第40話 戦利品の確認 二 賢者の報酬
第七位階中位
先ずは魔典。
森海、書房、霊峰の3つだ。
この魔典は、典型的な魔法書であった。
緑色の魔典、『森海の魔宝典』は、主に回復魔法や植物に関連する魔法が使える魔典だ。
目次には複数の呪文名が書かれ、呪文の隣には使える回数と生成に掛かる時間が表記されている。
ざっと確認した所、登録されている魔法は最下級の『治療』や『木矢』から、王級魔法の『出ずる森樹』、『怒れる森軍』などなど。
……おそらくルテール氏族と言う名前はルメールから来ているのだろう。
これらの魔法は魔法符同様に使うと無くなるが、目次から生成指定をする事で再生成する事が出来る。
魔法発動には魔力を消費せず、所持者が魔典に触れている状態で発動を念じると魔法が発動する。
また、魔法のストックに制限は掛けられていない。
つまり、強力な魔法を大量に生成しストックする事で、必要な時に連射が可能になると言う事だ。
ただまぁストックに制限が掛けられていないとは言え、間違いなく絶対的な限界値はある筈なので、使わない魔法は切り取って魔法符にしてしまった方が良いだろう。
『書房の魔宝典』は、目次に最下級から最上級までの無数の呪文が書かれていた。
特級や王級は無いものの汎用性は非常に高い。
攻撃力の高い爆裂系の中でも最上級魔法に分類される『爆発』や、勿論強力な『身体強化』などがあるので、攻撃力で劣っていると言う事も無い。
『霊峰の魔宝典』は、ザイエの魔典と言う事で、肉体戦闘系の魔法しか無かった。
身体強化系の最下級魔法、能力上昇系や、その上の能力強化系、一時的に仙術を宿す魔法など、これだけだとほぼ書房の魔典の下位互換だ。
勿論、霊峰の魔典の真価はそんな物では無い。
何とこの魔典、『限界突破』が使えるのである。
仮に何の変哲も無い土で何の変哲も無いゴーレムを作ったとしたら、そのゴーレムの実力は概ねレベル5〜15程。
そこに『身体強化』を掛けると能力が大幅に上昇し、レベルに換算すると概ね45に届かないくらいまで強化が可能だ。
そして『限界突破』を掛けると……おおよそレベル100相当の戦闘力を発揮出来る。
……まぁ、元が脆いのでそんな事をすれば術解除後に即死する可能性が高いが。
『限界突破』は秘められた潜在能力を解放して更に強化するスキルなので、地力が強い者程強くなれる。
ゴーレム程度では100が限界だが、人間ならもう少し強くなれるだろうね。
これらの魔宝典は、魔覚を使って弄れば新しく魔法を登録する事が出来る。
……と言うか、魔覚で解析すれば複製する事すら可能だろう。
原理的にはモンスターカードと同じなので、後は強力な魔力を宿した紙を作成する魔法機構を解析すれば、自作の魔典を作る事が出来る。
魔典の研究も急務だね。
続いて、各種のメダリオンと証杖、証印の能力。
これは、証杖と証印にメダリオンを嵌め込む事が出来る穴が5つ空いていて、嵌めたメダリオンの組み合わせによってそれぞれ異なる効果を発揮する。と言うアイテムだ。
メダリオン自体には、触れていたりアイテムボックスに入れておくと僅かに身体能力が強化されたり治癒力が向上したりする。
組み合わせによって杖は主に攻撃魔法が変化し、印は多少の身体強化が施される仕組みだ。
例えば森の証杖はメダリオン無しで魔法発動を念じると、回復魔法が発動する。
ここに森賢者のメダリオンを付けると、回復量が大幅に上昇する。
ザイエのメダリオンだと質の低い仙術が付与され、爺様のメダリオンだと魔力がちょっと回復する様になるのだ。
山の証杖は、常態で魔法発動を念じると魔力の球体が飛んで行き、ザイエのメダリオンを付けるとそれに打属性が付与される。
エイジュのメダリオンだと、当たった対象に魔法妨害の波状魔力が注入され、爺様のメダリオンだと攻撃の規模が広がる。
街の証杖は矢の魔法が発動し、爺様のメダリオンを付けると矢が大きくなり、ザイエのメダリオンだと突属性が付与され、エイジュだと呪傷の効果が発動する。
ざっと見た感じだと、エイジュは搦め手。ザイエは攻撃特化。爺様は魔力関連。と言った具合だ。
そして、このメダリオンと杖や印はかなり簡単な作りなので、魔覚を使わずとも複製は可能である。
作り方は、先ず基盤になる魔法機構が刻まれた物を用意し、穴に線を繋ぐ。
そして、穴に嵌め込むメダリオンには、基盤となる魔法に付与させたい魔法機構を刻む。
刻まれる魔法機構の量は杖や印よりもメダリオンの方が多いので、ピンポン玉より少し小さいくらいの大きさしか無いメダリオンは作成に結構な器用さが要求されるだろう。
次は源典。




