第40話 ユキとお酒
第四位階上位
遥か遠い空に偽物の月が輝く。
仄かに草木の青さが香る中、オープンカーとなった装甲車は一切の振動なく、ゆっくりと夜道を進んでいた。
しっかりとした食事の場を用意すれば、それぞれの性格が良く分かると言う物である。
例えば白鬼は、最初の内はそれはもう一生懸命に鰐肉を掻き込んでいたが、途中で我に返ると、ワインを片手にステーキを食べ始めた。
小心者で臆病者で見栄っ張りとは……流石である。
対する赤鬼は、周りなど気にせず肉を食べる事食べる事。
もはや美味いと言う言葉すら無く食べている。
どうやら味が濃い目の物が好きな様なので、鰐の角煮を勧めてみたら、感動に打ち震えていた。
クラウはカレーやハンバーグ、唐揚げを大層気に入った様で、無言でむしゃむしゃ食べている。
その所作に何処と無く気品があるのは姫だからだろうか?
お酒は口に合わなかった様で、今はアルルジュースを飲んでいる。
ロニカとリーンは、クラウ同様品の良さが透けて見える所作でステーキを食べていた。
どちらも胸部装甲の厚さから鑑みて元々肉が好きなのだろう。
同じ物を食べている白鬼が色々な意味で可哀想に思えてくるが、本鬼が気付かないのだから態々教えてあげなくても良いだろう。
セロは赤鬼と同じ様に粗野な印象を受けていたが、食事ではそう言う事もないらしい。
麦飯と味噌汁に角煮を突いて満足気な表情を浮かべている。
気に入った様で何よりである。
唯一天殻樹は、物を食べる必要が無い為、誰一人として喋らない食事風景をにこやかに見守りつつ——果実酒をガブ飲みしていた。
全種類樽で作ったのにどれももう半分無いんだけど……まぁ、良いか。
兎に角、皆満足なら僕も満足である。
苦労して作った甲斐があると言う物だ。
「ふふ」
僕は一つニコリと微笑むと、夕食を食べ始めた。
——その後半。
人間達と会った時の為商売用のお酒を味見した。その後からの記憶が無い。
◇
ふと気が付くと、何かを作っている最中だった。
時刻はどうやら早朝らしく、近場の草に朝露が滴っているのが見える。
テイムの繋がりから皆の位置と自分の位置を確認すると、どうやら僕がいるのは天殻樹の根元。皆は樹海エリアで敵を屠っている様だった。
空を見上げると、天殻と言うには些か小さく、されど巨大な広葉樹の枝葉が見えている。
取り敢えずやろうとしていた事をささっと仕上げると、僕の真後ろに設置されている侵略核を確認した。
「ふむ……」
侵略核の侵略率は、98%。
どうやらもう直ぐ樹海エリアの侵略は完了するらしい。
何が起きたのか、良く思い出してみよう。
◇
「むむむ」
頭を捻って記憶を思い起こした。
どうやらあの夜から30時間以上の時が経っているらしい。
その間僕がやっていたのは、新たな武装の作成と侵略。
つまり——
「うむ、問題ないな」
——何の問題も無いと言う事だ。
取り敢えず新しく作った装備の確認や皆と僕の現状確認をしておこう。
先ず僕のレベル。
ユキ LV63
スキルポイント40P
スキル
錬金術LV41
従魔術LV18
回復魔法LV28
魔力吸収LV32
魔力譲渡LV24
念力LV26
念動LV26
インベントリLV4
鑑定LV4
画像LV3
動画LV1
・淫魔女王・幼体
淫魔使役LV1
催淫の魔眼LV1
催眠の魔眼LV1
闇属性魔法LV3
魔力感知LV30
魔力操作LV31
誘惑LV12
魅了LV29
魅力LV39
催淫LV8
催眠LV5
吸精LV3
飛行LV6
人化LV8
闇耐性LV5
・ミーニュファノン・幼体
土属性魔法LV18
腕力上昇LV10
防護上昇LV10
敏捷上昇LV10
治癒力向上LV10
再生LV4
夜目LV18
暗視LV6
採掘LV1
雑食LV19
鉱物食LV1
鉱毒耐性LV1
初級鉱物学LV8
中級鉱物学LV3
土耐性LV6
暑耐性LV3
寒耐性LV12
・水竜人・幼体
爪牙術LV6
蛇の魔眼LV1
水属性魔法LV10
流水魔法LV3
水の吐息LV4
竜鱗LV12
竜殻LV8
水棲LV1
水中機動LV2
水中呼吸LV2
五感強化LV10
怪力LV3
硬化LV3
竜化LV3
水耐性LV4
流水耐性LV1
・人妖狐・幼体
魔力限界増加《小》LV10MAX
魔力限界増加《中》LV3
火属性魔法LV12
炎魔法LV4
幻惑魔法LV1
気配察知LV30
索敵LV18
隠密LV5
狐化LV9
火耐性LV7
炎耐性LV2
病原耐性LV1
幻惑耐性LV2
狐火LV30
レベルは63に上がり、樹海のクエストをクリアした事でスキルポイントは40P溜まっている。
一つ疑問なのは、錬金術のレベルが異様に高くなっている事。
少なくとも、この迷宮で手に入る低品質なアイテムでは早々上がらないと思っていたが……その原因を発見した。
蜂の毒針 品質A レア度5 耐久力A
備考:蜂を模したペンダント。様々な魔法が施されている。
魔結晶 品質A レア度5 耐久力A
備考:魔力の結晶体。高品質。
王級魔導鎧・セクステットエレメンツ 品質A レア度6 耐久力A
備考:六属性の精霊金属で作られた巨大魔導鎧。様々な魔法が施されている。
プチオニキスゴーレム LV1
プチパールゴーレム LV1
特に王級魔導鎧が問題だ。
これ……どうやって作ったんだろうか?
いや、実際に作ろうとすれば作れない事も無いのだ。
記憶されている情報を読み解くに、樹海エリアには永きに渡って放置されてきた鉱脈がいくつも見つかった。素材に関しての心配は無い。
疑問なのは、僕の消耗が少な過ぎる所だ。
精霊金属を錬成できるのは分かっているが、それに対する消耗が奇妙な程に少ない。
現状ではその要因を解明するのは困難なので、確認作業に戻ろう。




