第49話 ヒドラ、進化?
第四位階上位
僕が担当していた首は、妖狐火達に頑張って燃やして貰う。
既に他の5つを潰してあるので、後は浄化結界により弱体化した再生力を削り続けるだけで良い。
レベルが低いとは言えそれぐらいなら火精の一種である妖狐火だけでも十分可能、最悪脳が復活しなければ演算は行われない。
そんな訳で、悪魔の翼で空を駆け、最後の首がいる場所へと移動した。
◇
「……ふむむ? 一体どう言う事だ……」
僕が直ぐ近くにいる事は気付いている筈なのに、最後の首は一切の反応を示さなかった。
それどころか敵意の1つも感じない。
敵意を感じないとなると、このままぶった切って良い物かと躊躇われる。
何より大きな問題として、最後の首は門の中に入っている部分から体の色が黒では無く白になっていた。
どうやら最後の首は他の首と違って負の侵食が起きていないらしい。
とは言え、このまま放置すれば負に侵食されている首が復活してしまう。
手早く片付けよう。
「……悪いね」
そう声を掛け、せめて最後は楽に死ねる様、黒と白の境界に手を添えた。
スキルが進化して出力が格段に向上した念動力を駆使して、その境界を締め上げ、切断。
白い首は何をするでも無くそれを受け入れ、全体に魔力を供給していた最後の首を潰し終わった。
後は、未だ生きている胴体からコアとなりうる魔石や、おそらくあるだろう竜玉を抉り出せば、ヒドラは死ぬ。
残魔力も少ないし、早めに終わらせるとしよう。
◇
《【大陸クエスト】【緊急クエスト】『眠れる邪神竜の使徒:ヒドラ』をクリアしました》
【大陸クエスト】【緊急クエスト】
『眠れる邪神竜の使徒:ヒドラ』
参加条件
・ボス『ヒドラ』と戦う
達成条件
・ボス『ヒドラ』を討伐する
失敗条件
・大陸が滅びる
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
・道具『遊楽の神子結晶』×5
エクストラ評価報酬
緑の瞳討伐
光の魔角討伐
魔王の片鱗
・スキルポイント5P
・『遊楽の神子結晶』×5
《レベルが上がりました》
これで差し迫ってやるべき事は完了した。
クエスト名を見る限り、同じ様な敵はまだまだいそうである。
ヒドラは迷宮の力を利用していたのが災いしたか、未だ負の力を残す遺骸は消滅し、負の力が取り除かれたドロップ品を残した。
既に奪い取っていた物と合わせ、今回は結構な収穫である。
ヒドラ・亜種の首 品質C レア度6 耐久力B
備考:ヒドラ・亜種の切断された首。
ヒドラの魔石 品質C レア度6 耐久力B
備考:ヒドラの魔石。
竜玉 品質C レア度5 耐久力B
備考:竜の力の結晶体。
ヒドラの軽硬革 品質C レア度5 耐久力B
備考:ヒドラの軽くて硬い革。
蛇眼珠 品質B レア度6 耐久力B
備考:高位の蛇型魔物の瞳石。『蛇の魔眼』が使える様になる。
蛇剣 品質B レア度6 耐久力B
備考:ヒドラの力が込められた魔剣。
どれも品質低めだが、負に侵食されていたのだから仕方ない。
魔石や竜玉なら魔力さえあれば修復可能だし、首が丸々一つ入手出来たので素材の品質も問題ないのだ。
「さて……ん?」
迷宮を攻略してしまおうと門へ視線を向けると、奇妙な物が目に入った。
それは迷宮の門……を塞いでいる肉塊。
迷宮核がある場所に繋がる唯一の通り道、其処には倒してドロップ品になった筈のヒドラの首が存在し、その断面を晒していた。
一体どう言う——
「——っ!?」
疑問に首を傾げた次の瞬間、倒した筈のヒドラの首が——
——膨大な光を放った。
◇
新種 LV30 状態:疲労
「……」
「うにゅ、解せぬ」
倒した筈のヒドラの首が光を放った。
光の中から現れたのは退化した蛇だった。
蛇の体は真っ白で、頭部には結晶質の白い角が二本あり、目の色は緑色だった。
エクストラ評価にあった緑の瞳や光の魔角というのはこれの事だろう。
この謎現象。原理的に分からない事もない。
要するに壊れ掛けの魂から正常な部分が脱出し、残っていた肉体へ宿り、その肉体に存在する力の大半を用いて進化の原理を利用した退化をする事で魂と肉体を安定させる。
ただし、それが出来るのかと言うと……まぁ、出来ない事も無いが、難しいと言わざるを得ない。
そしてこんな事を自力で演算出来る様な敵ならそもそも僕等は負けていただろう。
つまり、本蛇の力では無い、又は僕が持つ錬金術の様に強力なスキルを持っている物と考えられる。
取り敢えず、レベル低めだし種族的にも希少っぽいのでテイムしてしまおう。




