第26話 闇満ちる大地 八 死克者
第?位階
『斯様に魔導を行使しては心が磨り減るのも条理と言えよう』
「……どう言う事?」
『知らぬも道理——』
死神さんの言葉を聞くに、どうやら魔法を行使すると魔力が減る他に、『心』。つまり精神を消耗するらしい。
僕の場合、精神が『体』。肉体の格に見合わない程の物であり、今までは全く問題なく活動出来ていたと。
しかし、今回は『金の神』から山程魔力を補給され、それを湯水の様に使用していた為、計測した値の僕の精神力では今辺りが限界らしい。
胸を掴んだのはその為か。
今の所は特に異常は感じないが、今の状態が解除されると一気に押し寄せてくるらしい。
「……成る程」
『さて、では盟約を果たそうか』
試練の突破は、やはり斃すしか無い様だ。
……。
「……配下、ならない?」
『心配無用、我は分霊なれば、この身滅びようとも何の痛痒さも感じぬ』
「……なぬ」
それはつまり、僕は死神の掌の上で遊ばれていたと言う事か。
「……そう、じゃあ死ね『聖なる光』」
『カカッ、嫌われた物よな』
僕が放った金の光は、無抵抗の死神を包み込み、そして——
《《【世界クエスト】『現界の第7試練:死克者の試練』がクリアされました》》
《【世界クエスト】『現界の第7試練:死克者の試練』をクリアしました》
【世界クエスト】
『現界の第7試練:死克者の試練』
参加条件
・ボス『グリム・リーパー』の討伐
達成条件
・ボス『グリム・リーパー』の討伐
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント15P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
・武器『死神の魂狩り鎌』
・武器『死神の影』
・防具『死神の霊装』
・防具『死神の鎮魂歌』
・防具『死神の魂』
・スキル『死神の御霊』
・スキル結晶『死神召喚』
・スキル結晶『即死の魔眼』
・スキル結晶『闇属性』×3
・スキル結晶『操影魔法』×5
・スキル結晶『闇属性魔法』×10
・スキル結晶『暗視』×10
・スキル結晶『気配察知』×10
・スキル結晶『魔力感知』×5
・スキル結晶『闇耐性』×10
・スキル結晶『恐怖耐性』×10
・スキル結晶『即死耐性』×5
・スキル結晶『精神耐性』×5
・スキル結晶『魔法耐性』×5
エクストラ評価報酬
魂合術士
青き瞳
オーバーキル
??行使
ーーの愛情
ーーの巫女
ボスの進化個体『死神』の討伐
・スキルポイント170P
・スキル『魂合』
・スキル『星辰体』
・スキル『精神体』
全体報酬
・新スキル解放
・進化条件一部緩和
・現界の第7試練の突破
《レベルが上がりました》
——消し去った。
「…………」
『盟約は果たされた』
「……うじゃい」
『カカカッ』
とりあえず、ポロポロと落下して来たアイテムを纏めて回収する。
聞こえて来た声を探るが気配も何も察知出来ない。
死神と言うからそうかと思ったが、やはりアレは神の一種の様だ。
それにしては随分と巫山戯た輩であった様に思うが、保有魔力含む存在の総量がちょっと桁違いだったのでやっぱり神である。
そこを考えると、金の粒子さんはどれ程の物なのか、皆目見当も付かない話だ。
ゆっくりと地面に降り立つ、その間にアイテムや死神の言っていた言葉の意味を考え整理する。
先ず『神』、死神も含め僕が存在を確信している神は5柱。
『金の神』『白銀の神』『死神』、それとアルネア曰く『勝手な神』、シスターアルメリアの奉ずる『女神』、の5柱である。
その他にも、民間伝承を書いた本や歴史書、魔物図鑑に、神という言葉は出て来る。
例えば、
精霊を神として崇拝する『精霊神教』。
強力な魔物を森の守り神として畏れ敬う村。
王が神の子であるとして王権神授を謳う国。
因みに、ルベリオン王国は元々ガチの王権神授である。
正確には、国教が女神教であった古代ルベリオン王国で、建国時に神と子を成したと言う話があった。
それだけだと眉唾物であるが、実際にティアは霊人と言う名の人の上位種族である。
それ以外にも、グリエル氏は生前『大賢神グリエル』と呼ばれていたし、北の海には『海神』と呼ばれる何かが実在すると聞く。
少々こじ付けっぽい話ではあるが、王都を襲った大悪魔は悪魔の王であるディアリードとやらを神の如く崇拝していた。
要するに、神と呼ばれる存在は無数にいるが、問題は実力である。
そもそも、悪魔の王として讃えられるディアリードが本気の死神さんに勝てるかと言うと、そうは思えない。
今回金の粒子さんが僕を助けてくれたのは、肉体がシュワっと蒸発……したかは知らないが、僕が魂だけになって途方に暮れる事がない様に助けてくれたのだろう。
……まぁ、死神が何かをした可能性も十二分に考えられるが……神が勝手なのは今に始まった事では無いので仕方ない。
また、神の形状についても少し分かった。
先ず『金の神』、これは多分ドラゴンである。
服にこれでもかと金の竜が装飾されている事からも明らかだ。
続いて『白銀の神』、これはおそらく、今の僕の姿に近い形状をしている。
具体的には兎獣人型である。
そして『死神』、これは言わずもがな、黒いマントを羽織って大きな鎌を持った骸骨の姿。
シスターアルメリアが信奉する『女神』は、審判の間にあった女性の像そのものだろう。
……まぁ、そうそう神と呼ばれる存在と関わる事も無いだろうし、ぼちぼち適当にやって行こう。
次に僕に関わる言葉。
『巫女』『青き瞳』『銀』、この内二つは僕の容姿に関わるものだが、やはりアバター設定時に僕の精神に何者かの干渉があったのかもしれない。
そうじゃ無いとしたらもはや運命としか言えないだろう。
『巫女』の方は……なんと言うか……エクストラ評価の方にある『ーーの愛』、これは以前は『ーーの親愛』であった筈。
『ーー』が金の神だと断定して、この場合の『巫女』とは要するに『金の神の花嫁』である。
…………いや、困る。
どうやらこの姿では精神と魂と肉体のバランスがうまく取れないらしく、おそらく今、僕の顔は赤くなっている可能性がある。
確かめるつもりは無いが、そもそも赤面していると考えている時点で今の僕の真意はお察し物だ。泣きたい。
と言うかちょっと涙が出てる。
僕が涙を流したのは、2つの時、飛来する黒い生物から逃走を図って失敗した時以来である。
おそらく、胸を触られてキレたのも金の神に操を立てる思いがある故だろう。
その理由も明らかだ。金の粒子さんは僕の事を大層気に入っておられるのか、僕の魂と直に接触している。
幸い深くへと入って来てはいないが、それこそ直に金の神の魂やそれに近い物と接触している訳で、引き込まれるような求心力や深い慈愛、太陽の様に暖かな優しさ、そして仄かな独占欲。
リンゴが地球に引かれる様に、大きな金の神に小さな銀の巫女が惹かれて行く。
なんと言うかこう、無駄に大きな胸に去来する物があるのだ。
それを表す言葉は……そう、乙女ごこ——
——……不味い。この体は不味い。このままだと心まで染まってしまいかねない。
取り敢えず落ち着こう、そうすれば問題無い。
何故なら僕は金の神とは顔を合わせた事も無いし、僕自身は男だから。
……まぁ、男だ女だと拘る理由がある訳では無いし、顔は合わせていないが魂はくっ付いているが。
……僕の良いところは、冷静な所と切り替えが早い所と見た目が飛び切り良い所と他にも色々。
うむ、金の神も僕にメロメロに違いない……多分……きっと……そうだと良——
「——んにゅあぁぁぁああっ!!」
………………さて、次だ。
『鍵を持つ者』『現界に定められし十二の試練』『門は開かれる』。
先に考えた通り、鍵を持つ僕が十二個ある現界の試練を全て突破すると門が開かれる。
この場合、全体報酬にある『試練の突破』と言う言葉や、死神の盟約は果たされたと言う言葉から、誰かが試練を突破すれば僕も突破した事になるのだろう。
『鍵』と言うのは、おそらくスキル『鍵』。
取得条件は不明だが、僕だけに与えられた物であると自惚れる気は無い。
スキルと言う形をとっている以上誰にでも取得の機会はある筈だ。
最も気になるのは『試練』。
僕が確認している物だと、『星天の試練』と『現界の試練』がある。
今回の場合は『現界の試練』だろうが、『星天の試練』にも何かあるのは間違いない。
そして最後に、『神命』。
これはつまり、死神が何か別の、大きな神の従属神である事を表している。
口振りから察するに、『金の神』と『白銀の神』では無いだろう。僕の知らない存在から何か命令を受けていた事になる。
そして、死神は僕に『神命を代行せよ』と言った。
その『神命』とは、僕が今から必然的に為さねばならぬ物であると推理出来る。
そして、その場所は、死神が陣取っていたこの遺跡。
更に付け足すと、『勝手な神』からかは知らないが、クエスト『異邦魔王』が発令されている。
つまり『神命』とは、ダモス何某を殺害ないし抹消する事では無いだろうか?
要するに、僕的にはどうあってもやるし、神々的にはどうあっても殺して欲しい存在であると言う事か。
どの程度の強さかは知らないが、場合によっては撤退する必要があるかもしれない。
次はアイテムの確認。手早くやろう。




