第11話 攻略準備、兵糧を貯める
第三位階上位
嬉々として取得し、準備する。
錬成布の上に用意したのは、高品質の魔石、高品質のスライムの核、噴水から汲んできたただの水。
「『即席生命』」
残りの魔力が吸い取られ、魔法陣が描かれた。
その魔法陣から光が溢れ出す。その光が一際強く輝いて……スライムが出来た。
スライム・インスタントライフ LV1 状態:
スライム・インスタントライフ?
また何か変なのが付いている、鑑定では分からない所が多そうなので、テイムして本にしまう。
名前: LV1 状態:
種族:スライム・インスタントライフ
スキル
『捕食LV1』
『吸収LV1』
『分解LV1』
『分裂LV1』
残り生存時間〔29:52〕
召喚可能
本を開き、スライム・インスタントライフのページを確認すると、何やら変な物が記入されていた。
残り生存時間〔29:52〕は少しずつ数字が上がっていき、〔30:00〕になると停止した。
これってつまり、このスライムの命は四半刻と言う事だろうか?
◇
生存時間に気を付けつつ検証してみた。
このスライムには自我があるものの、酷く薄い様だ。
やりたい事をやれ、と命令すると、のっそりと動き出して雑草をもしゃもしゃ食べ始めたので間違いない。
それと、何かを捕食し吸収すると、それだけ生存時間が回復する。
本に送還した時に生存時間が回復したのは、契約した相手に本が魔力を供給しているからだろう。
この力のお陰でウルル達は空腹に苦しまずに済んでいる。僕も契約したい。
魔力が切れてしまったので、検証実験はここまで。
次は新しいスキルを取得しよう。
スキル取得をザッと見回すと色々と良さそうなスキルが増えていた。
取得したスキルは多数。
『魔力限界増加《小》LV1』
『魔力吸収LV1』
『魔力譲渡LV1』
『調教LV1』
『騎乗LV1』
『威圧LV1』
『直感LV1』
『初級魔物学LV1』
『初級植物学LV1』
『初級鉱物学LV1』
『時計LV1』
『画像LV1』
『整理LV1』
『分類LV1』
残りのスキルポイントは27P、少し使い過ぎただろうか? まぁ、足りないなら稼げば良い。
それぞれの取得理由は明確だ。
魔力限界増加はその名前の通り、魔力保持限界を増加する。
僕の保持量はレベルが上がった為かかなりの量であり、この魔力限界増加《小》で増える量は些細な物だが、スキルレベルが上がって行けば大きいだろう。
魔力吸収、譲渡もその名前の通り、様々なものから魔力を吸収し、様々なものに魔力を譲渡出来る。
魔石から魔力を吸収出来れば魔力に関しての心配は大いに減るし、譲渡出来れば魔石を魔力ポットに使える。
調教と騎乗は、調教はテイム確率を上げるかもしれないと言う期待を。騎乗はウルルに乗って移動すれば楽かなと思って取得した。
威圧は、調教同様にテイムに使えると思ったからで。
直感は、気配察知等のスキルを補助出来るのではなかろうかと期待している。
〜学系のスキルは、鑑定に関与する他、植物学は採取や薬師、鉱物学は採掘や鍛治に関係があり、兎にも角にも鑑定の補助を望んだ故だ。
他4つのスキルは、メニューの新設備である。
時計は地下に潜った時の為、画像は写真を撮れるスキル、整理と分類は増えてきたスキルやアイテムを系統別に分類する為のスキルだ。
時間もそろそろ夕食時、ログアウトしようか。
「ウルル、伏せ」
「ウォン!」
スチャッと地面へ伏せたウルルへ跨りしがみつく。
「ウルル、図書館へゴー」
「ウォン! ハッハッ」
ウルルの大きさ、僕の軽さ、僕の騎乗スキル、を考慮すると、上体を起こすのは危険だと判断しての事。
ウルルがもう一度進化して大きくなるか、僕の騎乗スキルが上がれば、騎乗したまま戦えたりするのだろう。
其処を目指してしばらくはこんな感じで行こうと思う。
◇
図書館につき、ウルルを一頻り撫で回してからログアウトする。ウルルは送還せず、自由にさせておく。
「ウルル、また後でね」
「ウォン」
「クローズゲート」
意識がブツリと途切れた。
瞼を開く、夕食にはまだ早い時間だが、それで丁度いい。
そろそろ食材が切れるので買い出しに行かなければ。
近場の商店街に行った。
夕食前の混む時間なので沢山の人で賑わう其処は、子供の時からお世話になっている見慣れた場所だ。
肉屋のおじさん、八百屋のおばさん、魚屋の大将、パン屋のご夫婦。
皆優しい人なのだ。例えば——
『雪ちゃん今日も可愛いわねぇ〜、これ、おまけ』
『いや、ピーマンそんなに要らないし、ジャガイモください』
『好き嫌いしてたら大きくなれないわよ』
『だからって10個も要らないから、3個で良いから。それと、十年以上同じ事言ってるよ?』
『あっはっは!』
『あら、雪ちゃん、いらっしゃい』
『ここ数日見掛けなかったから心配したよ』
『ああ、アヤも僕もゲームやっててね』
『雪ちゃんがゲームをやり込む何て珍しいわねぇ』
『本当に、もしかして噂のVRゲームかい?』
『うん、結構楽しくてね、タク達ともやってる』
『あらあら〜』
『ふふ、雪ちゃんが楽しいならよっぽどだね、拓哉君達はちゃんと宿題終わらせられるかな?』
『タクなら夏休み前に終わらせたよ』
『あら、相当ね』
『……本気だね』
と、こんな感じで買い物を終わらせた。
帰ってきても妹が降りて来るだろう時間まではまだ少しあるので、夕食の準備をしつつ調べ物でもしておこうか。
タクメールから得た情報によると。現在の最前線のレベルは13程。
北の森の攻略は殆ど進んでおらず、南側は洞窟が発見されたが同じく攻略は殆ど進んでいない。
海はどうしようもないので、今のプレイヤー達の攻略先は西の森だ。
攻略を遅くしている理由は単純で、スキル屋がまだ発見されていないらしい。
殆どのプレイヤーがスキル結晶の存在を知らず、そしてインベントリがない。
更に付け足すと、狩った獲物は必ず解体スキルのドロップを使うのがベータテストの時からの常識だとか。
つまり、せっかく狩った獲物の殆どをドブに捨て、尚且つ革袋に入りきるうちに帰らなければいけない。
革袋がいっぱいになれば、それ以上の獲物を狩っても持ち帰れない。パンパンに詰まった革袋を持っては満足に戦えもしない。
攻略が遅れるのは致し方無し、と言ったところか。
◇
「おにぇちゃん? 待っててくれたんだ」
「うん、じゃあ食べようか」
アヤが降りて来たので夕食を食べる、久し振りに夕飯を囲み、スキンシップをとる。
これをしておかないとアヤは爆発するからね。
アヤと交流した後、細かい雑事をパパッとこなす。
長い髪を綺麗に保つのは大変なんだけど、何故か最近体の調子が良く髪質も良好、だからと言って手を抜く事は無いが。
何でだろう? ゲームで運動してるからかな?
とりあえず、ウルルが待っているのでログインする。




