第10話 ユキ、姫だったよ……
第五位階中位
さて、続けて王権関連のアイテムだが。
先ずは『団員の指輪』。
これは、クランメンバーである証明のアイテムであると同時に、クランの規模が大きければ大きい程能力に強化補正が付く装備品らしい。
原理は、クランの支配領域に存在する魔力やメンバーの魔力、指輪付近の大気中にある魔力を吸収し、能力強化の魔法を掛ける物だ。
『団員の指輪』の上位装備らしき『幹部の指輪』と『副長の指輪』は能力強化の割合が大きい様だ。
重要な点は、クランメンバーで無くとも装備可能と言う事だろう。
寝ているマヤに付けてみたら、弾かれる事なく装着出来た。強化魔法もしっかり発動している様だ。
次は『領域の御旗』。
これは、支配領域を擬似的に拡張するアイテムらしい。
効果範囲は旗を中心に50メートル。
三本の旗を三角形を描く様に設置するとその内部と外少しが支配領域になり、一辺の最大距離は100メートル。
支配領域内部ではユニオンリングの効果が高くなる様なので、防衛戦に向いていると言える。
続いて、『王の指輪』と『女王の指輪』。
この二つはどうやら同じ効果を持っているらしい。
能力は、ユニオンリングと同じ物の強化版に加え、『魔力貯蓄結晶』の操作権限。支配領域を広げる能力『征服』。などがあるらしい。
件の『魔力貯蓄結晶』は、支配領域から魔力を徴収する能力があるらしい。
それに加え、結界を張る事も出来る様だ。
最後に『王の王権』。
……試しに換装をした僕がいけなかったのだろうか?
取り出してみた時の服は王様っぽかったのに、換装するとドレスアーマーみたいな見た目に変わり、王冠の形状も少し変わってしまった。
これでは王ではなく女王である。
その上、見た目から女王どころか王女、姫の類にしか見えない。
そんな姫装備の能力だが、
王冠は『命令』の上位互換らしき能力。
王座は『念力』や『念動』に似た能力。
王笏は自動で発動するらしい結界の能力に加え、各魔法を扱い易くなる能力。
服は各種耐性に加えて清浄化、再生などの能力。
剣は身体能力を強化する能力と、形状を自在に変化させる能力。
御旗は装備者を寒さや暑さから守り、毒属性魔力をかなり無効化する能力。
とまぁ、各装備毎に目立った効果はあるが、どれにも装備者に身体強化や耐性をつける作用がある。
そして、王笏、剣、御旗の三つは浮遊して付いてくる他、王座は装備者の意のままに空を飛ぶ事が出来る様だ。
……要するに、全てを装備していれば体を動かす必要が無くなる。
僕にはあまり向かない装備である。
だがまぁ、魔力を行使すれば結構なスピードで空を飛べるので、移動用には良いかもしれない。
◇
軽く確認も終え時間を潰したので、もうそろそろ皆もマヤも戻って来るだろう。
隙間時間は、この座り心地の良い玉座に身を預けて爺様達の様子でも見ておこう。
と言う訳で——
「『配下操作』」
——白雪に乗り移る。
ブツリと途切れた意識が戻ると、ぼんやりとしている視界を数度瞬きする事で正常に戻す。
どうやら、ちゃんと審判の間の結界をすり抜けて白雪に入る事が出来た様だ。
背後に感じる柔らかい感触と頭の上に乗っている重い物、それらも含めて状況把握を開始する。
先ず最初に目に映ったのは、一番高い玉座に座ってふんぞり返るレミアの姿。
爺様とザイエは無表情で紅茶を啜り、シスターアルメリアはミニ白雪を抱き抱えている様だ。
ビャクラさんは……レミアの足をマッサージしていた。
「……」
取り敢えず、頭の上に乗っている重くて柔らかいシスターアルメリアのクッションをミニ白雪のちっこい両手で持ち上げ、体を起こす。
「? あら……?」
「ん?」
「……ユキ、なのか?」
その後、お腹の辺りに添えられている手をペチペチと叩き退けて貰うと、地面に降り立ちレミアの方へ向かった。
「ふぁ……な、中々やるわね。私の従者にしてあげても良いわよ」
「ははっ、こんな事で喜んで貰えるなら幾らでもやらせて貰おう」
ビャクラさんはどうやら人の世話を焼くのが好きらしい。
だが、それはそれ、これはこれである。
僕に従うだけでは駄目なのだ。
「やぁ、レミア」
「ひぇっ!? な、なんだ……白雪——」
「——む? ユキか?」
「……わん」
「ちょっと僕とお話し。しようか」
「……わ、わふ」
誤魔化そうとしても遅いのだよ。ふふふ……。
◇
レミアとお話しをしてから爺様達の調子を聞いた。
特に変化は無い様だが、ビャクラが北の方にある街に桃花の気配がしたと言っていた。確認する必要があるだろう。
やる事を終えたので、シスターアルメリアの膝に戻る。
「それじゃあ——」
「ふふ、子供なユキさんも可愛いですねぇ」
「——ふもっ」
シスターアルメリアにヒョイっと抱き上げられ、その豊かなクッションに埋められた。
小さな手を使って脱出を試みるも、シスターアルメリアのクッション相手では正に暖簾に腕押し糠に釘、体が小さ過ぎて逃げられ無い。
白雪が窒息死するかもと危惧したが、ジタバタとしているうちに苦しく無い事に気付いた。
……どうやら酸素は要らない体だったらしい。
藻掻くのをやめてされるがままにすると、しばらくしてようやく解放された。
「ふふふ」
「……じゃあ僕行くから」
「ええ、行ってらっしゃい」
『配下操作』を解除した。
元の体に戻ると既に配下が全員揃っていたので、全員を軽く撫でて労ってから、ウルル以外を送還する。
さて……もう少し待ってマヤが来なかったら体だけ連れて行こうか。




