第28話 決戦前に魔改造を 二 ゴーレム
第七位階中位
クランスキルは、『クランスキル』と言う物を取得するとクランメニューに現れる。
クランスキルの他にクランメニューに追加されるのは、CPと言う項目だ。
調べた事を要約すると、クランリーダーかそれに許可されたメンバー、または専用の指輪を持っている者、がCPを消費して強力な魔法を発動させる。と言う物だ。
クランポイントは、ダンジョンポイントやマナ貨幣とはまた違った規格のマナポイントの様だ。
感触から言っておおよそマナ貨幣の10倍近い濃度である。
クランポイント自体は、クラン設立と同時に溜まっていた様で、溜まる量はメンバーの数と領地に比例するらしい。
そんなクランポイントを使用するクランスキルは、補助や攻撃の魔法などであった。
これにも解放条件が存在し、解放にはマナ貨幣が必要だったり条件をクリアするだけで良かったりと無数にある。
例えば、『クランストレージ+《微》』と言うスキルは、10日間クランストレージを微の分だけ増加させるスキルで、解放条件は1000CPを貯めると言う物。
発動には1000CP掛かる。
例えば、『断罪の鉄槌』は、クランメンバーが光属性魔法と聖属性魔法、閃光魔法、極光魔法、神聖魔法などを合計100個分持っている事。
上位魔法だと一つで10個分、更に上だと100個分になるので、極光魔法があればそれだけで条件クリアになる。
発動は10万CP。お高い。
折角なので『能力増強』と言うスキルの効果と同じ効果を10分間だけ発動すると言う物を取得しておいた。
能力増強は身体強化の下位互換スキルらしく、発動に掛かるCPは、1人につき10Pとかなり安めだ。
多くのクランスキルは、取得条件だけ書かれていたり、取得条件すら書かれていない物だった。
まぁ、実際に使う予定なのは能力増強だけなので、特に支障は無い。
クランの強化に関してはこんなところ。
これだけでも、アーミーゴーレムはレベル30分くらいは強くなっただろう。
続いて武装の強化。
アトランティスの遠距離放火に対応すべく、アーミー達全員に4つずつ、分離させて改造した群星銃を装備させた。
極小サイズの貯蓄結晶と吸収結晶が仕込まれているので、マナ切れの心配は無い。
銘は『四銃奏』。
合計400門の砲口がアトランティスにどこまで通じるかは未知数だが、半分くらい防げれば十分だ。
そして武器、銘を『霞孫』と言う小さなナイフだ。
これの素材は天帝竜の鱗である。
スペックが存在隠蔽系に振り切れていたとはいえ、天帝級の竜鱗だ。
その硬さは大精霊金属を優に超えている。
かなり小さいサイズなのは、加工に掛かる魔力、もとい加工費が高過ぎる故。
銘に孫が入る理由は、小さいからだ。
元々『霞』と言う銘の大剣を作る計画が僕の中に存在したが、現時点での加工は出来なくは無いが困難だ。
なので、『霞子』と言う剣を考案し、最終的に『霞孫』になってしまった訳である。
流石に『霞』を100本も作ると破産するよ。
『霞孫』の能力は単純で、刀身が透明化出来る事と、その硬度の高さだ。
物自体が強力な魔力タンクにもなるので、孫でも結構強い。
竜の素材を使っているこれは、一般的には竜殺剣の一種であり、市場価格は……国宝級。
うむ……まぁ、加工にお金が掛かるのは仕方ないね。
続いて、彼らの肉体自体を強化した。
レベル300前半で制限に引っかかっているアーミー達の肉体は、元の土から進化して、今や精霊金属と同格の金属になっている。
魔鋼の上の魔導鋼の更に上、賢者の金属と呼ばれる故に名付けられた金属、魔賢鋼で出来ている。
これをパパッと強化して魔王鋼にした。
出費が嵩むが仕方ない。アトランティスはそれだけ強いのだから。
魔王鋼で出来たアーミー達には、体に火の精霊刻印を刻み、火属性そのものに強い耐性を持たせている。
脚部には『跳躍』や『俊敏』の魔法文字を刻んで機動力を確保し、腕部には『剛力』の魔法文字を刻んでいる。
前に作った四腕の騎士像よりもレベルが高いので、強化された肉体にも魂がちゃんと追いついている。
アーミーゴーレムに関してはざっとこんな所。
今は運動能力を確かめて慣らす為、鬼人や巨人達と模擬戦をしている。
流石に『四銃奏』や『霞孫』を使えば鬼達が死んでしまうので、あくまでも基本性能の確認に留めている。
イェガの迎撃人形が量産されて行けば、壊しても良い相手として使えるのだろうが……出費が……。
次は50体のワーカー。
ワーカー達は、元は其々別々の形状をしていたが、今はほぼ人型に変形していた。
まぁ、腕が4つあるので人と見間違える様な事は無いが。
それをアーミーと同じ様に魔王鋼へ精錬し、アーミーと同じ様に精霊刻印や魔法文字を刻んだ。
これで彼らも立派な戦闘職である。
とは言えスキル構成は後方支援型なので、戦闘能力と言う点だけ見れば、レベルが格下のアーミー達に劣る。
そんな訳で作った物が『大盾』。
まぁ言ってしまえば、徹底的に囮としてアトランティスの砲火を受けて貰うのだ。
全身を覆い隠せる程に大きな盾には、天帝竜の鱗をほぼ未加工で融合させており、ローコストでハイリターンな装備が完成した。
名前は、あまり手を加えていないので『試作型IDS-1』だ。
インヴィジヴルドラゴンシールドと言う名の通り、一方向から見れば完全に透明化して見える代物である。
透明化自体は天帝竜に少し劣る程度だが、気配遮断の力は……一方向にしか無いので、大して効果が無い。
盾自体には、物理的な衝撃に強い『対物障壁』と、魔法攻撃を防ぐ『対魔法障壁』。そして火属性に強い『対火障壁』を張れる様にしてある。
そんな障壁を常時張っていれば魔力がぐんぐん消費されてしまうので、対策として小サイズの貯蓄結晶と吸収結晶を付けた。
これで長時間砲火に晒されても生き残る事が出来るだろう。
次に30体のソルジャー達。
彼等は元々戦闘型のゴーレムとして作られており、体が魔王鋼だったので然程出費は出なかった。
武器は、魔王鋼製の大剣で、魔力を流すと自動的に斬属性に変換して剣に纏わせる魔法機構が付いている。
『大精霊金属級の武器』に『斬属性』で、機神の肉体に傷を付ける事が出来るかは分からないが、少なくとも内蔵魔力を削る事が出来るのは間違いない。
決定打に欠ける以上持久戦は必至だが、まぁ何とかなるだろう。
次は、決定打。
……に、なり得るかも知れないゴーレム達の改造だ。




