第24話 鵺の集会場
第六位階中位
『王級魔導鎧・海王』は、主に竜をモチーフにし、ダモスの財宝から魔法で強化された金や銀で装飾した若干露出の多いデザインとなっている。
……精霊金属は作るのに必要な魔力が多いからね……。
装着されている武装は、腕部装甲に『竜の鉤爪』と称して伸縮する水属性魔法の爪が出現する機構を付けてある。
大海の宝珠に備えられた補助機能だと、『竜の鉤爪』と唱えるだけで左右8本の爪が出る様になっているが、独自にその部分の魔法を行使すれば1本でも2本でも自在に出す事が出来る。
腰部分には同じく水属性魔力で出来た武器『雷の鞭』がある。
数は最大10本で、補助機能を使って発動すると自動で外敵を迎撃する触手が生えてくる。
名前には雷とあるが、実際に雷だけで魔法を作るには大きな魔法術式を描く必要があり、非常に無駄が多い。
しかし、水を媒介して電気を流すだけなら比較的小さな魔法術式で済ませる事が出来る。
名前詐欺ではない。
背甲部分から腰、足に掛けては、水中での機動力を大幅に向上させる機能が付いている。
また、脚部装甲には『空歩』と言う名の結界を作る魔法が施されており、空中水中問わず足場を作る事が出来る。
最後に頭部には、額当ての様な物とチョーカーの様な物、ポニーテールを作る髪留めがある。
それらはそれぞれ別の浮遊装備を司っている。
額当ては、頭の横から後ろへ角が伸びている様なデザインで、表にはダモスの財宝から出てきたルビーを瞳代わりにした龍を掘り、裏には雪の結晶の絵を掘った。
特に誰かに見せる訳ではない、ただ、十連ガチャのあれを見て真似をしただけである。
能力は、二種類のキューブを操るちょっと高度な装備だ。
操る二種類のキューブとは『銃形正六面体』と『四角い大海』。
『銃形正六面体』の種類は、
通常の『銃撃正六面体』。
一撃が重くリロードに時間が掛かる『狙撃正六面体』。
逆に一撃は軽いがリロードが早い『多連撃正六面体』。
狙撃型に近いが爆発する『砲撃正六面体』。
『四角い大海』は、名前の通り、四角形の水を作成するキューブである。
キューブの大きさは手の平サイズだが、展開される四角形の水は魔力量次第で自在に変化させられる。
数は8つあり、キューブ内にはマナシールブレスよりも多めの魔力保持容量を持つ小型の貯蓄結晶が仕込まれている。
これら二種類のキューブは、補助機能である程度の自動化をしてある。
とは言え自分で操作した方が良いのは間違いない。
チョーカーは、真銀とサファイアで作られており、その能力は三種の魔物、らしき物を生成すると言う物。
そもそも、魔法で魔物を再現するのはそこまで難しい事ではない。
難しいのは、自意識を持つ者を作る事だ。
その点、ライフ系の魔法を使う事が出来れば、案外簡単に魔物生成の魔法を使う事が出来る。
産み出される魔物は『マギクラフト・サンダージェリーフィッシュ・亜種』『マギクラフト・軍隊魚・亜種』『マギクラフト・サハギン・亜種』。
それぞれの能力は、
ジェリーフィッシュが発電機能を持ったクラゲで、数が増えるとより強い電気を生み出す魔物。
軍隊魚が、数が増えると共鳴して合体する魔物。
サハギンが、魚と人を混ぜた様なデザインの魔物。
各々の強さは然程でもないので、主に雑魚を殲滅する為の武装だ。
髪留めは、髪が長い人専用である。
能力は6つの壁、『水の防壁』を操る物。
補助機能だと自動防御でしかないが、自ら操作すると敵の動きを阻害したり出来る。
これら全武装に加えて、もう一つの機能を完全にコントロール出来れば、おそらく今の僕と対等に渡り合える事だろう。
そんなこんなで、試運転がてらやって来たのは鵺の集会場と目される迷宮の入り口。
何やら墓石の様な碑の様な物体が、街の中にある小さな森の木の洞に隠されていた。
早速触れてみる。
《【運命クエスト】『凶魔四皇』が発令されました》
【運命クエスト】
『凶魔四皇』
参加条件
・『鵺の集会場』に入る
達成条件
・『鵺の集会場』を踏破する
失敗条件
・無し
達成報酬
・スキルポイント10P
光が薄れ視界が開けると、そこは——
——夜の学校だった。
◇
軽く散策してみた所、この空間には学校しか存在せず、学校はかなりの敷地面積を誇る施設である事が分かった。
出て来る魔物は、36種の餓鬼の名前を与えられた鬼達。
体中に刀が刺さっている者や木と同化している者、体に燃え盛る炎を纏っている者など、多種多様の餓鬼が現れた。
レベル帯は、一番下は鑊身と言う名の、目と口が無く図体の大きさの割に手足が細い、皮膚が焼け爛れている化け物と、針口と言う名の、首が細く腹が膨れている化け物が、およそ3〜10レベル。
上は、羅刹と言う名の邪気を纏う鬼で、概ね50レベル。
夜闇の中から襲い来るそれらを屠り回った所、見付けた物が4つ。
先ず、僕が最初に転送された学校正面の校門から少し進んだ所にある広い校庭のど真ん中。
そこには黄色、と言うか砂色の小さな六角プレートがあり、そのプレートには蛇の絵が描かれていた。
続いて校舎裏にある少し広い空間。
そこには灰色の六角プレートがあり、描かれている物は甲虫。
続いて体育館中央。
あった六角プレートは、狐が描かれた灰色のプレート。
最後に校舎の屋上。
猫が描かれた灰色の六角プレートを発見した。
ざっと見た感じ、黄色のプレートに触れると何処かへ転送され、その先で何かを倒すと別のプレートが解放される仕様らしい。
早速プレートの側に行き、魔導鎧を装着する。
魔導鎧は感覚的に言って装備と言うよりも搭乗と表現した方が正しいだろう。
搭乗する際は幾らかの装飾品こそ付けたままだが、主要な装備は外してインナーの状態で乗り込む。
鎧に乗ると、後は全自動で武装が装着させるので、時間にして僅か数秒を待つ。
「ふむ、動作に違和感は無いね」
搭乗後、軽く両手を握ってみたり跳躍したりと確認を終えた。
今の僕の外見は、お腹や腕、頭部が露出しているので、一見すると防御範囲は狭く見えるだろう。
しかし、その実皮膚から数センチ上に強力な結界が張られているので特にお腹を壊す心配は無さそうである。
「さて……行くか」
魔術機構の確認の為に軽くキューブを操ったり、爪や鞭の確認など、全ての動作確認を終えた。
そろそろ試運転がてらの戦いに赴こうか。
黄色のプレートに触れると、僕は光に包まれた。




