第8話 配下の確認・最古参
※360万PV達成
第七位階中位
すっかり日も暮れ、鍛錬島の空に月が輝いている。
既に鍛錬島には多数のプレイヤーが訪れている様で、遠くから騒々しくも好ましい喧騒が聞こえる。
僕の迷宮の広場には、個人別のフィールド制限があるからか未だ人の影は無く、あるのは無数の獣の姿。
広場に入りきらず、かなり広めの道にまで溢れ出している。
超大型の子達は小型化する能力を取得しており、余裕を持って街の中に収まっているが、イェガやクリカはかなり無理がある。
クリカはどうにかなっているが、イェガは…………飛んでる。
それも込みで確認の為、パフィ子キングダムに行くとしよう。
◇
「ユィユィユィー」
「はいはいよしよーし」
ユキって呼ぶ気無いな。君等。
パフィ子達を程々に撫で終えたので、早速確認を開始しよう。
此処にいないメンバーは、吸血鬼一行。獅子親子。ゴーレム軍団。スライム軍団。アイ。アルナン。レイーニャ以外のニャンコ達。妖精達。姉妹。うさーず。狐君達。一部のわんわん達。
彼等は殆ど確認の必要が無いので、後回しにしても問題無いだろう。
先ずはウルルの確認。
月蝕狼に進化したウルルは、一番最初から僕と一緒にいた事もあってか、銀毛が完全に僕と同じ色になっていた。
毛の中に潜り込めば一体化出来る仕様である。
そんなウル毛はサラサラとしていながらも強靭で、並の武具では刃が立たないだろう。
月喰みの力は一層強化され、一度発動させれば周辺一帯に月から降り注ぐ魔力を根こそぎ吸収出来る。
そして、遂にウルルは人化出来る様になった。
何だかんだ言ってウルルは年少組なので、人化で現れるのは子供かと思ったのだが、実際に現れたのはキリッとした美少女だった。
身長は高すぎない程度で細身。銀の長髪がウルルの動きに合わせてゆらゆらと揺れている。
取り敢えずウルルに姉妹に渡した物と同じ服を着せる。
ウルルはしばらく体の動きを確認した後、少し声の出し方を調整し、改めて僕と向き合った。
「ユキ、私は貴方の事が好きです」
唐突なウルルの告白。
「愛しています」
そう話すウルルの顔は、言葉とは裏腹に苦々しく歪んでいた。
まるで、言葉だけでは思いを伝えきれないと言わんばかりに。
ウルルは僕へと歩み寄り、僕の頬にそっと手を添え、僕の背中へ手を回し、抱き締めた。
対する僕は、じっとウルルの瞳を見つめている。
「ユキ……」
小さな呟きを零した唇が、僕の額に添えられた——
◇
頭を撫でられたり髪を指ですかれたり、僕がウルルの頭を撫でたり、それはウルルが満足するまで続いた。
一頻りウルルと戯れた後、ウルルは獣形態に戻った。
確認を再開する。
次はメロット。
彼女は、一部が増量した以外に見た目には然程変化無いが、能力面では誘引系の力が更に強化されていた。
後方支援型として各種基本の属性魔法等を扱える様になり、何故か近接戦闘系のスキルも取得していた。
全く椅子から立ち上がらないのに何故剣術があるのかと思わなくも無いが、一応王権シリーズには剣があるので、そんな事もあるのだろう。
僕が言いたい事は一つ。……それ……まだ育つのか。
本兎は玉座をリクライニングシートの様に倒し、やたらと大きいクッションを下にして気怠げにしている。
同じ兎のうさーずは、どの子も変わらず小さいまま。
能力は魔法関連のスキルが増え、魔力保持容量も大幅に上昇している。
続いてスライムの2匹。
アイもリッドも単純な上位互換で、特に確認の必要は無い。
凄く大きくて便利になったのだ。
アイとリッドなら、吸血鬼や悪魔が襲い掛かって来ても僕が来るまで時間を稼ぐ事は容易いだろう。
群体スライム君は、その性質上防衛戦の雑魚殲滅をするのに優れている。
今の実力なら、レベル50以下の軍勢であればどれ程やって来ようと殲滅出来る筈だ。
次、イェガ。
キャッスルからシティに進化したイェガは、2つの本体を持つ様だ。
1つは空中都市。
様々な武装を搭載し、敵を空爆する事が出来る空飛ぶ都市である。
大きさはかなり巨大で、形状は円形。その規模は王都よりも大きい。
そんなイェガ都市は、僕の整備待ちらしく、殆どが空き地になっていた。
イェガ都市にはそれを守る結界が存在し、登録された生物が住みやすい環境を整えるシステムまである。
整備次第では水中から空中、果ては宇宙にまで行けるだろう。
2つ目は、人型のゴーレム。
此方は、実力的にはウェポンゴーレムくらい。
体が大精霊金属で出来ているので、そう簡単には破壊出来ないだろう。
此方も整備次第では大きな力を持つ事が出来るのは間違い無い。
イェガの整備や細部の確認は後で行うとしよう。




