第26話 vs.不浄の凶魔 二 竜は舞い踊る
第六位階中位
轟音。
咆哮はもうしていない。
鳴り響くのは破壊の残響だ。
『グルアァァァ!!』
「んっ!」
吠え声を上げながら迫る三体の骨竜。
それへ僕は巨大な尾を振り下ろし、正面の一体を破壊した。
勢いそのままに剛爪を振り下ろし、二体を破壊する。
——この水竜に翼は無い。
あるのは巨大な棘尾と鋭い爪の付いた四肢。
首は長く、頭部には鋭利な刃となる鼻先の角と牙がある。
水を操る事で高速移動を実現し、しなる胴体を使って爪や尾を叩き込む。
——水中特化の竜。
それがこの姿なのだ。
激流を生み出し水中を駆ける。
降り注ぐ魔法の嵐は、強固な蒼の鱗によって弾かれている。
「ふっ!」
すれ違い様にリッチやマミーを切り捨てた。
向かう先にいるのは、グランド級の砂巨人。
「んんっ!」
水に呑まれて動きの鈍いそれへ、
勢いをつけた宙返りを、
叩き込むっ!
——ゴボォォンッ!!
轟く爆音。
全力を込めた一撃は容易く砂の巨人を破壊し、水泡を含む激流が周辺のやや弱い魔物達を巻き上げた。
ついでなので爪を振るって斬り殺しておく。
《レベルが上がりました》
これだけの災禍を撒き散らしているが、女王は微動だにしていない。
今は、シャボン玉の様な気泡の中で此方の戦いを見物している。
だが、それは僕としても好都合。
大物が動かない内に取り巻きを殲滅してしまおう。
◇
《レベルが上がりました》
ワイズマンリッチ・ロード LV500
エルダードラゴンボーン LV500
不浄塊巨人 LV500
最後の一匹を斬り殺した瞬間、女王が腕を掲げ膨大な量の魔力を放った。
現れたのは三体の魔物。
レベルは一律で500。
対して『水竜化』の持続時間は残り数分。
「むぅ……」
骨竜の顎門にシャレにならない量の魔力が込められた。
それは自らの生存を省みない諸刃の刃だ。
此方も同じく切り札を切るしか無いだろう。
水竜の口腔に水竜が持つ全ての魔力を込める。
——竜の吐息。
それが放たれたのは、ほぼ同時だった。
——閃光。
僕と骨竜を隔てる大海の防壁は、まるで無意味と言わんばかりに一瞬で蒸発され、迫り来る紅蓮が蒼の輝きと衝突する。
拮抗は一瞬。
火属性魔力の光線と水属性魔力の光線は、その一瞬で周辺の水を吹き飛ばし、蒸発させて干上がらせてしまった。
地形を変える程の力のぶつかり合いは——
——蒼が閃き終焉を迎えた。
……まぁ、水中だったから、最初から僕の方が有利だったし、結果は分かりきっていたんだけどね。
閃く蒼は、瞬く間に骨竜を貫き——
その後ろに立つ不浄塊巨人の巨大な腕を通過し——
世界の境界へ衝突した。
——爆発。
蒼に貫かれた骨竜は、蒼の爆発に飲み込まれ消滅。
巨人の腕が消し飛び、彼方の境界で膨大な光と音の嵐が吹き荒れた。
《レベルが上がりました》
これで『王級魔導鎧・海王』の試運転は終了。
次からは生身の肉弾戦である。
◇
使う能力は、『結晶大王蟹の御霊』と『死神の御霊』の2つ。
それに加え、『死神の霊装』の死神降臨を使って死神化する。
まぁ、死神化と言っても骨になる訳では無い。
単純に死神の使う能力が使える様になると言う事だ。
御霊と霊装の効果はほぼ同じだが、2つを同時に発動すると、より死神に近くなる。
例えば、黒い靄を広範囲に発生させたり、その中を自在に行き来出来る様になったりする。
と言う訳で、
「『死を呼ぶ黒霧』」
第2ラウンド、行ってみようか。




