第85話 っと言うシナリオ
第四位階上位
現状転移魔法は完全解析には至っていない。
空間操作系の魔法は、魔力そのものへの深い理解が必要だからだ。
現段階では、魔力は全ての物質の源であり、元々引き合う性質を持っている事くらいしか分かっていない。
それ故、転移魔法は最初からあるテンプレートの魔法文字を利用している。
好きな地点へ自由に転移するのは必要な魔力や演算力が多いので、それらが少なくて済むマーカー設置型の転移魔法を使用した。
各地に散らばっている配下の装備にマーカーを仕込んであるので、配下の所へは自由に行き来出来るのである。
そんな訳で、クラット迷宮のボス部屋へ転移した私は驚いて固まる2人に席を用意し、斯く斯く然々説明を始めた。
◇
「——と言う事だよ」
「なーる。神に頼まれて異世界へ〜チートを添えて〜って訳か」
「……つまり、神の使徒って言う事……?」
「まぁ、嘘だけど」
「なるなる……ってオイ! 嘘かよ!!?」
「え、えっと……神の使徒じゃ無いって言う事?」
「ある意味では使徒だがその実かなり複雑でね、今説明した様な物だと思ってくれて構わない」
2人にちょっと前に作ったシナリオをダイジェストでお送りし、最後にフィクションですと説明した。
真実を説明すると納得は出来ないだろうし、これが最良の方法なのだ。
大分警戒も薄れたみたいだしね。
「邪神を討てば真実を知る事が出来るだろう。多分」
「あ、怪しい……裏ボスだったりするんじゃないだろうな」
「疑って貰って結構。邪神による終末か私によるディストピアか好きな方を選ぶと良い」
「う、うぅん……!」
悩んでいるクラット氏を横目に、各地に派遣した配下の状況を確認する。
悪魔に襲われた各都市には、人形の軍団が派遣されている。
クランゼル王国では割と知名度の高い人形の魔女の名を使っているので、ドールの集団はしっかりと受け入れられていた。
これなら問題は無さそうだ。
「よし、決めた! 俺はあんたを信じる事にする」
「うむ、それが良いと思うよ。君は?」
「クラットが信じるなら私も信じるわ。あんまり悪い人には見えないし」
「それじゃあ決まりだね」
クラットとウィゼルの2人が了承したので、本に登録する。
魂を保護するだけの代物なので、金の本と比べると性能は大分落ちるが、安心して配下を運用出来る様になるのは大きい。
「2人には新しく、クラディとゼーレの名を与える。これからよろしくね」
「お、おう。よろしく」
「よ、よろしく」
さて、次は道具の解析に移ろうか。
◇
仮称無名の森にあった迷宮は、全部で11個。
そこまで広い範囲でも無いのにこの数は異常に思えるが、未来の草原にも迷宮核もとい生産核がかなりの数あったので、おかし過ぎると言う訳でも無いのかもしれない。
それら殆どの迷宮は、最近迷宮が乱立した様で、お互いにリソースの奪い合いをしていた。
階層は多いモノで6、少ないモノで4程であり、出て来る魔物も弱いのばかりだった。
ボスでレベル20程と言うのは相当である。
そんな弱い迷宮でも、迷宮踏破報酬は手に入る様だった。或いは迷宮を完全支配したからかもしれないが。
《【迷宮クエスト】『名も無き迷宮』をクリアしました》
【迷宮クエスト】
『名も無き迷宮』
参加条件
・迷宮核の破壊、回収
達成条件
・迷宮核の破壊、回収
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント1P
・道具『遊楽の神子結晶』
参加者貢献度選択報酬
貢献度100%
・報酬選択権:SSS
無名の宝小箱を11個。金の宝箱を11個。銀の宝箱を33個。銅の宝箱を55個。鉄の宝箱を110個。石の宝箱を220個。スキルポイントを33P。
その他、名も無き迷宮から出る鼠や蝙蝠などのあまり使えない素材と、最深部にある鉄の宝箱から出たアイテムを整理する。
これ以外にも幾つかクエストをクリアしているので、調べたいアイテムは山の様にある。
幸い差し迫ってやるべき事は特に無いので、解析と確認を始めよう。




