理で話したユウゴ。
とある用事の為に呼んでおいたアルベルト。
個室と言ってもそう狭い訳では無く、大きな4人掛けのソファー2台とローテーブルがある。
私は部屋の奥の事務机に書類を並べ、各種業務を執り行いつつ彼等が来るのを待つ。
◇
「やぁ、おはよう。良く眠れたかい?」
待つ事暫し、リベリオンの隊員達は直ぐにやってきた。
一昨日と比べると随分顔色が良くなっている。
私の問いに、ユウイチ氏は笑顔を見せた。
「ああっ、すげぇ良く眠れたわ! 本当に色々ありがとう」
「それは良かった」
私は仮面の下でニコリと微笑むと、手でソファーを指し示した。
「これまでの詳しい話をしよう。長くなるから座ると良い。飲み物は紅茶で良かったかな?」
リベリオンからは特に反対の声も出ず、全員がソファーに腰掛けた。
黒霧の端末が全員分の紅茶を用意した所で、話を始める。
「……さて、先ずは御苦労と言っておこう。君達の奮闘によって多くの王国民が守られた。国王から別途報酬が渡されるだろうが、私からは約束通り魔鋼より二段階上の金属、魔賢鋼のインゴットを差し上げよう」
手を振って合図すると、黒霧が装飾された石の宝箱を持って来た。
大量に手に入った石の宝箱を少し加工した物である。
サイズを縮め、装飾を施し、中の空間を少し拡張した。
中身は10kgの魔賢鋼のインゴットが軽自動車分くらい入っている。
資源的には割と痛い出費だが、枯渇しないので良しとする。
黒霧がローテーブルの上に宝箱を置いた所で話を続ける。
「君達と共にいたミラちゃんは特に異常も無く、無事クラット公爵家へと送り届けた。今回の一件では敵戦力の高さに比して被害や死者も少なく済んでいる。人的被害はどうにも出来ないが、建物や作物の被害は国の依頼の元スノーブラックが補填している」
一息に被害状況とその補填について説明した。
被害や死者の所で悼むように目を瞑った彼等には悪いが、更に話を進めなければならない。
「悪魔の件に関してはここまでとする。次に移るよ」
紅茶を一口啜り、一拍おいて次の話、戦争に移る。
「……単刀直入に言うと、ルステリア帝国が大陸統一に動き出した」
「っ! まじかよ……」
「……このタイミングで……?」
驚き騒めくリベリオンメンバーに手早く指示を出す。
「クランゼル王国の防衛はスノーブラックが行う。君達には直ぐにエルデホート港公国の救援に向かって貰いたい。出来るね?」
私の言葉に真っ先に反応したのは、予想通りアルベルト青年だった。
「まさか、公国が攻められているのですか!?」
アルベルト青年の姓は、エルデンシア。
公国の王家の名だ。
アルベルト青年に視線を合わせ、言葉を紡ぐ。
「そうだ。幸い公都は落とされていないが、それも時間の問題だろう」
「そんな……」
「公国が落とされればクランゼル王国は陸の孤島。退路を断たれ、滅びを待つのみとなるだろう。それを阻止する為にも、リベリオンは直ぐに公国の救援へ向かってくれ」
私の言葉に今直ぐにでも立ち上がろうとしたアルベルトを抑えたのは、リベリオンのリーダーだった。
「……あー、マシロさん。悪いんだが……」
「勿論移動の足や各種物資、増援を用意しよう。此方の準備が終わるまではどの道出発は出来ないからね、そちらもしっかりと準備してくれ給え」
「了解」
差し当たって新たな支給品を用意しないとね。




