第4話 闇ユキ
第六位階上位
彼女等の性格は、込められた魔力の波長に準拠している。
上手く込める魔力を変質させて誕生した彼女等は、僕の思惑通りに行ったと言えよう。
そんな彼女等の身分は、一応僕の妹と言う事になっている。
レベルが高いのは、使用した素材の質が高いからだろう。
「さて……これからよろしくね」
「うむ、よろしく頼む」
「は、はははい、お、おお願いしまふっ!」
「よろしく」
「はい、よろしくお願いしますね。お姉様。ふふ」
性格にばらつきこそあるが、根本的には僕の性質を継承している。
いざと言う時に判断を誤る事は無いだろう。
……些か性能不足の感は否めないが。
一律で与えたスキルの中で特に使える物は、インベントリ、鑑定、換装、回復魔法。
それ以外だと、手持ちのスキル結晶やクランショップのスキル屋、ダンジョンマスターのスキル屋から、最低限演技出来るだけのスキルを買って取得させた。
これで、ダモスの財宝は残り70%程である。
1人使える様にするのにおおよそ6%も使用した計算になる。
まぁ、理論上スキル取得は自力でも出来るので、これ以上は気合で如何にかして欲しい。
……良い物が見付かったら買うけどね。
◇
鍛錬島から元遺跡の街へ戻ると、其処には捜索に出した子達が勢揃いしていた。
どうやら時間を掛け過ぎたらしい。
此処を拠点にしているプレイヤー達が集まって野次馬を形成し、騒ぎ始めている。
まぁ、迷惑を掛けている訳でも無いので問題無いだろう。
派遣した高機動部隊の皆を労い、回収してきたスポナーを纏めてインベントリに仕舞う。
今回見付かったスポナーは、全部で6個。
・ラビットの生産核
・ワイルドドックの生産核
・ビックシザーの生産核
・ワイルドスパロウとスパロウの生産核
・バットの生産核
・ゴブリンの生産核
兎や犬は間違いなくあるだろうと思っていたが、他、特にゴブリンの物は、迷宮があったから生産核は無いと思っていた。
尚、スズメの生産核は完全に想定していなかった。
しかし、考えてみれば当然である。にゃん拠街の猫ちゃん達の餌はスズメだったに違いない。
多分街の中を探せばネズミの生産核もあるかも知れないね。
ダンジョンマスターのスキルで確認した所、どれもDPは限界値の100万程まで貯まっていたので、今すぐにでもダンジョンを作る事は可能だ。
つまり、育成場所兼食肉生産プラントを入手したと言う訳である。
本格的な稼働は、フブキに迷宮都市での迷宮運営の方法を視察して貰ってからになるが、それまでの間に雛形くらいは作成しておこう。
突如として迷宮が発生するとそれなりに騒ぎが起こる可能性がある。
しかし、其処はそれ、入り口をゴーレムに陣取らせれば入ろうとする輩もでないだろう……出ないよね?
と言う訳で、僕は迷宮へ。
スノーことセツナはティアの近くへ。
インヴェルノことフユキはルベリオン王国南方へ。
アワユキは王都近辺へ。
フブキは迷宮都市へと移動を開始した。
尚、彼女等には移動用の足として、大きな白い犬か普通の白い子犬に変身出来るらしい聖天狗を。
戦力の足しとしてうさーずと、同じく小型化出来る狐達を付けた。
内訳は、
セツナが、聖天狗、赤うさ、青うさ。
フユキが、聖天狗、白うさ、黒うさ、幻狐。
アワユキが、聖天狗、黄うさ、仙狐。
フブキが、聖天狗、緑うさ、火狐。
フユキだけ戦力が多いのは、単純に一番遠くまで行くからである。
「それじゃあ皆、頼んだよ」
それぞれの快い返事が聞こえ、僕等はその場を解散するのであった。
◇
フユキ、フブキの2人は、元霧の森を直進し、鉱山街の方へ向かった。
セツナ、アワユキの2人は王都へと歩みを進める。
そして僕は、死神の装備で森の暗がりへと潜り込み、高速移動した。
これで野次馬を完全に撒けただろう。
影の中は、まるで水の中の様だった。
死神装備の能力は、単純に影の中を移動する物では無く、闇の中を駆ける物である様で、闇の底はかなり深くまで続いている様である。
上を見上げると、正に水面へ光が射しているかの様に明るい場所があった。
視覚では暗闇と光しか見えないが、それと同時に魔覚では地上の様子が手に取るように分かる。
死神装備が持つ能力が『影移動』であったなら、光射す場所を移動する事も、其処から出現する事も出来なかったのだろう。
しかし、死神装備の能力は言うなれば『闇移動』。
光射さぬ闇の中を駆ける能力だ。
土の中、石の中、はたまた木の中や壁の中、そして人の中。
物質の領域を超え、精神や魂魄の領域へと至る能力。
それは所謂、魔覚の状態に近いと言えるだろう。
もっと分かり易く言うと、一種の『精霊化』である。
消費魔力量は、起こる現象に対してかなり少ない。
おそらくその理由は、僕が『闇属性』のスキルを持っているからなのだろう。
移動スピードはかなりの物。
死神装備で発生させる闇の中を駆けるよりは劣るが、それでも十分な機動力である。
僕は、元遺跡の街から十秒程で、目的地、王都北の草原のど真ん中へと辿り着いたのだった。




