第14話 面談と補充
第七位階中位
次に行うのは、アンデット組との対話。
そう……——アンデット面談であるっ。
総勢100人の骨や鎧と一対一で対面し、その深部に存在するバラバラ且つ虫喰い状態の記憶を、繋ぎ合わせ、修復する。
そもそも記憶には連続性という物が存在しているので、バラバラになった記憶はそのまんまパズルのピースの様に繋がり合う。
問題は虫喰いだ。
長い時の中で魂が風化して失われた記憶は、本来取り戻す事は出来ない。
だが、虫喰いという特異性のお陰で、限りなく本物に近い記憶を再現する事は不可能ではない。
例えば、視覚で得た記憶が失われていたとしても、嗅覚や聴覚で得た記憶は残っていたりする。
何より、殆どの記憶は魔覚での再現が可能だ。
更に言うと、その瞬間の全ての記憶が失われていたとしても、その瞬間の前と後の状況次第では再現可能である。
更に付け足すと、彼等は仲間同士であり、同じ道を歩んで来た。情報が無ければ他のデータを参照すれば良い。
記憶の修復方法は簡単。
魂合を用いて魂魄をシンクロさせ、ちょこっと魂にお邪魔して整理するだけだ。
人の誕生から死ぬまでを横から見ている様な感覚だが、時間にすると1分も掛からない一瞬の事。
まるで胡蝶之夢の様に不可思議な感覚を覚えたが、それも1回目だけ。後は平常運転であった。
しばらく後、最後にルーレンとアッセリアの僅かな虫喰い部分を修復し、全てのアンデット面談を終えた。
アンデット達は全員が二十代前後の若者だったので、対して時間は掛からず、僕の負担も少なく済んだ。
おそらく、ルーレンとアッセリアをリーダーだと認め、信頼しているのが若者しかいなかったのだろう。
自我を取り戻した子達は、離反されてもどうとでも出来るが面倒なので、一人一人と延長面談しておいた。
ちょっと生意気なルーレンの弱みもばっちり握ったので、満足行く結果だった。
……幼少期のルーレンはアッセリアを男の子と勘違いして——
◇
次に行ったのは、鍛錬島の店に品物を補充する事。
ポーションは他の店より割高で販売しているが、その効能はおおよそ3倍。
鍛錬島の市販ポーションは下級なら下級下位、中級なら中級下位だが、僕の店のポーションは下級なら下級上位、中級なら中級上位なので、多少高くても売れるのである。
そして、おそらく完売する一番の理由は——『味』。
市販品のポーションはドロっとしていて苦いが、僕のポーションはサラッとしていてアルル味。
飲むのに忌避が無く、美味しくて効能も高い。
——売れる訳である。
また、その素材もアルナンによる自家製薬草を使用しているので、品質に対して安値で売っても丸儲けなのだ。
マナポーションに関しては、市販マナポーションとは少し異なる。
市販品のマナポーションは、魔力が極端に宿りやすい果実を使っている様なのだが、僕の手元にはそれが無い。
ポーションが苦いのに対しマナポーションは甘いのだ。
仕方ないので、マナポーションには魔結晶の粉末を入れ、アルルを絞っただけのアルルジュースとなっている。
此方は、市販品と比べると効能がやたらと高い割に些か安過ぎるきらいがあるが、単純に魔力をそのまま入れているだけなので当然である。
……まぁ、飲んで回復する量は、支払われるマナ貨幣の半分から4分の1程なので、ボロ儲けである。
何せ売れば素材とお金が転がり込んで来るのだから……効率はダントツで旨い。
ポーションとマナポーションは何方もアルルジュースだが、分かりやすい様に色を変えている。
ポーションは緑に着色し、マナポーションは青にした。
これで間違えて買う心配も無いし、間違えて飲む可能性も大幅に減少した事だろう。
因みに市販品の魔法薬は、ポーションがドロっとした緑、マナポーションがレモン色で微炭酸だ。
魔法石と魔法符に関しては、何方も簡単に手に入る紙と石を使っているので、実質費用0である。
魔法の階級が分かりやすい様に、石は最下級が球体。下級が涙滴型。中級が両錐。と角を増やした。
符は、紙の角に石と同じ文様を描いてある。
各魔法道具は、属性が分かりやすい様に石には柔らかな色合いで着色し、符は巻物を縛る封印の紐に着色した。
本来なら符を巻物状にする必要は無いが、間違えて発動させたりすると困るので、安全装置として紐を使っている。
石には安全装置が無いので、使う時は十分に気を付けて欲しい。
ポーションの瓶や魔法符の紐、壊れた武具などは、買い取る旨が書かれた紙をカウンターに貼ってある。
余程切羽詰まって無い限りは自分等で回収して来るだろう。




