第28話 白の騒乱 三 核を目指す
第六位階上位
雷光一閃。
フユキが刀を一振りすると、それだけで繁殖体の体が上下に分かれ、着火した。
消火した。
僕等はともかくクゥヘス少年がいる事を忘れてはいけない。
◇
「……幻想的とも言えるかな?」
倒した繁殖体をインベントリにしまうと、見えて来たのは一面の銀世界、いや白い世界。
遠目に見える樹木らしき物には白い菌糸が纏わり付き、チラリと覗く木の幹は、まるで枯れた古木の如く萎びていた。
白い地面には彼方此方にキノコが生え、もはや暗がりとか湿潤とか関係無しに増殖しているのが分かる。
……今、一際大きく成長したキノコが立ち上がるのが見えた。
また、宙には瘴気の如く白い靄が漂い、件の少年が中身までキノコに侵食されていたのも分かる有様であった。
一度呼吸すれば胞子が肺に侵入し、十分な抵抗力を持たない者は直ちに体内を蹂躙されるだろう。
ざっと見回すと、出入り口の左右に幾らかの構造物がある事に気付く。
完全に菌糸に覆われているので分かり辛いが、中に複数の生物反応があるので、大方兵士の詰所や宿場などだろう。
他にも、道端に幾らか不自然な起伏があるのだが、これは人間である。
完全に、一欠片の隙間も無く菌糸に覆われているので、目視での判断はもはや出来ない状態だが、辛うじて生きている。
……敢えて直ぐに死なない様にしている可能性もあるね。
取り敢えず救出しよう。
◇
保護した全ての人間は、坑道の少し進んだ所に放置した。
其処までの道を錬成で補強し、キノコが侵攻出来ない様にするのも忘れない。
これでパフィニョン達が王都へ侵攻する道は西の森だけになった。
これで十分な時間稼ぎになった筈である。
そんなこんなで小細工をしつつ、配下に指示を出す。
7匹いるアニマルズには西の森まで飛んで、ある程度本気でパフィニョンを駆除、足止めして貰う。
フユキには公都まで向かって貰い、迷宮都市の人々を守る様に命令した。
そしてフブキは核を目指す。
核の場所には当てがない訳でも無い。
彼等の基本構造は、核を中心に母体という中継点を経て繁殖体に繋がり、それらが侵食体などの歩キノコを生産するのである。
よって、繁殖体が広げる魔力の線、その最も太い物を追跡すれば母体に辿り着き、母体から広がる線の中で最も太い物を追跡すれば、核に辿り着く。
差し当たって目指すのは、遠くに見える巨大な白キノコ。繁殖体である。
と言う訳で、フブキ。よろしく。
僕は昼食を取る。
◇
昼食を済ませ、他、様々な雑事を終えてから戻って来た。
フユキとフブキは、僕の指示通り行動しているので、僕はそれらの補助をしつつ、念の為援軍を用意するとしよう。
迷宮の方は、プレイヤー側としてアワユキを紛れ込ませているので、特に僕がいる必要は無い。
闇の中に潜り込み、霧の森へと移動した。
現在、僕が動かせない戦力は、
・鍛錬島にいる吸血鬼達とルヘーテ親子
・スノーで生産活動をしているゴーレムとアルナン
・王都を防衛しているゴーレム達
・王都でのんびりしている猫ちゃん達
・王都の屋敷を守る人形さん
・爺様達を守っていると言う事になっているレミア
・グランドスライムズと妖精達はインヴェルノの防衛
・アイはティアの護衛
・うさーず、三狐、4匹の聖天狗は姉妹達の護衛
・アンデット組はハミリオンの警戒
と、こんな所か。
公都北西の森に向かわせるのは、わんわん軍団とアニマルズが良いだろう。
人型の子達は手元に残すが、遊ばせておくのも勿体無いので、古参組と一緒に鍛錬島の迷宮で稼いで貰う。
援軍に向かった皆を見送り、続いて鍛錬島に他の子達を放った。
これで今僕の手元にある戦力は、もうじき復活するレイーニャに、死神君とうさぎさんだけである。
闇を伝って迷宮深部に戻ると、早速フブキの操作を開始する。
その間僕の体がフリーになるので、本を読んだりアイテムの解析をしたりして過ごすとしよう。




