第19話 闇満ちる大地
第五位階中位
リビングで皆揃っての夕食を終え、しばらく雑談した後に今回の予定を説明した。
今いるメンバーは、タク達5人、アヤ達妹組の5人、セイト達の4人、アランとメィミーの合計16人。
これを4人1組の4チームに分け、護衛にうさーずをつける。
戦力はなるべく均等に……まぁ…………いや、良いか。
タク、マガネ、双子ちゃん、闇兎で1チーム。
アヤ、ミサキ、竜胆姉妹、風兎と土兎で1チーム。
アラン、メィミー、ケイ、クリア、火兎と水兎で1チーム。
セイト、マヤ、センリ、ユリちゃん、光兎で1チーム。
うさーずを抜いた場合、一番強いのがタクのチーム、次点でセイト。アランのチームは一番下だ。
レベルが一番低いのはメィミーで、一番高いのはタクだ。
現在のレベル帯は、一般プレイヤーがレベル22〜25、最前線組が27〜31、タク達は34〜37。
2日で全体的に3〜5程向上していた。
そんな中で、メィミーのレベルは平均を大きく下回る13。
狩りをあまりしていなかった様だ、そしてそれは……メィミーの右目が魔眼なのと関係があるのだろう。
それはともかくとして、皆には地下墓地の上層を担当して貰う。
実際に敵の規模がどの程度かは見てみないと何とも言えないが、中層での連戦は流石に厳しいだろう。
よって中層以降は僕の配下が担当し、下層をより強い者達で浄化する。
遺跡到着後の行動を纏めると、
・タク達にうさーずをつけ、遺跡に向かわせる。
・塔に向かい、セバスチャン達吸血鬼と話す。
・ミルちゃんが開けた大穴から深層へ向かう。
・浄化を開始する。
以上の4点である。
到着までの時間は、各自好きな事をする様に言って、一時解散とした。
◇
「今宵、我が渇きを潤すは紅き血の雫」
そう言うと、メィミーはゆっくりとグラスを傾けた。
「——ぶふっ! まじゅっ!?」
「あっはっはっ! …………何こいつ、面白いんだけど」
「お酒は成人になってから、って言うけど……あまり美味しくはないよね?」
「成人になっても〜、飲みたく無いですね〜」
早速各チームに分かれて行った皆。
アランのチームは、アランが食後に赤ワインを試し飲みし、それに興味を持ったメィミーがよく分からない事を言いながらワインを口に含むと、吹いた。
庭では、タクがマガネと桜庭姉妹に囲まれて酷い目にあっていた。
3対1でも完封されていないのだからタクの実力が良く分かる。
まぁ、マガネは盾使いだから防御優先であるし、桜庭姉妹は時折嫌がらせの様に突くだけの、戯れ合いの様な模擬戦なので、誰も本気では無い様だが。
また一方では、アヤがミサキに軽めの稽古をつけており、ユウミとミユウが体術で戦っていた。
体術と言っても、お互いの手を払い合い、先に胸元を三度小突かれた方が負け。と言う簡単なゲームであるが。
因みに、僕は既に二人の勝敗の行方を知っている。
ミユウの勝ちである。
ミユウはユウミの妹であるが反射速度は僅かながらミユウに軍配があがる、そして……触れる場所の問題でユウミは常にハンデを背負っているからだ。
……戦闘では基本的にリーチが長い方が有利であり……いや、本人は気にしてる様だからこれ以上はやめておこう。
ミサキの訓練は、模擬戦ではなくちょっとした体捌きや立ち回りの確認らしい。
タクとアヤが本格的な訓練をしていないのは、今夜の戦いに備えての事だろう。
セイトのチームは、マヤがリッドで作ったボードゲームが白熱している。
久し振りにやったらのめり込んでしまった、と言った様子でセンリとユリちゃんが将棋を指し、セイトはそれを固唾を飲んで見つめている。
マヤはと言うと、うさーずを至福の表情でもふっている。あまり表情は変わって無いが。
「……王手、ね」
「むっ…………」
「あぁ……これは……」
「……参りました」
「もふもふ……」
どうやらセンリが勝ったらしい。
勝ち抜け式らしく、次の戦いはセイトとユリちゃんの様だ。
皆しっかりと交流している様で何よりである。
僕も、到着するまで色々と作業を進めておこうか。
◇
作業と言っても、移動時間がそれほど掛からない筈なので魔石の合成や装備の分配、本を読むくらいの事しか出来ない。
装備の分配の方は、タク達全員に『幹部の指輪』を渡した。
他は、ニュイゼに『嵐流槍』。
ルーベルに『竜王の爪』。
氷白に『渦巻槍』。
ズメイ君には『竜王の吐息』と『腐竜王の吐息』を渡した。
現在の僕の装備は、
・メイド服一式
・結晶大王蟹の魂
・古の不死賢王の魂
・古の不死賢王の霊装
・古の不死賢王の支配指輪
・海鳴りの雫
・森妖精のお守り
・吸血姫の血刃
・氷極の宝珠
・大海の宝珠
・夢の星珠
・大洋の調べ
ちょっとスカートの中に色々と入り過ぎている気がするが、問題無い。
尚、氷極の宝珠と言うのは、氷雪の宝珠が変質してしまった物についていた名前である。
強くなったのかな?
そんな色々な作業が終わる頃には、遺跡に到着した。
月光に照らされる遺跡は……黒い靄に包まれていた。
「……それじゃあ皆、墓地に……向かってね」
歯切れ悪くそう言う僕に、皆は少し警戒を強めた様だ。
メィミーは闇に包まれる遺跡を見てやや興奮気味だが、しっかりと警戒はしている様で、隠密能力が付与されているらしい黒いローブを纏い、フードを目深に被った。
何が起きているのか分からないので、ワンワン軍団を召喚し先行させ、人型じゃ無い新入り狼ズとネロ、四熊をタク達に付け、その総指揮官として……メロットを召喚した。
なんだかんだ言ってメロットは視野が広く、指揮や使役の才能がある。
近接戦闘力は皆無の様だし、普段はだらけているが、ウルル、アイ、リッド、イェガ、うさーずに並んで信頼のおける実力者だ。
遺跡の闇へ消えていく皆を見送ると、直ぐにウルルに騎乗する。
「ウルル、少し急ごう」
「ウォンッ!」
遺跡、問題起こり過ぎだよ。




