第23話 魔導鎧と核
第六位階中位
ここまで、魔力の足りない分は貨幣魔力を使って研究した。
他にも、ほぼ人型と変わらない種族達に服を用意したりと散財が続く。
それでも研究は終わらないのである。
◇
次は、時間経過による進化の研究。
先ず、三角形になる様に距離を置いて作った3つの台座に『調和の宝石』『融和の宝石』『親和の宝石』を設置する。
その三角の中心に祭壇を作り、『竜王核』を設置する。
三角形の中にゴブリンを500匹くらい入れ、結界で閉じる。
これで後は放置するだけである。
その他に、修練用の木製武器や幾らかの自動復活案山子ゴーレムを設置して、ゴブリン達に武術訓練をする様に命じておいた。
訓練をして精神力を鍛えれば、僕の負担を軽減して進化させる事が出来る他に、何かしらの独自進化を遂げてくれる可能性もある。
一万匹以上いるので、多いに期待出来る。
尚、知性の高いゴブリンの上位種や鬼達、巨人や妖精の為に、ボードゲームや極簡単な戦術指南の書《僕監修》、魔法の書などの戦闘系や、ちょっとした規模の畑や釣り場を置いておいた。
特に鬼達は知性が高く、何故か僕に犬の様について回っては持ち上げる様な発言をしていたので、僕が迷宮から出て行こうとすると寂しげであった。
取り敢えず、皆仲良くする事。しっかりと鍛える事。疲れたら休む事を伝え、その場を後にした。
今回設置した物の総額は、防音結界の壁も込みでおよそ2万DP。
手持ちの土で聖痕ゴーレムを作り、それを売却して稼いだ。
それから、消費したマナ貨幣が10万マナ分。
かなりの出費の様なそうで無い様な。
……まぁ、楽しかったので良しとする。
尚、一番高く付いたのは釣り場である。
魚の無限生成やら砂利や藻の設置やらに、進化の実験も兼ねる為に大人数で泳げる場所を設置するのも忘れず。締めて1万DPであった。
◇
さて、煩い二層からでて一層で研究の続きだ。
次にやるのは、端的に言って魔道具の研究である。
もっと言うと、ゴーレムと魔道具を調べるのが今回の目的だ。
良い例だと、先程僕が作った巨大な船。
あれは、偽装核26個を動力源兼処理装置にして、様々な追加装備を付けた巨大な魔道具である。
あれを完全なゴーレムにする場合、その魂を作成するのに必要な魔力量は桁違いに高くなるだろう。
三巨像さん達を作成した人は、それを軽減する為に稼動可能時間と言う制限を設けていたのである。
要するに、ゴーレムと言うのは完全な生命体の事を言うのだ。
その点三巨像さんは不完全な生命体と言う事になる。
今回の研究で生命創造の本質を理解したので、魔力が十全になったら新しく作り直してあげよう。
そんなこんなで、数分で作ったのがこれだ。
兵級魔導鎧・MMA–1 品質A レア度6 耐久力A
備考:魔鋼製の魔導鎧。様々な機能が搭載されている。
魔導核 品質A レア度6 耐久力A
備考:魔導鎧の核。様々な機能が搭載されている。
魔導鎧と言う名前は勝手に付いた。
それがどう言う事かと言うと……絵を描く時に、早く走る為に4本の足を付け、バランスを取る為に尾をつけ、鼻を良くする為に鼻腔を広くとって、音を聞き取り易くする為に耳を鋭く且つ丸くする、そして防御力や保温性を高める為に毛を付けると……犬になる。
意図せずとも同じ物になってしまえば同じ物なのだ。
……この鎧には中心に偽装核を加工して様々な魔法とそれを実行補助するシステムを刻んだ魔導核を付けてある。
鎧内部には、必要な部分に魔力が行き渡り易い様にミスリルの線を作り、各部位には精霊刻印や魔法陣を刻んでいる。
その能力は、搭乗者の身体能力を強化する他、知覚能力の強化と少し強めの結界、それから再生力の補助と周辺からの魔力吸収である。
それらを基本に、武器には別の魔法を込め、魔導核と接続して魔法を行使出来る様にした。
魔法処理の全てを魔導核が代用してくれているので、これを装備するだけで一般人でも簡単に魔物を狩る事が出来る。
残念ながら空を飛ぶ事は出来ないし、現時点では魔鋼以上の金属で作ると、その膨大な魔力保持容量を満たす為に無駄な魔力消費がどっと増えてしまうので現実的ではなくなってしまう。
空を飛ぶには、魔導核を複数使用するか、より上位の核を作るしか無い。
防御力を更にあげるには、ミスリルよりも魔力伝導効率が良い金属を見付けるか、十二分な魔力を供給出来る核を作るかだ。
つまるところ、より高位の核となる物を発見する必要がある。
そしてそれには当てがある。
結晶大王蟹と古の不死賢王と死神の魔石、魔核と神結晶だ。
それ以外だと、迷宮核も当てはまる。
迷宮核の場合は、マナ貨幣を使えば自分でカスタマイズ出来るので便利だが、試練の魔物の核程まで鍛えるにはかなりの出費が必要だろう。
だがまぁ、まっさらな状態でも偽装核より上等な代物である。
似たアイテムを感覚的に比較すると、
天遊核が偽装核3個分。
最初期の迷宮核が偽装核5個分。
試練の魔物の核が数百個分くらい。
……夢の星珠が同じく数百個分くらい。
夢の星珠は強固な意識がある上、どうやらかなりの魔力保持容量を誇っている様だ。
場合によっては試練の魔物の核よりも強力な核かもしれない。
と言うか、宝珠系のアイテムは強力な魔導鎧や魔道具の核となれる道具の総称ではないだろうか?
今僕が持ってる宝珠は、『氷極の宝珠』と『大海の宝珠』、そして『夢の星珠』の3つ。
……今度何か作ってみよう。
◇
王級魔導鎧・海王 品質A レア度7 耐久力AA
備考:水精金属で出来た魔導鎧。様々な機能が搭載されている。
「ふぅ……はっ!?」
……気付いたら目の前に水精金属製の鎧が鎮座していた。
寝ている間に小人さんが作ってくれたのだろう。不思議な事もある物である。
今の僕の実力だと、これだけの量の精霊金属を作るのには総合魔力量の500%くらいは必要だ。
その上、各パーツには強力な金属故に強力な魔法陣や魔法文字、精霊刻印が刻まれている。
また、大海の宝珠には、水系統の魔法、魔術、精霊を大幅に強化する能力が付与されており、余白には僕が編んだ数々の強化魔法機構が刻まれている。
ただし、大海の宝珠は思っていた以上に処理能力が高く、人型程度の精霊金属に十分な魔力を供給し、びっしりと魔法を刻み込んでもまだ余裕がありそうだ。
より上位の金属、大精霊金属を入手するか、より複雑な術式を刻む事が出来れば、大海の宝珠の力を十全に発揮する事が出来る筈。
「はぁ……」
経験、実力、素材。
……余りにも足りない物が多過ぎる。
……未知の道が多過ぎる……!
「ふ、ふふふ……♪」
今の僕は未知の研究と新たな未知の発見で頭のネジが吹き飛んでしまっていたのである。




