AS 双剣使いタクの闘い 【Episode.1】 β島の闘い 六十
※160万PV達成
第三位階上位
「ん……ふぁ……朝か」
カーテン越しから刺す光で目が覚めた。
何時もより大分遅い時間だ。
「……飯食うか」
リビングに降りると、ユキは既に居なかった。
書き置きによると、昼飯と夕飯の用意は出来ているらしい。
ユキは今日一日神社に行っている様だ。
取り敢えず朝飯を食い、やる事をやってからゲーム起動の準備を終えた。
窓から見える空は曇天、昨日に引き続いて今日も雨が降りそうだ。
◇
《《【迷宮クエスト】『水の迷宮』を『匿名』のパーティーがクリアしました》》
《《
【迷宮クエスト】
『水の迷宮』
参加条件
・水の迷宮を攻略する
達成条件
・水の迷宮を討伐する
失敗条件
・無し
達成報酬
・スキルポイント1〜10P
》》
「さ、て……えーと、何で空き地なんかでログアウトしたんだっけか?」
ログインすると、街の中にあるちょっとした広さの空き地だった。
幸いな事に記憶は直ぐに思い起こす事が出来た。
確か昨日は、各迷宮をクリアした時に手に入った酒やら飯やらを使ってアラン達と一緒に宴会みたいな事をしてたんだったな。
後攻略していないのは水の迷宮だけで、それも昨日辺りにコウキ達が攻略したと……今日は如何するかね?
◇
皆は既にログインしており、合流までの間に今日何をするか決めた。
まぁ、有り体に言って攻略だ。
コウキ達はボス討伐がフラグになると読んで活動している様なので、俺達は別口から調べてみようと思う。
幸いにして情報は山程ある。万が一強いボスが出て来ても、迷宮攻略で入手した強化系のレアアイテム『白兎泉水』を飲んで嵐を使えば多分だいたい如何にかなると思う。
先ず最初に向かうのは大聖堂前、ゴーレムが不思議な行動を取るあの場所だ。
◇
「……意気込んで来てみたは良いが……」
「人が一杯いますね〜」
「コウキの一団だな」
「最終調整って所かしら?」
「コウキさん達はいない様ですね」
大聖堂前には百人近くのプレイヤーが集まっていた。
おそらく中にも何人かいる事だろう、コウキ達は中にいるのか?
辺りを見回していると、女子グループの中からココネちゃんが此方に手を振って近付いて来た。パーティーメンバーも一緒だ。
「タク先輩っ!」
「おう、ココネちゃん、と……えー……」
「ヒヨリンでーすっ! 忘れちゃったの?」
「……アキです、覚えなくても良いです」
「あ、あの……の、ノアです……」
「いや、まぁ……すまん」
忘れてた訳じゃないが、直ぐに出てこなかった。
各々の名前は、活発でやたらと絡んでくるのがヒヨリ、凄く面倒臭そうにしているのがアキ、おどおどしているのがノア。
「先輩達も参加ですか?」
「いや、俺達は——」
ココネちゃん達に攻略云々の話を掻い摘んで説明する。
赤の騎士の同胞をヤる何てあんまり良い気はしないからな。
「——とまぁ、そう言う訳で此処に来たんだ」
「そうなんですか……わ、私も——」
「——ヒヨリンタクさんと一緒に行きたいでーすっ」
「私も……そっちの方が楽そうです」
「ふぇ!? ぼ、ボスの話を聞いてから決めるんじゃっ」
「……ついて行っても良いですか?」
「ふえぇっ!?」
「おう、良いぞ」
「ふえぇぇっ!??」
「やった☆ ヒヨリンちょー嬉しい!」
騒がしいわ。
腕に取り付いて来ようとするヒヨリちゃんを回避して、皆に振り向く。
「って事だが、良かったか?」
「俺は別に構わねぇよ」
「賑やかで良いですね!」
「味方が増えるのを拒む必要は無いと思いますが……タクさんも大概罪作りな人ですね」
「別に文句は無いのだけれど、タク君に仕切られるのはちょっと……なんて、冗談よ。ふふ」
ユリちゃんがボソリと何か呟いたが、聞こえなかった。
後、アマネさん、本気で言ってるだろ。
まぁとにかく文句は無い様なので良しとする。
さて、それじゃあ調べるか。
祭壇に視線を向けようとしたその時、此方に歩み寄ってくる白い奴が目に入った。
と言うか目が合った。
白っぽい鎧に白っぽい剣を持つ金髪の男。
そいつは俺と目を合わせるとニコッと微笑み、真っ直ぐ此方に歩いて来た。
「やぁ、『双剣使い』君、しばらくぶりだね」
「……おう、『聖騎士』さんが俺に何の用かね?」
対応が余所余所しいのは、別に警戒しているとか嫌っているとかそう言う訳じゃ無い。
ただ、こいつ……すんごく面倒事の匂いがするんだよなぁ……今はいないが主に取り巻きの女子供のせいで。
「用という程の事じゃ無いのだけどね、君を見掛けたから声を掛けた、それじゃあ駄目かな?」
「……別に駄目じゃないけどよ」
後、どういう訳か気に入られている感じなのがちょっと……口調も親しげだし。
「君も白の騎士と戦うんだね?」
「いや、戦わないが?」
「え? ……ならどうして?」
「ちょっと別口から攻略をな」
「へぇ……よしっ」
なんだ? 何がよしなんだ?
不吉な予感に警戒していると、直ぐに問題が無いと言う事が分かった。
「僕も行くよ、君の強さに興味がある」
「……まぁ良いさ」
「ふふ、ありがとう」
……なんだ、ただの戦闘狂か。
ともあれ、もう変な横槍は無いだろう。
そう思って祭壇に向き直ろうとすると、今度は周りが少し騒がしくなった。
今度はなんだよ。と視線を向けると、人垣を割って此方に歩いてくる大きな赤い騎士が見えた。
赤騎士は俺達に気付くと『よっ』と言わんばかりに片手を上げたので、俺もそれに同じようにして返した。




