第13話 迷宮と言う名の……
第六位階中位
スーパーレアガチャでは、当たりしか出なかった様だが、その理由も何と無く想像がつく。
スキル『幸運』『豪運』『激運』。それから各種幸運系アイテムの影響だろう。
僕が思うに運が関与する部分は今回のガチャと、魔物を解体した時のドロップ品の量や質であろう。
どちらも、より上位の者が管理しているシステムの筈だ。
これに介入して、確率を上昇させるのが『幸運』系のスキル等の力なのだろう。
つまり、実際の運にはなんら関与しないと言う事だ。
改めて、迷宮の製作を開始する。
先ず最初に取り掛かるのは、レッサーアースワームの迷宮から。
レッサーアースワームの迷宮核があるのは、北の平原。
これを、支配領域の特権を使って魔力で西の農場手前へ移動させる。
迷宮拡張のプリセットにあった『四角部屋《大》』を使って、地下に少し大きめの部屋を作成した。
その後、床や壁、天井を鋼に変えて、迷宮核は『鉄の祭壇《中》』に大事に飾る。
出入り口は、地上に小さな社を建て、それを厚い金属の門で封鎖して、これで完成である。
ダンジョンの機能を遊ばせておくのは勿体無いので、ナメクジのダンジョンも同じ様に作成した後、農場に多数存在する食料生産プラントに接続。
クランショップの方でプラントを改修し、迷宮核をエネルギー源にしてプラントを稼働させる。
これで、2つの迷宮核の処理を終えた。
さて、次はスライムの迷宮核である。
此方は、2つを統合して1つにした。
作る場所は、農場と遺跡の間。
10万DPで西の森を全て支配下に置き、農場と遺跡を直通する石畳みの道を作成した。
その後、農場付近の森の地下に広い空間を作成し、石畳みの道の左右に立派な出入り口を作る。
地下空間には、スライム達がギリギリ通れる様な平たい道を作り、虫の迷宮と接続させた。
ダンジョンマスターとして、スライム達に定期的に群れで虫を狩る様に命令を出しておく。
大量にDPが余ったので、自動で生産される魔物を増やす事にしよう。
現在のDP残量は184万程。
新たに追加する魔物は、『プチスライム』4万DP、『レッサースライム』8万DP、『レッサービックスライム』30万DP、『ビックスライム』40万DP、『レッサーヒュージスライム』60万DP。
締めて142万DP。
取り敢えず此方はこれで完成とする。
最後に、兎の迷宮。
場所は農園手前、虫の迷宮がある近くに製作する。
チケットを使用して地下に広い草原を設置、其処に、『プチラビット』『レッサーラビット』『ラビット』『レッサーワイルドラビット』『ワイルドラビット』などの兎系魔物とその幼体を自動生成する様にする。
これで兎肉には困らないだろう。
これにて、迷宮核の処理を完了である。
迷宮製作の最中にクエストクリアのメッセージが流れて来ていた。
【迷宮主クエスト】と言う形で、『迷宮主になろう』『迷宮を拡張してみよう』『ガチャを引いてみよう』『魔物を生成してみよう』『異界迷宮を作ろう』など、複数のクエストをクリアした。
報酬は、基本的にDP引換券や魂魄限界値引換券、拡張プリセットの引換券や木の宝箱引換券などのチケット系。
内訳は、
・DP引換券:12,500P分
・魂魄限界値引換券:540P分
・四角部屋《小》引換券×5
・四角部屋《中》引換券
・通路《小》引換券×10
・通路《中》引換券×5
・門《中》引換券
・木の宝箱引換券
・罠:落とし穴引換券
これらのアイテムは、プレイヤーや兵士を育成する施設を作る際に使おうか。
◇
程なくして農場に到着した。
既に食料生産プラントは修理してあるので、後はドリアードに会うだけだ。
広い農場は、強化されたファーマーゴーレムやクリーナーゴーレムの手によって綺麗に整備されていた。
邪魔な雑草や木々を取り除かれた畑は、どう言う訳か既に野菜や香草、果物が育てられ、時期に問わず全てが立派な実を実らせていた。
「これは……精霊の息吹が行き渡っている……」
「此処は良いところなの……ふぁ……」
「大精霊がいるのかしら? 低級精霊が活性化しているわ」
やはりうちのドリアードがやっている事らしい。
地図の情報を頼りに、ドリアードがいる方へ向かう。
空は既に太陽が沈み始め、オレンジの陽光が大地を照らしている。
ドリアードがいたのは西の農園の更に西、耕された広大な土地であった。
そこにいたのは、葉っぱの様な緑の服を着て綺麗な緑色の髪を腰まで伸ばした女性。
その女性は、何もない土地を前に祈る様に手を重ね、次の瞬間——
「ふむ」
「これは……」
「綺麗なの」
「これが精霊の力ね……素晴らしいわ」
——黄金の海が広がった。
葉の女性は最初から此方に気付いていたらしく、声を掛ける前に此方へ振り向く。
瞳の色は髪より明るい緑色。
穏やかな微笑を湛え小麦畑の前に佇むその様は、人間離れした美貌もあって何処か神秘的な雰囲気を纏っている様に見える。
女性はゆっくりと口を開き——
「随分と来るのが遅いですね、アホマスター」
——言い放った。
「ん、ちょっと色々あってね」
「そんな言い訳は聞きたくありません」
いや、本当に、死神とか魔王とか天使とか合成獣とか色々。
だから会いに行くのが遅れたのだけれど……。
「……どうしたら許してくれるかな?」
「許して欲しいという気があるのなら何をすべきか分かる筈です」
要するに、怒られている理由が何なのかと言う事だ。
そして、ドリアードはそれくらい分かるでしょ。と言いたげの発言。
尚、顔色は未だ最初の微笑のままである。
何をすべきなのか、それは単純な話で、早く会いたいのに会えなかったから怒っているのならば、しっかりと甘えさせてあげれば良いのだ。
悪いのは全て、万人を誑かす僕の美貌である。
「よしよーし」
「……何のつもりでしょうか?」
「む?」
「そんな事で私が許すとでも?」
……。
「よしよーし」
「……呆れたマスターですね、仕方ありません……許してあげます」
「それじゃあまた」
「——え?」
ドリアードは僕が撫でるのを止めると、微笑を崩して酷く驚いた様子を見せた。
道中ワーカー達への細かい指示を済ませてあるので、ドリアードにも許して貰えたし、此処でやる事はもう無いね。
「……」
「……」




