第38話 戦果と消耗 二
第七位階中位
次は冬将軍。
彼は僕の初撃で発生した湖を上手く使い、決戦場の半分以上を一気に凍りつかせる事に成功した。
その後は、生まれた氷属性の精霊達から力を貰い、異界、おそらく獄峰とやらから降り注ぐほぼ無限の火属性に抗い続けていた。
察するに、このステージは異界の壁では無く、フィールド制限によって切り取られているのだろう。
新しく解放された獄峰に入り山の頂上まで行けば、決戦場を見下ろす事が出来る筈だ。
灼熱地獄の中で抗い続けるのはジリ貧でしか無いが、数時間に渡って火属性を中和し続けた彼の奮闘無くして勝利はあり得なかっただろう。
最終的には、単独でアトランティスの回復する筈だった魔力量を2割近く削った事になる。
続いて三巨像さん。
彼等は最初の内こそ奇襲戦法でアトランティスを翻弄していたが、最後は元の大きさに戻り、砲撃の囮となって戦った。
機動力を上げる魔法を連続で行使したので、魔力の残量は心許ない。
最終的に削った魔力量は、おおよそ3割程。
差し当たって壊れかけの武装を直し、送還した。
次、白騎士。
彼は最後まで無傷だった。
翼の圧倒的なスピードで機神の砲撃を全て回避し、読み合いに負けて誘導され直撃したアトランティスの吐息をも完全に防ぎ切った。
アトランティスが白騎士への砲撃をやめれば、超高速の突撃が待っていると言う、無視できない強力な盾役として大いに活躍したのだ。
その功績は凄まじく、アトランティス討伐において一二を争う大金星である。
無傷でアトランティスの攻撃から味方を守り続けた白騎士に匹敵する功績を上げたのは、イェガだ。
イェガがやった事は、徹底的な味方の支援。
遥か上空からアトランティスを解析し、その行動を予測し、得た情報は即座にゴーレム達へ共有され、生存率の大幅な上昇に貢献した。
それと同時に、全ゴーレム達の魔力吸収能力を統率し、決戦場の火精達が放つ火属性の魔力を分解、吸収させていた。
生存率の向上。継戦能力の向上。と此処まででも十分な戦果であるが、イェガの処理能力にはまだ余裕があったらしい。
無数の遠距離攻撃型飛翔騎士を用い、自らに備えられた武装をも行使して、アトランティスの銃翼から分離された銃羽を全て撃墜していたのである。
これのお陰で背後から攻撃される事が無いワーカー達は正面からの砲撃に集中出来たし、アーミーやソルジャー達も乱戦になる事なく最後まで戦い抜く事が出来た。
……更に言うと、イェガにはアトランティスとほぼ同格の主砲が取り付けられている。
それはアトランティスの主砲を防ぐためにいつでも使えるようにしていたのだが、この主砲の存在こそがアトランティスの主砲を牽制していたのだと思われる。
……まぁ、ほぼ同格と言っても質では圧倒的に劣っているので、互いに打ち合った場合はイェガが撃墜され、アトランティスは全身の表面が溶解する程度だっただろう。
勿論それだけのダメージならば修復するのに必要な魔力はアトランティスの3割程だろうし、そもそもアトランティスが主砲を放つ場合は最低でも2割程の魔力が必要な様なので、単独で5割もの魔力を削れる事になる。
更に……イェガはアトランティスよりもずっと巨大なので、中心部と核を打ち砕かれても、街の周りに設置された魔力の結晶が即座にイェガの核を復活させるだろう。
万が一の時はイェガの主砲を解禁してアトランティスを一気呵成に仕留める手もあったのである。
最後、紅騎士。
彼は、『断絶斬』をギリギリまで温存し、アトランティスに対してひたすらに地力での戦いを続けていた。
この戦いで最も成長したのは間違いなく彼だ。
戦いの主旨としては最高の結果であると言えよう。
勝者達を大いに労い、送還した。
尚、この戦いは見るだけでも良い経験になったらしく、アニマルズ達のレベル制限も少し解除されていたし、僕を通して戦場を見ていたニャンコ達や吸血鬼メイド達も、ほんの少し成長していた。
消耗は程々、戦果は上々。
とても有意義な時間であったと言えるだろう。
これは次にも期待出来ると言うものだ。
さて……。
「……次は誰にしようかな?」




