第20話 赤、来たる
第六位階上位
「ねーちゃん」
「ん? 何?」
「へへ……えへへ」
リオンは恥ずかしげに、しかし嬉しそうに、はにかんだ。
僕に懐いて甘えて来るリオン。好感度稼ぎの為にその頭を撫でてみる。
「よしよーし」
「……えへへ、ねーちゃーん」
うむ、籠絡成功。
……こうなった原因は何と無く分かる。
魂の直接接触。
それによる魂の交信。
精霊が魔力の性質で人を正確に判断する様に、魂の接触は生物の本質を見せる。
つまり、リオンは僕の事が大好きなのだ。
つい先程までは、負けた事に呆然とし、その後悔しいと言いながら散々に泣いていたものだ。
しかし、僕が行動する前に唐突に泣き止むと、潤んだ瞳で僕を見上げ、『……ねーちゃんって呼んでも良いですか……?』と聞いて来たのである。
さて、リオンを撫でつつ、先の事象を軽く考察しようか。
先ず、魂の中で聞こえた僕の声について。
何故かやたらと楽しそうだったが、あれは簡単な話、魂は嘘も演技も出来ない様である。
ついつい好奇心から来るワクワクがダダ漏れになっていたらしい。
やってみた感覚と、その後の経過から鑑みて、強く揺らすと意識がブツリと途切れるだろう。と言う事は分かった。
また、メロットと融合した時の感覚から考えると、魂には最も重要な核となる部分がある事が予想出来る。
魂の核となる部分以外は、ある程度雑に扱っても問題無いのだろう。
まぁ、苦しかったり気持ち悪かったり、その逆に気持ち良かったりする様であるが、それを喪失したからと言って死ぬ訳では無い筈だ。
魂の解析は余裕がある時に都度進めて行こう。
増えた予定は、精霊刻印兵器の試作をする事と、その試運転。種精霊の効率的な使い方を考える事。
上手く行けばエネルギー問題を解決出来るかもしれない。
取り敢えず、リオンをテイムしてしまおうか。
「リオン、これから君は僕の配下だ。宜しくね」
「うん! ねーちゃんの手下になる! えへへ」
勿論、テイムは何の問題も無く成功した。
《【大陸クエスト】『封印されし悪魔』をクリアしました》
【大陸クエスト】
『封印されし悪魔』
参加条件
・ボス『リオン・ルヘーテ サブナク』と戦う
達成条件
・ボス『リオン・ルヘーテ サブナク』を討伐ないし無力化する
失敗条件
・ボス『リオン・ルヘーテ サブナク』を取り逃がす
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント6P
・ロジックポイント12P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
貢献度100%
・武器『獅子の鉤爪』
・武器『獅子の心臓』
・防具『白獅子の鬣』
・スキル結晶『土属性魔法』×10
・スキル結晶『建築』×5
・スキル結晶『武器召喚』×3
・スキル結晶『心器召喚』
・スキル結晶『呪傷』×3
・理論結晶『魔導理論結晶・武装都市核』
・外装『魔導外装・白獅子の呪爪』
・外装『魔導外装・白獅子の虚栄』
エクストラ評価報酬
魂魄操作
??の体現者
・スキルポイント30P
・スキル『?の欠片』
《レベルが上がりました》
新しいアイテムとスキルを入手した。
ハテナマークで隠されている物は、どうせ分かるまで分からないのだから後回しにするとして、他の道具を確認しよう。
先ずは獅子の鉤爪。
これは、単純にクローだ。
斬撃を飛ばす事が出来るらしい。
続いて、獅子の心臓。
こっちは、ビー玉くらいの大きさの赤い球体。
獅子系の魔物を使役する事が出来る他、獅子系の魔物を強化する事が出来るらしい。
白獅子の鬣は、白色の鬣。
ただの鬣では無く、獅子の獣人に変身出来る能力があるらしい。
理論結晶は、武装都市核と言う名前だが、能力は名前の通り、武装都市を建造して操る能力。
ちょっとした規模の街を作り、様々な武器を取り付け、更にそれを操る事が出来ると言う破格の能力だ。
その分、魂魄限界の使用量が多く、発動にかかる魔力も多い。
やはり、作るのと壊すのでは難易度も必要エネルギー量も違う物だ。
二つの外装は、呪爪が、癒え難い傷を与える大きなクロー。
虚栄は、獅子の頭部を模したマスクで、鬣部分が魔力を収束する装置となっている。
収束された魔力は、口元から光線として射出される様である。
最後にスキーー
「ーーん?」
ふと、何か揺れの様な、そうでない様な不思議な感覚を覚え、視線をあげた。
僕の視線の先には、無数の魔物に囲まれ、ぽっかりと開いた空間がある。
ある意味台風の目とも言えるその空間には、ベットを回収したので、大きなクレーターがあるだけ。
「む?」
揺れに続く様に聞こえたのは、やや高く、澄んだ音。
ウルルやメロットの耳がピクリと揺れ、辺りをキョロキョロと注意深く伺い始めた。
ーー何かが起きている。
そう思った次の瞬間ーー
ーー空間が歪んだ。
歪みは一瞬の内に収まり、そして目があった。
何もなかった中心に、いつの間にか誰かが立っている。
「ーー転移か」
ポツリと呟いたのも束の間の事。
瞬きの刹那に相手の情報を読み取る。
レーベ・ルヘーテ アロケン LV?
姿は筋骨隆々の赤獅子獣人。
レベル不明、推定700以上。
魔力量、計測不能。推定星珠級。
つまりーー
ーー超強敵。
「グルァァアアアッッ!!!」
赤き獅子の、怒りに満ちた咆哮が、乾いた荒野に響き渡った。




