第27話 決戦前に魔改造を
第七位階中位
差し当たって鍛錬島に向かう4人を送還し、闇の中へ潜り込んだ。
向かった先は、ティアの屋敷。
ちょうど昼食を取りに戻って来ていたティアをテイムしに行くのだ。
◇
エスティア・ルベリオン LV162
「む?」
「ふむ、見た目には何も変わらない様だが……力が溢れて来る」
ティアに本の事を説明し、僕の配下になる事を快諾したティアをテイムして本に登録したら、ティアのレベルが倍くらいに上昇した。
僕の感覚を信じるなら、本の1ページに込められていた金の力がティアに入って行った様な気がする。
考えるに、そもそも金の力自体は本に契約した者全てに入って行くのだろう。
ティアがそれを経験値として取得したと言う事は……ティアの本質が金の力と近しいと言う事だろうか?
殆どの者は力を加護として受け取るが、ティアは力をそのまま力として受け取った。
サンプルが少ないので何とも言えないが、魔典から供給される膨大なエネルギーには少しだけ金の力が混じっている。
ティアは放って置いても勝手にレベルが上がって行くんじゃなかろうか?
魔覚で詳しく見るに、金の加護自体はちゃんと形を成しているので、力の全てを受け取れた訳では無い様だ。
不具合が無いのなら僕としても問題は無い。
取り敢えずの安全を確保したので、万が一の為に上級ポーションや保存の効く食料なんかを渡しておいた。
ティアの所持する魔道具『聖騎士の証』と言う指輪には、アイテムボックスや換装などのスキルが付与されているので、労せずして多くのアイテムを携帯出来る。
「それじゃあティア、またね」
「うむ、また」
「スノー、ティアを宜しくね」
「お任せ下さい」
スノーが礼をするのを見、闇の中へと潜って行く。
いつも念話の時、最後に寂しげだったティアは、僕の魂と繋がっている本と繋がったからか、今日はあまり寂しそうでは無かった。
◇
次に向かったのは、水精三姉妹がいる地下水路。
ウンディーネ・エンプレス LV665
ウンディーネ・ロード LV462
アークウンディーネ LV296
お仕事中の三人にかくかくしかじか説明し、僕の配下になって貰った。
この下水道は、本来水精がいなくても下水処理は可能だが、水精三姉妹は既に履行済みの契約を惰性で続けていたらしい。
契約の内容は極精霊有利な物。
100年下水処理すれば貯蓄結晶の周りを精霊の住処にして良いよ。後、出来れば王都に危機が迫った時に手助けして欲しい。と言う内容であった。
ともあれ、水精三姉妹には変わらず下水処理に従事して貰い、いざという時には王都を守って貰う。
詰まる所、今までと何も変わらないのだ。
これで王都の守りはほぼ万全。
ゴーレム達を引き上げても問題無いだろう。
◇
しばらく王都内やその地下を見回り、異常が無い事を確認したので、鍛錬島に戻って来た。
配下の子達は回収し、ウルルとわんわん軍団+αも送り出した。
これでいよいよ、機神との対戦だ。
まぁ、その前に、ゴーレム達の整備が先だけどね。
一時的にワーカー達も居なくなるので、その穴埋めは吸血鬼メイド達が行う事になった。
ワーカー達の尖った職能には劣るが、品質を維持するくらいは余裕でこなせるので問題無い。
早速、全182のゴーレムとその他の一部を改修しよう。
◇
差し当たって最初に行ったのは、標的の選定。
今回倒す機神は、火山の迷宮。神滅機神・アトランティスに決めた。
そうと決まれば後はそれに対抗する為の装備を整えるだけ。
然程時間を掛ける事なく、ゴーレム達の改造は完了した。
先ずはアーミーゴーレム。
彼等は、僕のクランを象徴する旗を取り込んで進化し、クランメニューから操作出来る補助効果を通常の倍くらいの範囲まで広げる事が出来る様になっている。
補助効果はマナ貨幣で強化可能であり、クランの発展具合に比例して、より強力な効果を発動させる事が出来る。
強化の解放条件は様々で、クランメンバーの数や質。領地の範囲。クリアしたクエストの数。などなど。
この補助効果は、クランメンバーの指輪を持っている者か、旗の効果範囲にいるクランメンバーにしか効果が無いらしいが、今回の戦場の範囲なら特に心配する必要は無いだろう。
差し当たって取得した補助効果は、腕力、防護、敏捷の基本強化を、極微、微、極小、小、中。
治癒力向上を、極微、微、極小、小。
魔力回復を、極微、微。
各種状態異常への耐性を、極微、微。
各種属性への耐性を、極微、微、極小。
元々旗や指輪に備わっている補助効果と相まって、まぁまぁいい感じには強化されている。
また、クランメニューから補助効果の範囲を狭める事が可能で、狭めればその分だけ濃度が増す。
決戦場の範囲に合わせてある程度絞っておいた。
おまけで、指輪を持っている者か許可されたクランメンバーが使える、『クランストレージボックス』と言うインベントリと同じ便利能力を、微、小、中、まで取得した。
これがあれば、指輪を渡したタク達や、ルベリオン王国南方にいるフユキ、フブキの2人に簡単にアイテムを送る事が出来る。
ただし、微で小さな金庫くらい。小で畳一畳くらい。中でようやく小さな倉庫くらいなので、必要な物しか入れる事は出来ない。
また、入れた物自体にも、クランリーダーが許可した者にしか出せない様に設定する事が出来る様だ。
かなり便利だがその分値段は高め。強化解放条件もクランメンバーの数と領地の範囲がかなり多く必要となっていた。
まぁ、値段以上の価値があるのだから取得に否やはない。
そして最後、領地とメンバーの条件をクリアして取得可能になった能力、『クランスキル』と言う物がある。




