第92話 リベリオンの休息
第四位階中位
一日休息と言う事で、飯を食った後は気になるゲームコーナーに向かう事にした。
ゲームコーナーと大浴場、その他の施設は、纏めて別の棟にあると言うので外に出る。
時刻は朝。
日の光は暖かく、爽やかな空気を胸一杯に吸い込むと、休日と言う気が強くなってくるから不思議だ。
「ユーイチ。げーむこぉなぁって何をする所なんですか?」
エミリーのそんな問いに、果たしてどう返答すれば良いだろうか。
「うーん……遊ぶ所?」
「遊び、ですか……」
「まぁ、行ってみない事には俺も何とも言えない」
まぁ、この世界のレベルのゲームコーナーだったら、精々……何だろうな? 革のサッカーボールとか?
あまり期待せずに、その場所へ向かった。
◇
其処には、小さな屋敷があった。
「……これ、大浴場とゲームコーナー?」
「……狭い、です」
場所は間違いない。言われた通りに来た筈だ。
王城の壁の中にある巨大な庭の一部、其処に小さな屋敷と言うか小屋と言うか、何とも言えない代物が鎮座していた。
「取り敢えず入ってみるか」
「え、ええ、そうですね」
小屋に取り付けられた金属製の大扉に触れた、次の瞬間——
『認証完了。許可された人物です』
——唐突に無機質な音声が聞こえて来た。
それに驚いていると、大扉が重い音を立てて開き出す。
「うわぁ、自動ドアか……」
中にあったのは、謎の水晶型光源と階段。
そして2体の木偶人形。
微妙に入り辛い状況に固まっていると、またもや音声が聞こえて来た。
『スノーブラック特設支店へようこそ。会員証を配布します』
その声と同時に木偶人形が動き、小さな金属の板を差し出して来た。
「ど、どうも」
「……」
迷宮でゴーレムやドールと戦う事はあるが、こうして敵対していないのは初めての事だ。
若干腰が引けているが、カードを受け取った。
『当施設では一部例外を除いて会員証を介してのみ取り引きが可能です。入金は受付、及び特定設備で行います。紛失時はカードの再発行に1000MC、入金済みのMCは返還されません』
何そのICカード。
ピッとするだけで色んな事が出来たりするの?
「ってかこれ、魔鋼……?」
『はい、魔鋼です』
「え?」
受け答えすんのこれ……どうなってんのこれ……?
『申し遅れました、私はナビゲーターのクロギリ。以降お見知り置きください』
「え、あ、はい」
『リベリオンの皆様に配布致します会員証は、鉄等級の会員カードとなっております。等級が上がる毎に利用可能なサービスが増えていきますので、信頼と実績を積み上げて行く事をオススメします』
本当なにこれ。
なんかもう本当に世界が違う。
『リベリオンの皆様は本日限り当施設の一部を無料使用出来ます他、マシロ様から御一人御一人へ100,000MCを配布されております』
じゅうまんまなくれじっと? 十万円って事なのか?
『スノーブラックのサービスをお楽しみください』
殆ど全く意味が分からないが、これだけは分かった。
……マシロさんまじやべぇ。
ドールに促されるままに、俺達は薄明るい階段を下っていった。




