第30話 地底での優雅なる戦い 四
第四位階中位
次に現れたのは、カーリガンと言う名前の恐竜。
鋭い牙を持ち、強靭な鱗と筋肉を備えるその恐竜は、姿で言うならばスピノサウルスが近いだろうか?
戦闘力は亜竜と言うには今一歩及ばないが、亜亜竜と言える程に強かった。
彼の恐竜は、此方を視界に入れるや否や、背中に生えた骨板を光らせ、顎門を開いた。
——放たれたのは水のブレス。
対するは黒騎士ドールの蝙蝠盾。
盾から打ち出された合計10本のダークアローが、カーリガンのブレスとぶつかり合い、その勢いを減じさせ、衝突。
黒騎士は数メートルも後退し、蝙蝠の盾を大きく抉られ、破壊されながらも停止した。
その一撃でカーリガンも魔力が足りなくなったのか、周囲に水の槍を4本浮かべ、此方へ突進を始めた。
先んじて飛来した4本の槍は、内1本を蜈蚣鎧の光線で撃ち落とされ、精鋭3人の木製盾を粉砕した。
流石にレベル50に迫る強敵の攻撃だと、木製の盾では持たなかったらしい。
カーリガンは勢いのままに、最も危険と判断したらしい魔槍持ちへと牙を剥いた。
しかし、魔槍持ちも既に戦闘経験は300時間にも迫る猛者。
僕の指揮下に加わった瞬間から、槍や魔法の訓練は続けられ、今や狙った場所へ槍を突き刺すなど容易い事。
魔槍持ちは即座にチャージした槍を投擲し、カーリガンの喉奥へと放った。
それと同時に、棍持ちは三角飛びの要領で迷宮の壁を蹴り、跳躍。
光始めたカーリガンの骨板へ豪炎の棍を振り下ろした。
また一方では、大剣持ちや剣持ちがカーリガンの足元へと滑り込み、敵の突進を利用した斬撃をカーリガンの足へと叩き込む。
刺突、打撃、斬撃。
ほんの一瞬の間に同時に繰り出されたそれらに対し、怒りか、或いは痛み故か、カーリガンが咆哮を上げようとし、次の瞬間——
——ダークアローと紫の光がカーリガンの両目へ着弾した。
今度こそ明確な悲鳴を上げたカーリガン。
足を斬り付けられ、大地へ屈した哀れな獲物へ、打撃武器を持つドール達が襲い掛かる。
骨板、残った唯一の攻撃手段である水魔法の回路へ打撃の雨が降り注ぎ、瞬く間にひび割れが広がって行く。
機動力を完全に奪う為、短い腕や強靭な足へと執拗なまで斬撃が打ち込まれる。
鋭い双剣による斬撃が、毒の鉤爪による凶撃が、身動きの取れないカーリガンへ容赦無く浴びせ掛けられ、そして——
《レベルが上がりました》
——力尽きた。
カーリガンの壊れた水骨板 品質D レア度3 耐久力C
備考:カーリガンが魔法を使う時に使用する器官。
カーリガンの鋭突牙 品質B レア度4 耐久力B
備考:カーリガンが敵を仕留める時に使う牙。
亜竜晶 品質B レア度4 耐久力B
備考:亜竜の力の結晶体。
ドロップしたレア物らしきアイテムを回収し、精鋭組を一時撤退させる。
盾の新造が必要だ。
◇
鰐亜竜の小盾 品質A レア度4 耐久力B
備考:グランダイルの革を用いて作られた、亜竜の力を宿す小盾。多少の傷なら自己治癒する。
水竜の剛殻 品質A レア度5 耐久力A
備考:カーリガンの骨板と水竜の鱗を用いて作られた、亜竜の力を宿す大盾。
三頭大蛇の毒牙盾 品質A レア度4 耐久力B
備考:レッサーリトルヒドラの鱗を用いて作られた、亜竜の力を宿す大盾。
毒渦槍 品質A レア度4 耐久力B
備考:カーリガンの牙とレッサーリトルヒドラの毒を用いて作られた、亜竜の力を宿す槍。
一部僕素材が混じっているが、概ね今回の戦いで得られた素材で作った武具である。
全ての武具には亜竜晶を砕いた物を入れてあるので、程々の竜属性を纏っている。
鰐亜竜の小盾は、木製の盾にグランダイルの革を錬成で貼り付けた物で、非常に硬い上に自動修復される。
水竜の剛殻は、僕から剥いだ鱗とカーリガンの硬い骨板を使った、非常に強固な大盾だ。
その性質上水魔法と相性が良く、刻めた魔法は5個。
汎用性の高いウォーターアロー。
その回路を利用したウォーターランス。
更に利用したメイルシュトローム。
発生から着弾が早い青の光。
範囲防御のウォーターウォール。
魔槍と一緒に魔水晶を埋め込んでおいたので、魔力切れの心配は早々しなくても良いだろう。
三頭大蛇の毒牙盾は、レッサーリトルヒドラの鱗を貼り付けて強度を増した盾だ。
装飾の牙はツインヘッドバイパーの牙に変更し、新しく毒の魔法、ポイズンアローとパラライズアロー、スリーピングアローを使える様にした。
毒渦槍は、カーリガンの牙を穂先に使い、レッサーリトルヒドラの毒液を分析して再現した毒を穂先から染み出させる槍となっている。
これで装備の更新はおしまい。
新たな装備を身に付けた精鋭組を戦場に送り出した。




