第27話 スノーの屋敷
第六位階上位
作った施設を確認しよう。
先ずは屋敷。
屋敷は全3階層で屋根裏部屋付き。
入り口は吹き抜けの大きな階段があり、回収したシャンデリアや甲冑を飾ってある。
精緻な細工が施された階段は優美で、魔力によって光るシャンデリアは絢爛。
吹き抜けの広間という形から、ついつい視線が上に向きがちだが、その実階段下に隠し扉があり、地下に続いている。
更に付け足すと、並んでいる2つの甲冑はゴーレムであり、細やかな防衛戦力となっている。
アーマーゴーレム LV30 状態:監視
本当に細やかだが、まぁ、一般的なレベルが10以下、少し強い者で15、強い者で25程、かなり強い者で40と言われる水準だ。
30が2体でも十分な戦力となってくれるだろう。
ロの字に多少線を付け足した形の屋敷には、客間、応接間、貴賓室、侍従用の部屋、階級毎に3つに分けた厨房、幾つかの食堂、大浴場と個人用の浴場、遊戯室、訓練場、などなど大量の部屋がある。
地下室も複数あり、食品保存用の地下室や倉庫、特に使う予定の無い牢屋、それから合成獣研究施設に繋がる道なんかが用意されている。
全ての部屋と廊下に明かりの魔道具が用意され、厨房や風呂には火と水の魔道具が設置されている。
それらの魔力を供給する物が、合成獣研究施設、ひいてはその下にある地脈である。
最後に、警戒の意味を兼ねて屋敷内にゴーレムを徘徊させる事にした。
ただし、子供が怖がるといけないので、ファンシーなアニマル。動物のぬいぐるみのゴーレムである。
ファンシーラビット・ゴーレム LV20
ファンシーベアー・ゴーレム LV20
ファンシーキャット・ゴーレム LV20
服などの資材を使用して作った動物達、総勢100体が朝から晩まで屋敷内を彷徨く。
迷っている子供がいれば道案内をし、泣いている子供がいれば抱き着きに行き、曲者が忍び込めば隠し持った暗器で処理する。
見た目にも可愛らしい護衛達である。
そしてゴーレムなどの総指揮官が、彼女だ。
夢現操り人形 LV320
どういう原理で決まってるのか分からないが、レベルが上がっている。
それはともかく、彼女には屋敷内、もとい敷地内の防衛を担って貰える様に頼んだ。
これで敷地内は、ある程度の安全を確保出来た訳だ。
……名前を付けておこう。
「……君の名前はラプレーヌだ。屋敷は任せたよ」
ラプはコクリと頷くと、先の僕と同じ様に優雅なカーテシーをしてみせた。
その隣でいつの間にかふんぞり返っている王様ウサギにも名前をつけよう。
「……君はキットだ。此れからもよろしくね」
ふんぞり返っていたキットは、更に反り返って転がった。
……さて……。
「カカー」
「うん、君はシュフォールだよ、よろしくね」
「カカカー!」
喜んでいるようで何より。
続いて屋外の確認。
屋敷の中庭は小さな森の様になっている。
適度な数の木と、小さな池、岩、ベンチ。
僕が使う事は無いだろうが、まぁ、見てくれだけは良い感じに整えておいた。
屋敷以外の設備は、農場と牧場、ちょっとした公園、訓練場、露天風呂なんかを作ってみた。
農場と牧場は、今の所土の調整も出来ていないし、家畜も無い。
新しく生産核を見付けた時に、改めて整備しよう。
その他の部分は、ほぼ空き地だ。
必要な施設は随時追加していこう。
◇
レリアに地図を見せ、屋敷の説明をした。
「えーと……れいぞーしつ? に食料があって、倉庫に掃除道具が……倉庫ってどこっすか?」
「倉庫は冷蔵室の隣だけど……掃除道具は廊下の突き当たりと階段の下だよ」
なんで食料の事だけは覚えているんだか。
やや心配ではあるが、これでもレリアは従士爵を持つ侍女のエリート。
今まで獣亜人の子供、総勢50人を1人で纏め上げていた手腕は見事な物であるし、それはこれからも変わらないだろう。
たった51人で管理出来る様な規模の屋敷では無いが、それはまぁ、人数が増えるまでは頑張ってやり繰りして貰いたい。
「それじゃあ侍女長、屋敷は任せたよ」
「はえ? ……あー、自分、侍女長っすよね……」
レリア以外の適任は今の所いないからね。
……いやまぁ、吸血鬼達がいるけどね、王都の担当はレリア達に任せるよ。
「侍女長の給金は月金貨3枚、他の子は1枚ね」
「マジっすか……毎日三食三品以上で、一人一人に個室もあって、その上服の支給もありで、更に毎日お風呂にも入れて休日もある……それで金貨は……かなり貰い過ぎっすよ」
困った様な顔で呟くレリア。
確かに、そう言われるとそうかもしれない。
何せ、一食二品。黒パンと野菜のスープで銅貨3枚程。
其処に一品加えれば銅貨4枚くらい。
宿は、シーツ1枚の藁のベット薄い掛け布団、椅子、机、小物入れ、これで素泊まり一泊銅貨3枚。
つまり、1日二食で一泊すれば、おおよそ銀貨1枚になる。
体を拭くためのお湯や、夜の読み書きに必要なランプは別料金で、場合によってはチップを弾む必要すらあるのだ。
1日三食三品以上だと、それだけで銀貨1枚と大銅貨1枚。
それに加え、ベットには厚手の掛け布団が用意され、本棚や箪笥、高価な鏡に机と椅子があれば、追加で銅貨3枚と大銅貨1枚は下らない。
その上照明は使い放題、全身で浸かれるお風呂に石鹸の類まであれば、締めて、1日銀貨3枚以上である。
これで30日も泊まれば、大金貨1枚にも迫る。
「その分レリアには期待しているよ」
「う……善処するっす」
さて、屋敷の説明も終えたし、夕食までは後少し時間がある。
次は……んん?
「……うわぁ…………」
ふと、視線を感じて顔を上げると——
——宙に浮かぶ目玉と目があってしまった。




