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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第七節 呪われし遺構の攻略

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第13話 狂い咲く桃花

第五位階中位

 




「貴女が津波を引き起こした犯人ねっ!」

「違うよ」

「え?」



 港町に着いて早々、ウルルから降りると、ロリな少女に天災の犯人扱いされた。


 とても心当たりのある話しだが、犯人は僕では無い。


 桃色の髪に桃色の目と言う非常に珍しい容貌をしたこの少女、服装はビャクラと同じで侍風、腰には刀の様な物が左右に二つ添えられている。


 感じられる気配は強者のそれだ。




桃花 LV279 状態:?




 ……ワガママちゃんだ。本当に居た。



「わ、私は騙されないわよ! 津波の後に現れた隠す事もしない強者の気配っ! 何より……」



 どうやら彼女が気配を探知出来る範囲はそこそこの広さらしい。

 此処から王都に何が襲い掛かって来ていたのかは見えた筈だが……寝てたのかな?



「……犯人は現場に戻って来る!」

「……」

「……ふふ、私の完璧な推理に声も出せないのかしら? ざまぁないわね、戻って来たのが運の尽きよ!」



 わざわざ溜めを作って言う事がそれか、と対応に困っていると、桃花は腰の刀に手を添えた。



「昨日は上手く私の寝る時間を突いて来た様だけど…………お陰様で寝不足よっ! この桃花様が直々に成敗してあげるわ!!」

「まぁ待て、取り敢えず話を——」

「問答無用っ! 天誅(てんちゅーーっ)!!」



 唐突に怒りを露わにした、もはや会話すら成り立たない桃花は、裂帛の気合いと共に高速の抜刀術を繰り出して来た。

 ……掛け声に合わせたら駄目だよ。



「おっと」

「っ!?」



 瞬時にカルキノスとノーライフ、他各種強化系スキルを発動させた僕は、素手で刀を打ち払おうとしたが止め、(つま)んで止める事にした。


 止めた理由は単純に、桃花の実力はともかくとして、刀自体がちょっとやばい代物だったからだ。

 腕で受けていたら斬られていたかも知れない。



 驚愕した様に目を見開いた桃花は、驚く程の速度で持ち直すと、即座にもう片方の刀、小太刀を引き抜いて斬りつけて来た。


 それを、同じ様に摘んで止めようとして()め、バックステップで離脱する。

 同時にナイフを引き抜き、伸びた(・・・)小太刀に刃を添えて斬撃を逸らした。



「くっ、これも避けるの!?」



 この隙にウルルに指示を出し、マヤとメィミーを離脱させる。


 桃花は二人に興味がない様で、特に反応を見せる事なく、刀と小太刀の二刀流で此方を睨み付けていた。



「……あんた、陰気な魔法使いかと思ったら案外やるじゃない」

「それはどうも、話しを聞く気になったかな?」

「はんっ、侍は刀で語るのよ? 私の本気、見せてあげるわっ!」



 何故か状況が悪化した。


 桃花は小太刀を仕舞うと、刀を中段に構え、すっと目を瞑った。



「『咲き誇れ』! 桃花っ!」



 そう唱え、かっ! と瞼を開くと、桃花の瞳は僅かに輝きを纏い、変則ポニーテールがバサっと広がった。


 そして——




「なっ!?」




 ——彼女の瞳は再度驚愕に見開かれた。



 直ぐ前にある(・・・・)僕の目と目を合わせて。



 僕がやった事と言えば単純で、桃花が目を瞑った瞬間に僕の魔力を一割程その場に残し、残りの魔力を全力で隠蔽。

 所謂(いわゆる)魔力(オド)(デコイ)を残し、迅術で瞬きの間に接近した。


 ……戦闘中に目を瞑ったら駄目だよね。



 瞬時に斬りかかって来ようとした桃花の腕を取り、捻って刀を奪うと、インベントリに入れる事が出来なかったので遠くに放り投げた。


 そのままさっと足払いを掛けたが、倒れながらも小太刀を引き抜こうとした桃花。

 しかし、その瞳は更に驚愕の色に染まった。


 理由は明快。


 小太刀は、念力などのスキルで既に引き抜いてあり、今は宙を舞っている所だ。



「きゃっ!?」

「よっと」



 地面に倒れ込んで小さな悲鳴を上げた桃花に、変な事をされる前に馬乗りになり、両手を抑えつける。


 当然、桃花はそれに抵抗した。

 その力は凄まじく、超強化状態の僕でさえ、とてもじゃないが長時間抑えている事は出来ない。


 さっさっと誤解を解かなければなるまい。



「話を——」

「——は、離しなさいっ! あ、あぁ、後8秒……は、離せーっ!!」



 後8秒? 能力の効果時間だろうか? だとしたら後8秒待った方が良いだろう。抵抗する力が無くなってからの方が話しはしやすい筈だからね。



「は、離しなさいっ! 離せっ! 離してよっ!! あ、ぁぁあっ! 後2、1……っ」



 0、時間切れ。



「……?」



 ……時間切れなのに桃花の能力が切れた様子は無い。

 しかし、桃花は力を失ったかの様に抵抗するのを止めると、悲しげに目を窄めた。



 良く分からないまま、それをじっと見ていると、桃花は僕の顔をじっと見上げ、徐々に瞼を大きく開いていく。

 その瞳は涙で潤んでいた。



 その後、ゆっくりと、やや青白かった頰に朱が差していき、僕の目をじーっと見つめる桃花。



「……よ、良く見ると私好みの容姿だし……気配も……え、えぇい! お、女は度胸っ!」

「?」



 取り敢えず抵抗する気は無い様なので、桃花の両手を解放した。


 ようやく話しが出来るかな? と口を開く、


 すると——




「ふ、ふちゅちゅか者ですがっ! よ、宜しくお願いしますっ!! ん!」

「んむっ!?」




 ——解放した両手に頭を掴まれて引き寄せられ、唇を奪われた。



 ……なんで?






「はい、あーん」

「あーん」

「……ど、どう? ハニー、美味しい?」

「……うん」

「そ、そう……こ、これで胃袋は落としたわっ!」



 小声で呟きながらガッツポーズをする桃花。


 今、僕たちは桃花が泊まっている高級宿に来ていた。

 ウルルは送還済みである。



 あの後、長いキスが終わり、何気にファーストキスだなぁ、と考えつつも自己紹介を終え、宿に連れ込まれた。

 マヤとメィミーも付いて来たのだが、桃花はそれに一瞥をくれただけでずっとスルーし続けている。



 そして今、いつの間にか薄着に着替えた桃花の、手作りらしいやや不格好な肉じゃがの様な料理を食べさせられ、感想を言った所である。



 マヤはじとっとした目付きで桃花を見ており、メィミーは歯軋りを立てて桃花を睨んでいる。


 そして僕は、この子とどうお話しすれば良いかを考えていた。



「……押し倒されて、好きな人が出来て、キスをして、子作りをして、胃袋を掴んだ……後は……初夜、抱き合いながら寝れば良いのね……お、お母様、桃花は今日、母になります……!」



 何やら手元を見ながらブツブツと不穏な事を呟く桃花。

 どうしたのかとその手を見ると、メモ帳にチェックを入れている所だった。


 次の瞬間、桃花はばっと僕の方へ振り返ると、僕をベットまで引っ張っていき、その中に引き込んだ。

 そのままぎゅーっと抱き付いて来る。


 今度は何?



「……ハニー……ぎゅって、して?」

「……よしよーし」



 抱き締めるぐらいなら吝かでは無い。


 寂しげに潤む桃花の瞳は、何処か子供の頃のアヤを思い起こさせるもので、取り敢えず抱いて撫でる。


 すると、しばらく僕の胸元に擦り寄って全身で絡み付いて来ていた桃花が、足を絡めたまま僕からほんの少しだけ離れた。

 そして、桃花はその隙間から下を覗き込み、自分のお腹を愛おしげに撫で始める。



「……こ、これで私もお母さんになれるのよね……えへへ……」

「いや、それはおかしい」

「え?」



 僕の至って当然の突っ込みに、疑問の声を上げ眉根を寄せた桃花。

 しばらく首を傾げていたが、唐突に合点が言ったと言わんばかりに大きく頷いた。


 期待なんて欠片もしていないが一応聞こうか。



「そっか、ハニーも同じだからお母さんよね……となると私はハニーにとってお父さん? ……あっ! ハニーはまだ押し倒されて無いし、私の胃袋も掴んで無いからやっぱりお母さんじゃ無いわ、ハニーはお父さんよ! ふふん」

「この子に変な性教育を教えたのは誰だ」



 自信満々に変な事を言い出した桃花。


 これはちゃんとした教育が必須である。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
― 新着の感想 ―
[一言] 赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんだよー(棒
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