AS 双剣使いタクの闘い 【Episode.1】 β島の闘い 五十六
第三位階上位
《【探索】『土の迷宮を踏破せよ』をクリアしました》
【探索クエスト】
『土の迷宮を踏破せよ』
参加条件
・土の迷宮を攻略する
達成条件
・土の迷宮を踏破する
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント3P
・貨幣:魔力10,000
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度23%
・道具『風爆石』×2
・道具『風破石』×6
昇降機が動くと同時、目の前にメッセージが現れた。
これでアマネさんも謎のスキル『英雄の欠片』を入手出来た事だろう。
「アマネーさん! スキルゲットできましたか?」
「ええ、『英雄の欠片』ね、一体どんなスキルなのかしら?」
一体どんなスキル、か。
そう言えば俺のスキルにいつの間にか『英雄の卵』ってのが追加されてたが……まぁ、そもそもスキル自体効果が分かりにくい物だからな、『英雄の〜』系スキルはパッシブの能力ブースト系かもな。
「あら、このスキルって最初からレベルが高いのね」
「ん? おぉ、ホントだ、7になってる」
「私も7です、なんででしょうか?」
「私も7でした、みんなお揃いですね!」
どうやら『英雄の〜』系スキルは普通のスキルとは少々異なるらしい。
「あら、セナちゃん、私は6よ」
「あぅ……す、直ぐにお揃いになります!」
「ふふふ」
ちなみに俺は10だ、とは言わない。
戯れも程々に、昇降機は闘技場へと辿り着いた。
◇
眼下に見える亀は、宝石の様なものが付いている甲羅に手足や頭を収納している。
おそらく、前回、前々回に潜ったプレイヤー達が少なからぬダメージを与えているのだろう。
ただし、此処から見てもその巨大な甲羅には傷一つ付いていない様に見える。
「あれが此処のボスか」
「キラキラですね〜」
二人の声に反応して、と言う訳では無いだろうが、巨大な亀は甲羅にしまっていた手足を伸ばして立ち上がった。
此方を見上げるその頭部には、幾らかの罅割れが見え、血が流れている傷もある。
手足は頭部に比べると細かい傷が多く、されど血が流れる程の傷は少ない。
分かりやすく言うと、ほぼ無傷だ。
ボスにHPバーがあったら後九割からどんなに多く見積もっても八割くらいは残っているだろう。
これを突破する為には切り札が嵐だけでは足りない気がする。
……あれを使うか。
「あのボスなんだが、おそらく作戦通りだと倒せないと思う」
「あからさまに硬そうだからなぁー」
「破石や爆石だけで勝てるでしょうか?」
なんの策も無くボスに挑んでいる訳では無く、一応とばかりに作戦とも言えない様な手立ては考案してある。
先ず最初に嵐で機動力を奪い、続いて事前に買い集めた破石や、回収した爆石を一気に投入して倒す。
ユリちゃんはその事について危惧している様だが、実際それだけでは倒せないだろうなぁ。
「難しいでしょうね」
「ああ、だから『風崩石』を使用する」
風崩石がどの程度の威力かは分からないが、爆石が破石の10倍近い威力なら崩石は爆石の10倍近い威力だろう。多分。
それに、おそらくだが、甲羅に破石は効かないのだろう。
破石は手足を奪う為に使うべきだ。
「戦い方は——」
昇降機が地面に到達するまでの短い間に最後のブリーフィングを終え、そして、戦いの時は来た。
「よし、行くぞ!」
「おう!」
「了解です」
「はい!」
前衛の気合いの声が闘技場に響き、そして——
「先手は貰うわね」
——開戦の一矢が放たれた。
◇
走り出す直前に放たれた一本の矢は、宙に赤の軌跡を残し、真っ直ぐに亀の眼球へ向けて飛んで行った。
その矢は咄嗟に閉じられた頑強な瞼を貫いて、深々と亀の目玉に突き刺さった。
次の瞬間——
——ドッォォオンッ‼︎‼︎
爆音が鳴り響いた。
凄まじい衝撃。『あ、やばい』と思って腕を持ち上げた次の瞬間には爆風に吹き飛ばされていた。
強烈な光に視界を奪われ、衝撃波と共に飛来した熱波が防具のガードを貫いて皮膚を熱する。
吹き飛ばされる際に半ば前傾姿勢をとっていたのが悪かったのか、上下に回転して転がったらしく、どちらが上でどちらが下なのかすら分からない。
視界がブラックアウトしてしばらく経ってから、はたと思い至った。
これ、気絶状態だわ。
試しにメニューを開こうとすると、意思に応じてメニューが開かれ、ステータスを確認する事が出来た。
その惨状は酷い物で、HPバーが半分を割っており、状態は『気絶』『出血《微》』『火傷《微》』。
他の面々も大体同じ感じで、HPバーの減りが一番少ないのはセナだった。直感でガードしたのか?
アマネさんが何をしたのかは考えなくても分かる、火の迷宮で赤の騎士から貰った『爆炎の矢』、それを使ったんだろう。……試しに。
まさかあそこまでの威力があるとは俺も思わなかった。
っつか、亀、死んだんじゃね?
確認しようにも気絶が治るまで待つしかない。
本当、気絶ってのは厄介だな。




