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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第?章 Another Chronicle 第一節 叛逆の追憶記

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第25話 攻略開始

第四位階中位

 



 翌朝。


 事前の準備を終え、この異界迷宮の調査を行う事にした。



 現在この迷宮は、複数の大きな力が作用し合い、不安定な状態にある事が分かっている。


 此処に存在する大きな力は、大まかに分類して5種類あると思われる。



 1つは言わずもがな、迷宮が本来持っている力。


 2つ目は、迷宮を侵食する程に強い住居核(ホームコア)の力。


 3つ目は地脈の膨大且つ強大な力。


 4つ目はディヴァロアや鬼達などの、この程度の迷宮にしては明らかに強すぎる特異な存在。


 そして最後は……遠くに見える山の頂上から感じる、何とも言えない嫌な気配。



 これらの力が作用し合い、この迷宮は不思議な均衡を保っている。


 なるべく早めにどうにかしなければ、最悪の事態になる可能性が高い。



 現時点で予測出来る災害は非常に危険な物が多いのだ。


 このまま迷宮が死亡すれば、地脈から流れ込んで溜め込まれた濃い魔力が迷宮から噴き出し、地上の一帯を弱い生物が生息出来ない環境に変えてしまう可能性がある。


 ディヴァロアなどの特異点が強く成長した後に崩壊が始まれば、膨大な魔力が特異点に集まり、狂った魔物が発生する可能性もある。

 極低い確率ではあるが、強い魔物の意思のみが共振して濃い魔力が属性魔力に変じ、迷宮周辺が爆炎で吹き飛んだり、津波が起きたり、山すら削る程の竜巻が発生するかもしれない。



 それらの災害を回避する方法は1つしか無い。


 迷宮を支配し、特異点を全て従え、溜め込まれた濃い魔力を喰らい尽くし、流れ込む魔力も頂いて、嫌な気配も始末する。


 これが出来るのは僕だけである。



 いつ崩壊が始まるかは今の僕では予想も出来ないし、もしかすると何かもっと強大な力が動いて崩壊は起きないかもしれない。


 まぁ、取り敢えず動いて、何も起きなければ良かったねぇで済ませれば良い。



 そんな訳で、全ての準備は半日掛けて用意した。

 しっかりと睡眠も取り、味方の強化も終えたので——



 ——攻略を開始する。





 空中からの調査や、ディヴァロア、ティオロア、鬼達の情報から、異界迷宮を6つのエリアに分類した。


 今僕たちがいる場所が草原エリア。

 ディヴァロアが住んでいた場所が森エリア。

 ゴブリン達が這い出して来た場所が洞窟エリア。


 この3つを″南方″と呼称する。南方に対するのは″北方″。


 北に聳え立つ山エリア。

 森エリアから北に向かった先にある樹海エリア。

 洞窟エリアの北にある沼地エリア。



 僕達が先に支配するのは、南方の3エリアだ。



 最初に支配するのは、草原エリアと洞窟エリアの2つ。

 戦力を2つに割き、一気に支配を進める。



 草原エリアを守るのは、ゴーレム達とディヴァロア、ティオロアの2体。

 強い魔物が3体同時に襲い掛かって来てもどうにかなる布陣だ。


 洞窟エリアを侵略するのは、ドール達と鬼、僕。

 此方の支配が完了し次第戦力を更に分割して、他のエリアに進出する予定だ。



「分かったかな?」

「うむ、分からん」

「言いたい事は分かったのだけど……私単体で防衛戦が出来るとは思わない方が良い」



 道すがら鬼2人にかくかくしかじか説明した。


 紅髪の美女鬼が理解出来ないのは予想通り、白髪の少女鬼が一応は理解出来た様で、踏ん反りながら情け無い事を宣言したので、まぁ良しとする。



「無理に理解しようとする必要は無いさ。ただ僕について来て、戦って、勝てば良い」

「成る程、理解した」

「……まぁ、良いか。今更私達が苦戦する様な敵なんて早々出て来ないだろうし」

「戦う覚悟だけしていれば良いよ。それより、此処まで歩いて見て、装備の感触はどうかな?」



 2鬼は今、僕が手ずから作った服を着ている。


 ネズミやゴブリンの革の余りや僕の鱗の破片、ディヴァロアとティオロアから毟った毛と迷宮の植物から抽出した繊維などで作り、野に咲く花から色素を抽出し染色した服だ。

 錬金術のごり押しで作成したので、魔力消費量がかなり多かったが、満足の行く出来であると言えよう。



紅鬼の闘衣 品質B レア度4 耐久力B

備考:様々な能力が付与された戦士の服鎧。



白鬼の法衣 品質B レア度4 耐久力C

備考:様々な能力が付与された魔術士の服鎧。



 裁縫スキルがあればもっと良い物が出来ただろうが、現状僕の力だけで作れるのはこれが限界である。



「うむ、動き易い。良い。凄く」

「気持ち悪い程ぴったりさね。気持ち悪い程」

「そう、それは良かった」



 心底気持ち悪いと言わんばかりに腕をさすり、二度も同じ事を言って強調して来たが、それは褒め言葉である。



「武器の方は後で戦って見て確認してね」

「……お——」

「——戦わなくても分かるのさっ!」



 唐突に、紅鬼の言葉を遮る様にして白鬼が大声を上げた。



「この手に吸い付く様な質感っ。気力の流れる爽快感っ! ふへっふへへへへ」

「……喜んでいる様で何よりだよ」



 どうやら遮った訳ではなく、単に興奮しているだけだったらしい。

 服は気持ち悪いと言っておきながら、杖には頬擦りしている。



「ふへへ。これ、本当に貰って良いのか? か、返さないぞ?」

「はいはいどうぞご自由に。折るなり焼くなり埋めるなり、好きにすれば良いよ」

「壊さないわ! こんな良い杖を壊すなんてばあか(・・・)じゃない、バカのする事さねっ!」



 そう言って白鬼は杖を抱き締めた。随分と気に入った様だね。



「まぁ、良い素材を見つけたらもっと良い杖作ってあげるよ」

「え?」

「ん?」

「こ、この杖もあんたが作ったの……?」

「うん、そうだけど?」

「……え?」



 何故か白鬼はピシリと停止してしまった。



 ……僕が作った物が嫌いなのかな?



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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